もう一週間以上も前のことになったが、京都で実之さんの遺歌集『日想』を読む会があって参加した。実之さんのお母様と妹様もお見えになり、みんな実之さんが好きだったのねと思える、暖かいよい会だった。
東京方面からは坂井修一、米川千嘉子、川野里子、大井学の各氏が参加された。パネルは司会の島田幸典、川野里子、魚村晋太郎、西之原一貴、大森静佳の各氏。世話役は中津昌子さん。
それぞれが深く、鋭く、興味深い考察をされ、実之歌集の優れた点が浮き彫りになった。また若い歌人の方達の批評の視点は興味深かった。この批評会については、いずれ報告が出るだろうから深入りしないが、以下はパネラーや会場から出された批評の一部のメモ。
★反時代的であることの魅力
★〈私〉を土台にするのが当たり前という感覚が若い人には揺らいでいるが、実之歌集はむき
みで〈私〉である
★京大短歌で緻密な歌い方を学ぶことができてよかった
★仏教的な世界観
★早い時期に晩年までのテーマが出ている
★知と感覚を繋いだ歌が面白い
★助詞が強く、ごつごつした文体に味がある
★切れがあまりない和歌的な文体+京大短歌的な細かさ
★歌によって救われた
現役の京大短歌の人、京大短歌のOB,OGなど多く参加されている中、濃密なつきあいをされた吉川宏志さんや林和清さんのスピーチがあり、その後は伝説の歌人佐々木実之を知っているか否かなど大いに盛り上がった。また父の故郷会津に思い入れのある実之さんに対して、薩摩出身です、とか長州出身ですとかいう挨拶が続いて笑いの連続であった。最後に実之さんの妹、山田陽子さんが歌集のこだわりについて主に装丁などの面から丁寧な説明をされた。この歌集をいかに慈しんで作られたかがよく分かるお話だった。
鹿取さんの歌集十首選を、私のブログに載せました。パソコンのデータにいくつか誤字がありました。送るとき直したかどうか心配になってきました。もし間違ったままなら、本当にすみません。これからもよろしくお願いいたします。
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