かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

ブログ版 馬場あき子の外国詠337(スイス)

2018年06月21日 | 短歌の鑑賞
 ブログ版馬場あき子の外国詠46(2011年12月実施)
   【氷河鉄道で行く】『太鼓の空間』(2008年刊)167頁~
    参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、曽我亮子、たみ、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:崎尾 廣子
   司会とまとめ:鹿取 未放


337 美しく遠く思ひのとどかざるアルプスの雪ゆめならず見る

      (当日意見)
★「遠く思ひのとどかざる」をレポーターはどう解釈されますか。(鹿取)
★自然とは意識の疎通ができないことを言っている。(崎尾)
★遠かったが実際に来ているアルプス全体を現在形で詠っている。しかし、見ているけれど一体化
 はできない。(藤本)


     (まとめ)
 「とどかざる」は現在形だから、あこがれていた以前に届かなかったのはもちろん、実際に眺めている今も思いは届かないというのだろう。もし現実に見て思いが届いたのなら、ここは「届かざりし」と過去形になるはずだ。だから「遠く」は物理的な遠さのみではなく、精神的な距離を含んでいるのだろう。憧れていたアルプスにやってきて、夢ではなく目の前にその雪山を見ている。しかしその余りにも美しいアルプスの崇高さにはとても思いは届かない。人間には触れることを許さないような圧倒的な神々しさがそこに在ったのだろう。「とどかざる」と人間の思いを拒絶することで、賛美を際だたせている。(鹿取)



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