![]() | これからの経営学(日経ビジネス人文庫) (日経ビジネス人文庫 ブルー に 1-37)日本経済新聞社日本経済新聞出版社このアイテムの詳細を見る |
日本経済新聞の「経済教室」面に
「やさしい経済学~経営学のフロンティア」と題して
08年9月から半年間にわたって連載されてきた
シリーズをまとめたものです。
執筆者は、一橋大の沼上幹教授や神戸大の加護野・金井教授など
第一線で活躍中のトップレベルの錚々たるメンバーです。
個人的には、
■消費者心理とブランド戦略・・・一橋大 阿久津教授
■変革期の「ビジネス・システム」・・・神戸大 加護野教授
■超長期の企業戦略論・・・神戸大 三品教授
の各論考が好奇心を誘いました。
自分なりにまとめてみると
■消費者心理とブランド戦略
顧客が、自分にとって何が大切かその価値観・世界観と
ブランドイメージとが「共鳴する」関係を築くことができれば
高次のブランド連想が生まれ、顧客にとって意味のあるブランドとなる。
所有することが、あるいはサービスを受けることが
顧客の価値観や世界観を体現するブランドというのは
ヨーロッパにはありそうですが、日本には少ない感じがします。
戦略として、そういうブランドを構築できることが
できれば差別化を図れるし、価格競争に巻き込まれなくて
済むのでしょうが、現実問題難しそうです。
■変革期の「ビジネス・システム」
20世紀のビジネスシステムは、大量の商品を安く生産し、安価に流通させ、
低価格で需要を拡大できる企業間協働関係の構築だったが、
最近のビジネス・システムは、
①スピード、②組み合わせ、③外部化の設計思想で作られている。
20世紀の偉大な経営者である松下幸之助や中内功などを
想像すれば20世紀のビジネスシステムの設計思想をよく理解できるし、
逆に今をときめく、柳井正や孫正義、三木谷浩史などの経営者を
思い浮かべると、現在のビジネスシステムの設計思想が、
スピードと組み合わせと外部化にあるということがよく理解できます。
最後に、
三品先生の論考というかエッセイというか
先生の文章はいつも面白く鋭いですね。
■超長期の企業戦略論
日本企業の売上高営業利益率の低さの指摘からはじまって
事業をPDCAサイクルで回すと戦略不全を招くとの指摘は
示唆に富む。カイゼンによってかえって新たな事業が生まれていない
との指摘です。
そして、経営者が果たすべき固有の役割は、
企業や事業の置かれた状況を的確に診断するところにある
と言い切ります。
診断だけは陰に陽に経営者自身の感性が決定的にものをいう。
それは企業の命運までも左右するという。
もっとも、世界観、歴史観、事業観、人間観が
鍛え抜かれた経営者は年々少なくなってきているのでは
というのが三品教授の嘆きです。
総じて、興味深く読みましたが、
一流大学の一流教授たちが書く経営学って
どちらかというと大企業よりの経営者および
経営者予備軍に向けた内容になっています。
まぁ、講義を聴いてる学生がほとんど
一流企業のサラリーマンになってしまうから
仕方のないことかもしれませんが。
でも日本の経営者の大半は、
中小企業のオーナーですよ!
そして、そういう中小企業にこそ
科学的経営手法は必要なんじゃないかな
と思う今日この頃であります。
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