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慢性関節リュウマチ治療中の突然死

2007-02-15 14:44:28 | うんちく・小ネタ

ある種の「痛み止め」で心筋梗塞 漢方治療の併用で防止

あるリュウマチ患者から、一時期「肝機能が悪化して」中止していた抗リュウマチ剤「セレブレックス」を再開していいか?の問い合わせがあった。

米ファイザー社は、関節リウマチの痛み止めの一種「COX2阻害薬のベクストラ」(一般名バルデコキシブ)の販売を中断すると発表している。

米ファイザー社のもう一つのCOX2阻害薬である「セレブレックス」(一般名セレコキシブ)は既に副作用警告内容が添付文書に記載されており、継続使用されている。

近年、関節リウマチの痛み止めに使われる非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAID=エヌセイドあるいはエヌサイド)の「COX2阻害薬」が心筋梗塞や脳梗塞などの発症率を高めることが明らかになった。アメリカ政府は「すべてのNSAIDが心筋梗塞などを起こす危険性がある」として、メーカーに添付文書に警告文を追加するようにメーカーに要請したという。

慢性関節リュウマチの治療薬は現在、抗リュウマチ剤と痛み止めのNSAIDで行われる。抗リウマチ剤はリウマチの進行を遅らせる薬だが、NSAIDのような直接的な鎮痛作用が無い。日本ではおよそ10種類の抗リウマチ剤がある。免疫調整剤、免疫抑制剤、生化学製剤などの分類があるがとにかく痛み止めとしては効かない。患者にとっては「とにかく痛みを止めて欲しい」が切実なる願い。そこでCOX2阻害薬を服用することになる。しかし、心筋梗塞で突然死にはもちろんなりたくない。「これだけ痛いなら死んだほうがましだ」という場合もあるが、死ぬ危険性を犯してまでも危険な薬剤は服用したくはないのが通常人の感覚だと思う。ところが、驚くほど現在の日本ではNSAIDは蔓延(まんえん)している。手軽に処方され患者も手に入りやすい。

 COX1とCOX2

COX(シクロオキシゲナーゼ)には、胃腸の粘膜を保護するCOX1と、炎症を促すCOX2の2種類がある。NSAIDの多くは、COX1も抑えてしまうので胃腸粘膜が荒れやすくなる副作用がある。事実、胃に穴が開いて出血死した患者もいる。そこで、痛みに関係するCOX2だけを抑制する「COX2阻害薬」が開発された。その結果、NSAID誘発性胃潰瘍の発生率が従来の薬に比べ半分ほどに減少した。

 しかし、果たせるかな、新たな副作用が出現した。心筋梗塞や脳梗塞である。

米政府は昨年12月、「心筋梗塞や脳梗塞の危険性を高める恐れがある」として、心臓病患者への処方や多量の長期使用を避けるよう勧告した。ただし、「服用による利益は危険性を凌ぐ」として、当面、販売継続は認める方針である。日本では慢性関節リュウマチは整形外科が診る。欧米では免疫内科(あるいは膠原病科)が主として診る。整形外科医では心臓病などに詳しい医師は殆どいない。専門外なのである。ましてや脳血管障害などは門外漢である。最近日本でも「心筋梗塞や脳梗塞の既往がある人(起こしたことがある人)や高齢者など、動脈硬化が進んでいる場合は注意が必要であり、念のため、これらの薬を避けた方がよい」と免疫内科から警鐘が発せられるようになったが、何処まで現場医療に浸透しているか疑問である。

されど、COX2阻害剤は悪役ではない

腫瘍免疫(がん免疫)分野の研究では、COX2は活性酸素、TNF-αなどでがん細胞が刺激されると産生されることが判明した。その結果プロスタグランジンE2という癌組織の血管新生を促進したり、がん細胞自体の分裂増殖を助ける物質を作り出す。さらに、プロスタグランジンE2は腫瘍免疫に働くリンパ球を弱体化させることも次第に明らかになってきている。これらの観点からは、COX2阻害剤はがん治療に役に立つ理論立ても可能だ。

僕が慢性関節リュウマチの治療に木香、黄柏、丹参、田七人参を加える理由

木香の中のテルペン類はCOX2産生を抑えるとの報告がある。黄柏の中のアルカロイドには同じくCOX2産生を抑えるとの報告がある。丹参はフリーラジカルを抑え、さらに血液の過凝固性を防止して梗塞性疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)を防止する。田七人参は動脈硬化を予防し、血管の強化とともに血液の過凝固性を防止する。

独活寄生湯(どっかつきせいとう)や疎経活血湯(そけいかっけつとう)をベースにしているが、特にCOX2阻害薬である「セレブレックス」などを服用している患者さんの場合にはCOX2産生そのものを抑え、COX2阻害薬の効果を増強するとともに、その使用量の減少を図り、危険な副作用である梗塞性疾患を防止することに留意している。

なにはともあれ、痛みは除かなくてはならないし、重篤な副作用は防止しなくてはならないのだ。

  続く、、


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