鹿児島

2005年10月17日 | 
おそらく、今ごろ東京はもう暗くなっている頃だろう。
しかし、南国である。まだ、空は青い。
人々は元気だ。
それにしても暑い。
それでも、歩いて天文館へ向かう。
連休の所為か、すごい人波である。
正直、この街が、これだけ活気があるとは、
今日まで思っても見なかった。
幼少の頃、「ブルートレインは、西鹿児島まで行くんだよ」
と、聞かされて育った。
子供にとって、鹿児島は、果てしも無く遠い街であり、
ある種の憧れの地でもあった。
新幹線が開通し「西鹿児島駅」は「鹿児島中央駅」となった。
いま。東京からこの街まで直通している夜行列車は一つも無い。
しかし、その距離は縮まった様な気がする。
その鹿児島に、今、私は立っている。
福岡から約1時間。最後のYS11で、鹿児島に降り立ったときに、
ついに、幼少の憧れの地に着いたという喜びと、
しかしそれが、青い列車で来たことではなかったという
少しの寂しさに、複雑な思いがあった。
そんなことを考えながら、白熊アイスを食べる。
次に来る時には、新幹線も博多まで開通しているんだろうな。
否、またこの街へ来ることはあるのだろうか?
旅は、一期一会である。
出会う人も、街角も、すべて二度と出会えないものかもしれないと
そう思いながら、旅をする。
でも、こんな風に考えるのはよくない。
いつか、また来るだろう。

今夜は満月である。
私は、駅へ戻り、宮崎へ向かう列車の右側に席をとった。
いつの間に暮れた空に、一際白く月が輝いていた。
ビールを開けて、窓に映るもう一本のビールと乾杯する。
桜島が、ほんのりと、すこしはずかしそうに照らされていた。
月は、涙で滲んでいた。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする