「人が住まう限り、そこには毒が入り込む。
なぜなら、われわれ人間が毒なのだから。
・・・その毒の、名前は何だ。
私は、我々の内にある毒の名前を知りたい。
誰か私に教えてほしい。
われわれが内包する毒の名前は何というのだ。」
人間の持つ名もなき毒。
今週ぼく自身の職場での最近の一連の騒動が
「僻み」「妬み」「嫉妬」「猜疑心」「誤解」・・・
によって生じていただけに
その「名もなき毒」について深く考えさせられました。
そんな動機で、人はとんでもないことをしでかす。
そしてその人の持つその毒によって
周囲の人間を困惑と混乱の極致へと
巻き込み傷つけてしまう。
大切なものを失ってしまう。
『名もなき毒』を読みながら
現実的にも並行して『毒』に振り回されていたので
切実感や現実感がありました。
本書自体は、途中冗長感はあるものの
ラストの数10ページは読ませるものが
ありました。この数10ページがあるから
本書は優れた作品になっています。
ラストがいいと作品全体の印象が
よくなりますね。
ミステリー小説なので、
ネタバレになってしまうと
面白さが半減してしまいますが、
犯人自体には劇的な驚きはありませんでした。
ただ、宮部みゆきが人間の持つ業を『毒』と称して
小説に描こうとしているところが
魅力的な作品になっています。
それにしても宮部みゆきは文章がうまいですね。
文章の中に無駄な単語や表現がない。
推敲を重ねてるのか、
そもそも天性なものなのでしょうか?
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