永野宏三のデザイン館&童画館  アート日和のできごと

イスラエル国立美術館、ミュンヘン国立応用美術館、国立国会図書館、武蔵野美術大学美術館図書館他に永野宏三の主な作品が収蔵。

小さな港町。女たちの港町。

2010-02-03 10:10:07 | 日記・エッセイ・コラム
門司栄町にある古書店で「郷土門司の歴史(唱和63,年発行・中山主膳著)」「門司港駅90年の歩み(昭和56年発行・岡村昭 発行人)」「海峡の女たち(昭和58年発行・林えいだい著)」の三冊購入。「郷土門司の歴史」「門司港駅90年の歩み」は以前その昔所有していのだけれど、誰に貸してそのまま戻ってこなくて、ふと思い出して資料として手元に置いておきたかったので、再び古書店で探したらあった。門司にある古書店だからさすがである。
「海峡の女たち」を一夜で読破。明治・大正・昭和と門司港の沖仲仕が日本の成長経済を底辺で支えた『女ごんぞう』のことをルポした本。この本が執筆されたのは昭和56年。当時の女ごんぞうはほとんど明治・大正生れの人たちだから、現在生存されているかどうかはわからない。戦後、サルトルとボーボワールが来日した時に門司港に足を伸ばし、海峡の沖に停泊している汽船で50・60代の女たちが仲仕の仕事をしているのを観て驚愕したそうだ。全国でも女沖仲仕は門司港だけだそうだ。今の門司港はレトロですっかり観光地にすっかり様変わりしてしまったけれど、明治・大正・昭和と繁栄していた門司港は、鉄道・貿易と商社などの高級商社マンが華やかに町を彩っていた面ばかりが表に出るが、現在のレトロの船だまりを中心とした地域で経済と町を底辺で支えた人たちを歴史の上から消してしまってはいけないと思う。戦前・戦中の『からゆきさん』も門司港から南方に連れていかれたそうだ。運良く手配師に騙されず逃れた若い女性が里に帰る汽車賃もなくそのまま門司港に住みつき仲仕の仕事で生計を立てていたそうだ。この町はたくましい女たちが築きあげたのかも知れない。不況からくる今の日本の現状をみるとひとつも社会の仕組みは変わっていないことに気づく。



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