王の逃亡 小説フランス革命 7 (小説フランス革命) (集英社文庫) | |
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集英社 |
フランス国王ルイ16世の一家が、
パリを脱出、逮捕された事件を描いています。
世に言う「ヴァレンヌ事件」です。
本書が特徴的なのは、
この脱出劇をルイ16世の視点から描いている点です。
マリー・アントワネットの愛人と噂されたスウェーデン貴族フェルセンも、
ルイ16世から見ると間抜けなイケメンでしかありません。
マリーアントワネット視点の作品は数々あれど、
暗愚とされたルイ16世から見た脱出劇は
あまり類書がみあたらないのではないでしょうか。
見せ場の多いフランス革命の中でも、
ヴァレンヌ事件はそれまでかろうじて維持されてきた
国王の権威が失墜していく転機となり、
その後の国王夫妻処刑の悲劇につながっていく事件なだけに、
ハラハラ、ドキドキする局面の多い作品に仕上がっています。
そして、佐藤賢一は
やっぱりすぐれたストーリーテラーだということを
証明した作品にもなっています。
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