かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

ブログ版 渡辺松男の一首鑑賞 2の59

2018年04月10日 | 短歌の鑑賞
  ブログ版渡辺松男研究2の8(2018年1月実施)
    【百年】『泡宇宙の蛙』(1999年)P40~
     参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:泉真帆 司会と記録:鹿取未放


59 妣(はは)はいまいずくのくにを旅ゆくや大欅揺れ水ふりこぼす

     (レポート)
亡き母(妣(はは))を思い大空をみあげる作者。欅の大樹からざーっと水滴がおちてくるというのだが、作者の涙もあるようだ。欅の木肌のもつ少し女性的なすべらかさも妣への連想とうまくつながってゆく。(真帆)


     (後日意見)
 「妣(はは)はいまいずくのくにを旅ゆくや」の「いずく」はたぶん宇宙的なスケールなのだろう。大きな欅が風に揺れて雨滴をふりこぼした時、ふっと妣の通り過ぎた気配を感じたのかもしれない。母性と水は繋がりやすいが、「水滴」でも「雨滴」でもなく本質的な「水」を選択したところが、歌を大きくしている。(鹿取)


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