かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男の一首鑑賞 43

2015年04月10日 | 短歌一首鑑賞
 
 渡辺松男研究2(13年5月)【橋として】『寒気氾濫』(1997年)21頁
      参加者:崎尾廣子、鈴木良明、渡部慧子、鹿取未放
       レポーター:鈴木 良明
       司会と記録:鹿取 未放


43 葱浄土広大にして先を行く幻へ骨をもちて追いかく

     (レポート)
 葱の育ち方をおもう。炎のように新しい葉を生みだしては消え、生みだしては消えるその姿は変幻自在。成長後の葱といえど、剝けども剥けども芯がでてこない、いわば実体がないのだ。そして葉と茎の区別は不明瞭で真っ青から真っ白へのグラデーション、葱浄土というにふさわしい。そのような葱畑が広大に広がるなかを、葱と違って少なくとも骨格を持つ人間として、幻のような何かを追いかけている。あこがれようなものだろうか。(鈴木)


    (意見)
★私は葱一本の形状ではなく見渡す限り葱畑が広がっている様子を葱浄土といっていると思う。鈴
 木さんの評からするとこの幻というのはあこがれですか?(鹿取)
★生の力ということで。幻のような生の力を追いかけてゆく。それを具体的にいうと作者の意図か
 ら逸れる気がする。葱浄土といっているから誰か亡くなった方への思いかも知れないが。(鈴木)
★葱の歌も渡辺さんにたくさんあって、群馬だから身近なんですよね。(鹿取)
★葱浄土というのはすごい言葉だと思う。葱のことよく知っていないと歌えない。私も葱を作った
 ことがあるが、葱は変化自在で。(鈴木)


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