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私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

頑固な花入れと寒咲アヤメは如何に?

2017年03月21日 | 「いと をかし」なものたち

これは、父が元気な頃に、どこかで買ってきた花入れで、
「お前にあげる」と言って渡してくれたものである。

* * *

父は骨董品や美術品が好きで、いろいろと買っては来るが、
実際に自分で使うことは無く、ほとんどの物をしまい込み、
時々出しては眺めて楽しんでいた。

そして、しばらくすると飽きるのか、あるいは満足するのか、
「欲しければ持って行きなさい」と言って、
最終的に
私に手渡すのを楽しみにしているようだった。

* * *

この花入れは、黄銅に銀のメッキをしたもののように思われ、
年を経るごとに鈍い光が感じられるようになった。

姿は父の性格に似て、どこか"頑固"な意思を感じ、
何かを主張しているように思えるのである。
従って
飾って、この花入れだけを鑑賞するのには何の問題もないが、
いざ花を入れようとすると、ほとんどの花が似合わないのである。
それで今までこの花入れは、
花入れであって花が入れられたことが無かった。




それでも、せっかく父の形見なのだから
何とかお稽古の時に茶花を入れて、活用したいと思って、
庭で見頃になっていた寒咲アヤメを入れてみた。

お稽古の人たちと、「どうもこの花入れは難しくて、
どんな風に花を入れたらいいのか分からないのよ~」
「何か良い考えはない?」

結局、この花入れを使いこなすのは"今後の課題"となり、
父が最後に、私に遺した宿題になったのである。



コメント (17)
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