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スイカの皮と西洋人参(清暑益気湯)

2008-02-05 18:09:50 | 漢方

寒い季節に真夏の方剤の話も似合わないと思うが、人参についてここのところ稿を重ねてきたので清暑益気湯について考察してみる。

そもそも清暑益気湯は金匱要略の「えつ病」に効く。

病(えつ病)と書く。

主な症状として、古典には

    発熱自汗(汗をかいて熱がでる)

    煩渇溺赤(煩渇小便短赤)(喉が渇き、小便の量が少ない)

    少気脈虚(ぐったりしていて脈が弱い)

    小便違和感(淋)(なにか排尿時に違和感がある)

などの症状が記載されている。

病机(病因)としては 暑邪感受発熱 気陰両虚と記載され、現代風であれば

熱が体外に放散されることが傷害され、結果として発熱し、気を損ね、脱水になる。ということになる。軽度の熱射病である。

治療は漢方用語で清暑益気養陰ということになり、これも現代風には、熱を下げ、気を増し、失われた陰(体液)を補充するということになる。

方剤としては

    白虎加人参湯

    清暑益気湯(清書益気 養陰生津)

    香正気散(湿による胃腸症状に)

などがあるが、変り種としてスイカの皮と西洋参が君薬である清暑益気湯がある。

組成は 西洋参 西瓜皮 麦冬 石斛 淡竹叶 黄連 知母 粳米 甘草などである。

スイカの皮は清熱解暑に働く。西洋参は益気生津 養陰清熱に働き、麦冬と石斛は養陰生津を補助する。

真夏の激しい運動や、炎天下での労働を余儀なくされるときは、清暑益気湯がお勧めである。


薬膳で使用される人参は粗悪養殖人参?

2008-02-04 15:44:28 | 漢方

TVチャンピオンという番組がある。「鍋料理選手権」という番組を見た。韓国系の料理人が棗(なつめ)や人参を鍋に入れる際に、レポーターが「さあ惜しげもなく立派な人参を2本いれましたあ!」と絶叫していた。

 ものにもよるが、養殖人参でも「いいもの」は確かにある。しかし、番組中の養殖人参は色が白すぎて、皮に張りと艶がなく、主根部がボテッと太っていて、ひげ(須)は断裂していて、とてもじゃないが「いい養殖人参」ではなかった。太ければいいと勘違いするのは殆んどの日本人である。訪韓した際に、韓国の名物料理のサンゲタンを食べて、粗悪な人参が鶏の腹に詰まっていても、太いがゆえに感動するのが日本人である。

 職業柄、患者さんがなにやら持ち込んできて「先生、この粉末は本物か?」「知り合いから買った野山人参だけど、ちょっと見てくれないか?」の鑑定依頼が多い。  結果は? 100偽物の假的(ジャーダ)である。 

 野山人参、天麻(てんま)、田七人参などの粉末は、ほとんどがいわゆる粗悪品、あるいは中国語では假的(ジャーダ)といわれる贋物(がんぶつ)である。

野山人参も養殖人参も、長葉、花、果実は直立する地上茎によって支えられており、この地上部分を総称して台?(タイグアン)という。養殖人参の一部は何回か斜めに植え替えられるので台?(タイグアン)は斜めに地面に寝ている場合もある。台?は人参の最も太い部分である地下の主根と芦(中国語でル-)でつながっている。

主根は土壌の関係によって横向きに生長するものがある。一方、野山人参の原産地は吉林省、長白山などに代表される厳冬地であるので、厳冬期は芦の地表に一番近い部分の芦頭(ルートゥ)は凍りつく危険性がある。その凍結を防止する意味で、芦の主根に近い円柱状の円芦と呼ばれる部分が収縮する。これを年々繰り返していくうちに、円芦が全体として長く彎曲してくる。このように芦は人参の生長とともに湾曲、変形してくるものなのである。一般的に養殖人参は厳冬地域では栽培されないために芦は単純な形をして変形もわずかである。養殖人参の中にも移山人参といい、なるべく野山人参の環境に近くするために掘り起こしては栽培地を移動させるものもあるが、やはり野山人参のような芦はまれである。

上質な人参とそうでないものの違いは主根部の紋である。

主根の膀頭の上にある横の皺(皺紋)を指す。この皺紋は野山人参の下に向かって収縮するという特徴をみごとに反映している。野山人参の皺紋はっきりとした環状紋であって、互いに交錯するような紋ではなく、螺旋を描く紋でもない。 

野山参の紋の特徴は? 

良い野山人参の皺紋は細かく密でかつ深く、条紋が一周ずつ、お互いに独立していて、つながっていない。 微量の黒泥が付着しており、細い鉄線の輪で縛り付けているように見えるために、鉄線紋と呼ぶのにふさわしい。 

鉄線紋を習慣的に肩紋、膀紋、あるいは環紋、皺紋と呼ぶ。よくよく観察してみると、下にある皺紋の縁は上にある皺紋の縁(へり)に接しており、紋の溝は下を向き、紋の縁は上を向く、この種の緻密な皺紋は、直立して生長する芦頭が収縮する際に下に向かって圧力がかかり、多年にわたってその圧力が累積するために生じる。 

   野山人参を賛美あるいは検証する語句に、中国語で“肩紋緊密細結皮”という語句があることが納得できる。

  

比較的いい養殖人参は、まず芦が長く、変形があり、主根がぶよぶよと柔らかくなく、白っぽくなく皮に艶があり、須も長く、途中で断裂いていない。

粉になってしまったものなど信じるに値しない。 これは自信を持って言えることだ。粉になる前からして粗悪品が多いのだから。


薬膳と人参 人参にもいろいろある。

2008-02-01 11:22:47 | 漢方

テレビでの放映が多いせいか、薬膳が人気である。香港やメインチャイナの中華圏の人たちにとっては、「なんで今更、日本で薬膳なのか」とピンとこない。放映の内容を見てみると、まさに玉石混交、○も△も一緒の状態である。

酷暑の上海や年中暑い香港へ旅行された日本人はすでに知っていると思うが、火照った体を涼しくさせ、渇きを抑え、元気を増すために人参と枸杞(くこ)の茶がよくサービスされる。ここで早合点して、帰国して人参と枸杞の実で茶を作って飲んでみるが、大陸や香港でのような効果がでない。むしろ逆効果でより体が熱くなる場合もある。さもありなん。人参の種類が違うからだ。生兵法は怪我の元である。

高麗人参ではなく、アメリカ人参つまり西洋参と呼ばれる人参を使うのである。

人参といっても様々な種類がある。 たとえば田七人参もその一つだ。

田七人参の効能   

田七人参は三七人参とも言われ、漢方薬学では止血薬に分類されている。

止血(かおしけつ)とは、「を取り除いて、その結果止血する」という、やや難しい概念である。 漢方医学では受け止められる概念であるが、西洋医学一辺倒の頭では理解しにくい。

現代薬理学で説明すれば、血液をサラサラにすると同時に出血を止めるという、

やや矛盾するように感じる特殊な止血薬ということになる。

古来より「止血の神様」と言われてきた田七人参の薬理作用を現代風に列挙すれば

1.        田七人参はβ―リポ蛋白、中性脂肪などの血清脂質を減少させ、

善玉コレステロールを増加させる。

2.       動脈硬化指数の有意な改善効果がある。

3.      高脂血症、心血管の動脈硬化症に有効性が認められる。

4.      脳動脈硬化症の防止、脳梗塞の防止作用が期待されている。

5.      捻挫、打撲による腫れをのぞき(消腫作用という)、痛みを除く(除痛)

今や、中国大陸で働きまわる日本の猛烈サラリーマンの多くが、実は循環器系の持病をかかえ、へとへとの状態なのであるが、

心臓の冠状動脈や脳血管の動脈硬化を防止する守護神として、田七人参を愛用している。

外国でポックリと死にたくないためである。

HDL-コレステロール(善玉コレステロール)を上昇させるには運動が良いとは知っていながらも、労働のみで運動をする暇のない方を見かける。田七人参をお勧めする。


どうやって漢方で長生きするのか?

2008-01-27 08:43:49 | 漢方

つまり寿命を延ばすにはどうしたらいいのか?ということになる。

平均寿命では日本は世界一の長寿国である。長寿国の日本人の寿命をさらに延ばすにはどうすればいいのだろうか?入院しながら介護を受け、延命治療を受けないで、健やかに長生きするには?という意味である。

死因消去法が参考になる。

日本人の三大死因とは?

  癌に代表される悪性新生物―― 漢方で防癌 抑癌する。

  心筋梗塞に代表される心臓病― 漢方で活血化 降脂 つまり動脈硬化を予防する。

  脳梗塞、脳出血などの脳血管障害―漢方で活血化 血管強化 降脂、 

  これも動脈硬化の予防ということになる。

これでも不十分である。健やかに老いていくには

  食欲を保つようにするーー漢方医学では中気を保つという。

  怪我をしないようにするーー日常的な注意である。

  快眠ーー漢方的には養心とか寧心安神という。

  快便 快小便ーーこれを漢方的には通利二便という。

  足腰を強くするーーこれを強腰筋骨という。

これらの漢方治療の際に、中国では古来より漢方高貴薬として、次の4つの薬が珍重されてきた。

古来より、中国の長寿富裕層ではつぎのように言われてきた。

野生人参を11g飲めば、1日以上寿命が延びる。しかし高価なので富裕層だけの特権になりつつある。

  霊芝を15g飲めば、1日以上寿命が延びる。しかしこれも野生の霊芝も高価で富裕層の特権になりつつある。

  冬虫夏草を11g飲めば、1日以上寿命が延びる。これも高価になり、もはや庶民には手がでない。

  田七人参を13g飲めば、動脈硬化を予防できる、、、、、と。 これはまだ高価でないために庶民でも手が届く段階である。

人の寿命も金次第ということになりつつある。

長生きの家系というものがあるらしい。それは遺伝的背景があると同時に、上記のような社会的背景も存在するのは確かだ。