フランチャイズ開業&読書日記・・・どこまで行くの?

2010年7月からフランチャイズ店の営業開始。サラリーマンを辞めての再スタートになります。

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大坂を舞台とする本格時代経済小説がおもしろい!

2014年04月14日 00時14分21秒 | 書評 小説系
銀二貫のNHK木曜ドラマが始まりましたね。
原作が良かっただけに、これからの展開に期待大です。

原作を読んで、
江戸時代の大坂に興味を持ちました。
なにわあきんどの風俗だけでなく
天下の台所といわれた大坂の商業活動は
好奇心を刺激します。

銀二貫にはまった人なら
堂島物語もはまるはず。

世界初の先物市場といわれる
堂島を舞台にする時代経済小説です。

堂島物語(1) 曙光篇 (中公文庫)
富樫 倫太郎
中央公論新社


もうひとつ。
大坂堂島を舞台にした時代経済小説といえば
一手千両 岩井三四二著 
が有名です。

一手千両―なにわ堂島米合戦 (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋


大阪は古くて新しい街。
最新のビジネス街と思ったら、
江戸時代から続く町名が残り
現代に影響を与えています。

これらの小説から
馴染んだ町名を目にすると
もっと奥深い大阪のことを知りたくなりますよ。
歴史的な風情や情緒は
京都や奈良だけの専売特許ではありません!

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時代小説を読み漁ってました・・・。

2013年12月10日 00時13分02秒 | 書評 小説系
ブログをさぼってる間に、時代小説にはまってました。
書評というほどでもないですが、
ふとした拍子に、山本一力著「あかね空」を読んで、
時代小説にはまり、手当たり次第に読み漁ってました。
手当たり次第とはいっても、
仕事をしながらなので数はたかが知れているのですが・・・。

ついで同じ名字の山本健一「千両花嫁」を読み、
また一力に戻って「蒼龍」「損料屋喜八郎始末控え」「峠越え」。
大御所の池波正太郎「鬼平犯科帳」シリーズを3巻ぐらいまで読んだら飽きて、
「のぼうの城」を読みました。

古き良き日本の時代のなかで、
朴訥に地道に誠実に生きる姿が、
心を和ませ、ほっとさせます。

評判の「銀二貫」も良かった。
食品偽装表示で名前があがった大阪の名門ホテルの幹部たちに読んでもらいたい内容です。


直木賞をとった「蜩ノ記」も文庫化されていたので読みました。


小説はつくりものにすぎず、事実の前に圧倒されるときもありますが、
優れた作品は、ときとして真理を突いてきます。
この世の中で、何が本当に大切なのかを考えさせる作品群です。



あかね空 (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋


銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫)
クリエーター情報なし
幻冬舎


のぼうの城 上 (小学館文庫)
クリエーター情報なし
小学館


蜩ノ記 (祥伝社文庫)
クリエーター情報なし
祥伝社

終わらざる夏 上・中・下 浅田次郎著

2013年07月21日 15時17分05秒 | 書評 小説系
暑い日が続きます。
今日は参議院選挙。投票に行ってきました。
一応参政権を行使していますが、
ここ数年期待はずれが多いですから、
期待はしていません。
国民に迷惑だけはかけないようにしてほしいだけです。

精一杯働き、税金を納め、生きていますから。

社会保障制度にしても
消費税にしても
これまでにどうにかする機会は
いくらでもあったはずと思いますが、
どうすることもできず、ずるずると今に至り、
さて、どうしようもできなくなった問題に関して
本当に解決することができるのでしょうか?
ひとごとみたいにいってますけど(笑)


行き詰った結果、
御破算にするつもりではないかと
考えてしまいます。


日本の国家はつい70年ほど前にも
そうした「前科」をもっています。
国家の運営を行き詰らせた挙句
国民を死の淵まで追い詰め
そうしてなにもかも御破算にしてしまった過去が。
今の与党の政治家たちにはそうした反省が
あまり見うけられません。


一方で、真摯に反省しているようにみえる野党の政治家には、
民主党政権の実例をあげるまでもなく
国政を運営する実力が乏しいようにみえます。

これでは誰を選び、どの政党を選択するために
投票しろというのでしょうか?悲惨な現状です。
棄権したみなさん、お気持ち察します。


『この戦争の真の悲劇は敗戦ではない。
国民の意思にかかわらず戦が始まり、
それを国民の意志と断定して継続したあげくに、敗けたのだ。
すべての民主的な手続きを無視し、勝手に戦い、勝手に敗けた。』


終わらざる夏の下巻p281に書かれてある言葉です。

選挙での勝利と政治権力の無制限行使を
混同する政治家が大きな顔をしている
日本政治の現状で、国家の行う選択が
誤らないという保証はどこにもありません。

むしろ、社会保障制度や税制だけでなく
エネルギー政策や、法科大学院制度など
国家意思が示した選択が間違っていたのでは思う政策は
枚挙にいとまがありません。
おかみのいうことは正しいのではなく
国家は判断を誤ると考えていたほうが
より無難なように思います。

国家が誤らないよう監視するのが
選挙だと考えると、
やっぱり投票に行かなくてはならないのでしょうかね。


終わらざる夏 上 (集英社文庫 あ 36-18)
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集英社


終わらざる夏 中 (集英社文庫 あ 36-19)
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集英社


終わらざる夏 下 (集英社文庫 あ 36-20)
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集英社


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秋月記のように・・・。

2013年06月24日 23時34分44秒 | 書評 小説系
この物語の主人公のように
あえて自分が悪者になって
組織を守ろうとする人がいることは
確かに認めます。
それが良いか悪いかは別として。

秋月記 (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)


内情がよくわからない部外者が
外形的な情報だけで批判する愚も
理解しています。

しかし、第三者委員会の報告など
報道されている内容をみてみると
全柔連はひどい状況に陥っています。

首をすげ替えてどうにかなる問題ではないと思いますが
潔くトップが責任をとり辞任しない組織は
腐敗が深まるでしょう。

上村氏では組織の改革は無理です。
改革するのは次のリーダーに任せるべきであり
上村氏が取る責任の方法は辞任しかないと
思われます。

下流の宴(文春文庫) 林真理子著

2013年01月16日 01時54分45秒 | 書評 小説系
久々のヒット。
おもしろかったです。一気に読みました。
林真理子の本はほとんど読んだことはなかったのですが、
NHKのテレビドラマで興味を抱き、原作本を手にとってみました。

黒木瞳主演のドラマのほうは、断片的にしか見ることができてません。



いろんなことを考えさせる良い小説でした。

小説に登場する複数の登場人物が
さまざまな価値観を体現させるキャラクターとして
描かれています。
読む人にとって受け取り方がずいぶん異なることでしょう。

「価値観の多様化」はずいぶん前から言われていました。
だから、世の中にさまざまな考えを有する人がいるのは不思議ではありません。

刻苦勉励が豊かな生活を保証するという価値観が唯一の社会は
とうの昔に葬り去られてしまいましたが、
価値観が多様化した中で、ガツガツした上昇志向の価値観もあれば、
争わず求めない下流志向の価値観も存在し、多極化の様相を呈しています。


何を持って幸せな生き方と考えるかは
百人百様の捉え方があるでしょう。

世間体や見栄を気にする
由美子的生き方を嘲笑することは簡単ですが
人間であれば程度の差こそあれ、
他人と見比べ我が身を省みるところは
日本人なら誰しも持っている性でもあります。

一方で、翔的な、努力をしたくない下流志向の生き方は
現代の風潮とも報じられてもいます。


そして今も昔も、
「教育は、階層を移動する手段である」
ということが根強く信じられています。

フリーターから医学部を目指して受験勉強する玉緒に、
定年退職した初老の男性が、玉緒を励まして
語りかける場面が印象的でした。

「タマちゃん。人間はさ、急に二十歳から、六十歳になるわけじゃない。
その四十年間でさ、いろんなことを経験するんだ。
僕はね、世界中いろんな所へ行ってさ、楽しい経験をいっぱいした。
・・・・
この頃はさ、タマちゃんみたいな若い人たちがさ、どうせ、
人間いきつくとこは同じ、みたいなこと考えているだろ。
あれって嫌だね。
・・・・
二十代からの四十年のことを考えて人間って若い時に頑張るんだよ」


その言葉に、一面の真理が隠されているような気もしました。


下流の宴 (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋


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組織の問題は古今東西いつでもどこでも―八甲田山死の彷徨 (新潮文庫) 新田次郎著

2012年07月20日 02時00分36秒 | 書評 小説系
重大な結果が発生して、
その原因が複数存在し複雑に絡み合うとき
関係者は責任をなすりあい、
被害者は置いてきぼりにされ
醜い様相を呈することがままあります。

大津いじめ事件しかり、
東電原発事故しかり。

でも、これは今に始まったことではなく
昔からある人間の性なのかもしれません。

反省しつつも、幾度となく繰り返される事件事故。

有名な八甲田山遭難事件は、
ロシアとの戦争を間近にひかえた明治35年に
起きました。

青森からは第5連隊が、弘前からは第31連隊が出発し
同じ経路を逆方向から行軍を開始しました。

そして、31連隊は雪中行軍に成功し、
5連隊は暴風雪の中遭難してしまいます。

小説では、その比較が対照的に描かれています。

「二十四日山口大隊長は佐藤特務曹長が田代の道を知っていると話したのを軽率に信用し、この雪中行軍の指揮官たる神成大尉に相談せず『然らば案内せよ』と命じて暗夜田代へ向け行軍したが、進路を誤り、駒込川本流に迷い込み一歩も進むことが出来なくなった。雪中行軍のあの悲惨事は実に山口大隊長が軽率にも、行軍計画者であり、指揮官である神成大尉に相談せず命令を発したのがそもそもの原因である」~新潮文庫175頁より。

直接的な原因は、指揮系統の混乱にあったようです。
この事件は、リーダーの能力や責任に矮小化することも可能でしょう。

しかし、当時異常な気象条件下にあり任務遂行が
困難な状況が認められながら
一旦決めた決定を容易に覆すことができない
その柔軟性を欠いた組織体制に
問題があるように思いました。

そう考えると、学校や東電も
柔軟性のない堅牢で体面やメンツを重んじる組織のイメージが
ばっちりあてはまりますね。

起こるべくして起きた事件事故なのかもしれませんし、
そういう組織作りをしている限り
きっとこれからも同じような事件事故は起こるでしょう。


八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


今年は、新田次郎の生誕100年。「孤高の人」はお薦めです。

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休みに読んだ。

2012年07月10日 22時04分35秒 | 書評 小説系
久々の休日に、読んだ本2冊。


プラチナデータ (幻冬舎文庫)
クリエーター情報なし
幻冬舎


現実社会では犯罪捜査にDNA鑑定が使われ始めて久しいですが、
本書では、さらに進んだDNA分析で犯人の割り出しができるという
画期的な捜査手法がテーマになります。


その誤謬の余地ない科学的捜査において、
そのDNA分析システムを開発した主人公、神楽龍平自身が
犯人とされてしまいます。

神楽にはコントロールできないもう1つの人格リュウがいて、
DNA鑑定の結果を一概に否定しきれず、追い詰められる主人公。

東野圭吾らしい読みやすいタッチで物語がすすみ
意外な人物が犯人として登場します。
上質なミステリーとしてお読みいただければ。






三浦しおん著「風が強く吹いている」


風が強く吹いている (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


こちらは、箱根駅伝を舞台に青春群像を描いた作品。
天才ランナー走(カケル)と駅伝チームの主将灰二(ハイジ)を軸に
10人の若者たちが予選会から箱根駅伝出場までたどる軌跡を描きます。

それぞれの人物造型が見事。
主人公だけでなく、わきをかためる人物達の細かい葛藤まで描いて
目に浮かぶようです。

映像化されているので
今度時間があったらDVDで見てみたいと思いました。


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非効率なこと、ひと手間加えること、これが物事を味わい深くする。

2012年04月07日 14時27分48秒 | 書評 小説系
江上剛著、リベンジ・ホテル (講談社文庫)の紹介です。

リベンジ・ホテル (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社


究極のサービス業として、
ホテルの提供サービスにおけるホスピタリティについては
他業種であっても参考になるところが多々ありますよね。

それゆえ、ホテルのサービスに関するビジネス書は
巷にあふれています。

本書は、就職活動において、さまざまな企業をうけても
内定を勝ち取れなかった主人公が唯一内定をもらった
さびれた地方都市のホテルに就職して成長する物語です。

ホテルが舞台となっているので、サービス業の本質を理解しながら
仕事とは何か、お客さまにサービスを提供することとは何かを
主人公の成長を通じて読者は知ることになります。

読者には、さまざまな立場の方がおられるかもしれませんが
ビジネスを知り尽くした『大人』のビジネスマンであっても
もう一度初心に戻ってあのときの「志」を思い出すのに
この小説は役立つかもしれませんよ。


ともすれば、利益をあげるために
無駄を省き効率を最優先に傾くのが
昨今の企業状況だとは思います。

でも、ちょっと立ち止まって、
非効率な、ひと手間を加えることが
「お客様の感動」につながるということに
思いをめぐらしてもいいかもしれません。


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王の逃亡 小説フランス革命 7 (小説フランス革命) (集英社文庫)

2012年03月31日 15時31分17秒 | 書評 小説系
王の逃亡 小説フランス革命 7 (小説フランス革命) (集英社文庫)
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集英社


フランス国王ルイ16世の一家が、
パリを脱出、逮捕された事件を描いています。

世に言う「ヴァレンヌ事件」です。

本書が特徴的なのは、
この脱出劇をルイ16世の視点から描いている点です。
マリー・アントワネットの愛人と噂されたスウェーデン貴族フェルセンも、
ルイ16世から見ると間抜けなイケメンでしかありません。

マリーアントワネット視点の作品は数々あれど、
暗愚とされたルイ16世から見た脱出劇は
あまり類書がみあたらないのではないでしょうか。


見せ場の多いフランス革命の中でも、
ヴァレンヌ事件はそれまでかろうじて維持されてきた
国王の権威が失墜していく転機となり、
その後の国王夫妻処刑の悲劇につながっていく事件なだけに、
ハラハラ、ドキドキする局面の多い作品に仕上がっています。

そして、佐藤賢一は
やっぱりすぐれたストーリーテラーだということを
証明した作品にもなっています。

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ジェノサイド 高野和明著

2012年02月12日 23時18分01秒 | 書評 小説系
ジェノサイド
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角川書店(角川グループパブリッシング)



大量殺戮を意味するジェノサイド。

最初のうちは、表題と物語はなかなかリンクせず、
日本とアメリカでの二つの物語がパラレルに進んでいきます。

物語の中盤に差し掛かって
二つの物語がリンクして、
物語の全貌が明らかになりだしたあたりから
俄然面白くなっていくので、
そこまでは辛抱して読むべし。


福島の原発事故以来
高度な政治判断という美名の下に
国民に対して必要な情報を隠すというのが
国家権力の常套手段かもしれないというケースが
現実に次々と現れてくると、
この小説に書かれてある権力者たちの行動も
あながち荒唐無稽と笑えないからおそろしい。

人類絶滅の危機を示唆する
ハインズマンレポートの存在をはじめとして
「傭兵」や「創薬」、アフリカのコンゴでの虐殺事件、
などなどディテールの描き方が半端なく精巧なので
非常に現実感が溢れています。

一部残虐なシーンがこれでもかと詳細に描かれますが
そのことが傭兵たちのアフリカ脱出劇の壮絶さを際立たせています。

任務に隠された真実は何か?
背後で糸を操っているのはいったい何者なのか?
最後まで目を離せないスリルを味わえます。

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下町ロケット 池井戸潤著 

2012年01月17日 01時46分40秒 | 書評 小説系
下町ロケット
クリエーター情報なし
小学館


平成23年度上半期の直木賞受賞作。
「空飛ぶタイヤ」の著者の作品です。
ずっと読みたいと思っていた作品でしたが、
やっと読むことができました。
期待通り、いや期待以上の作品でとても面白く
主人公に感情移入して一気に読んでしまいました。



ロケット墜落の責任を取り、
ロケット開発の研究者の道をあきらめ父の会社を継ぎ、
従業員200人の中小企業を経営する主人公。

人生も半ばを過ぎると
抱いていた夢をあきらめざる場面に
直面することは多々あります。

それでも主人公は第二の人生をポジティブに生き
100億円の売上げを有する中小企業に成長させます。

ところが、大口の取引相手の突然の取引停止で赤字転落の危機。
資金繰りの悪化に銀行の支援は全く期待できない。
そこへ大企業から法廷戦略に基づく特許侵害の訴えを仕掛けられ、
大きな危機に直面する。

この危機を主人公はどう乗り切るかが小説前半の山です。

後半は、主人公が開発した特許の買収・使用権、製品納入を巡る
中小企業の意地とプライドを賭けた戦いを描きます。

主人公の経営方針に対する若手社員の思わぬ反発に
とまどい揺れ動く心理をうまく描いてリアルな現実を描きます。
会社ではそんな状況にあるにもかかわらず
家庭では妻との離婚や気難しい年頃の一人娘との軋轢を抱えており、
四面楚歌にあるこの状況を主人公はどう切り抜け乗り越えていくのか、
中年男が抱える様々な問題を巧みに描いて
単なる経済小説の域を超えていました。


それでいて読者に感動と元気を与える本。
お薦めです。


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謎手本忠臣蔵〈上〉〈中〉〈下〉 (新潮文庫)

2011年12月19日 00時33分33秒 | 書評 小説系
謎手本忠臣蔵〈上〉 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


謎手本忠臣蔵〈中〉 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


謎手本忠臣蔵〈下〉 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社



読みなれた物語ですが、忠臣蔵は、本当におもしろい。

忠臣蔵のストーリーは、
「刃傷事件」と「討ち入り」が大きな構成となっているのですが、
刃傷事件には、いまだに解明されていない謎があります。

それは、赤穂藩主・浅野内匠頭長矩が吉良上野介に対し
江戸城内で刃傷事件をおこすほどの「何を」怒っていたのか、
刃傷事件の原因です。

もちろん、さまざまな答えは用意されています。
短慮説、精神障害説、乱心説、賄賂強要説、怨恨説、塩田説など
いろんな作家や研究者が提示していますが、決定的な決め手に欠けるのです。
そこに、作家としての創造性が発揮され、
読者の好奇心が集まるのかもしれません。

謎手本忠臣蔵では、その謎に挑戦します。

当時の時代背景と権力者たちが何を考えていたのかを基軸に
緻密な論理の積み重ねが、推理小説にリアリティをあたえ
おもしろさを倍増させていきます。

刃傷事件が起きたのは、徳川綱吉の治世で
荻原重秀の貨幣論や、渋川春海の大和暦も
物語に微妙に絡んできて、
歴史ファンの好奇心をくすぐります。

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一手千両―なにわ堂島米合戦 (文春文庫)

2011年10月28日 00時29分54秒 | 書評 小説系
一手千両―なにわ堂島米合戦 (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋


幼馴染が心中した真相を探るという
ミステリー仕立てですが、
この小説の特徴は舞台設定です。

その舞台とは、世界初の組織的先物市場といわれる
堂島の米会所なのです。大坂堂島の米市場は
大江橋から渡辺橋のあいだにあったそうなので、
今でいえば、ダイビルや全日空ホテルがあるあたりでしょうか。
対岸の中之島には日銀大阪支店、大阪三井物産ビルなどがあります。

現在では大きなビルや高速道路に遮られ、見晴らしは悪いですが、
当時は大江橋から西の六甲山を眺めて
米相場に関係する明日の天気を占っていたというのですから、
隔世の感があります。


いまでも先物取引は素人が手を出すとやけどしそうな印象をうけますが
当時も仕組みは今より単純とはいえ、相場の値動きで大きな利益を得たり
身代をつぶすような損害を被ったりしていたようです。

歴史モノと経済モノをうまくミックスさせて
さらにミステリーを組み合わせた小説が
おもしろくないわけがありません。


最後に利益を得たのは誰だったか?

買ったと思ったら負け、
負けたと思ったら勝つという
相場の変転を味わいつつ、
ラストまで目が離せません。


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オリンピックの身代金(上)(下)  (角川文庫)

2011年10月02日 22時36分34秒 | 書評 小説系
オリンピックの身代金(上) (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)


オリンピックの身代金(下) (角川文庫)
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角川書店(角川グループパブリッシング)


「空中ブランコ」で直木賞を受賞した奥田さんの小説は
これまで読んだことがなく、これが僕の奥田作品デビューです。

アジアで初の東京オリンピック開催の陰で
オリンピック開催を阻止しようとするテロリストと
何とか逮捕しようとする刑事との死闘を描いた作品です。

戦後から一気に回復を目指し
高度経済成長に沸く熱気ある社会の一方で
ひたすらに貧しい東北地方との格差を
鮮明に描いている点が特徴的です。

オリンピック開催という国家事業の前では
事実を公表しないことも許されるという権力の論理に
違和感を覚えながらも最後まで読み終えました。

ネタバレになるので、
結論はいいませんが、
読後感はすっきりしない終わり方でしたね。

貧しい東北の農村出身の東大生がなぜテロリストになったのか、
その理由に思い入れが入ってしまいました。
オリンピックに限らず、国家的事業に浮かれ
大切な何かを見失ってしまうのは国民性なのでしょう。
オリンピック開催を是が非でも堅持しようとする警察職員の側に
感情移入出来なかったからかもしれません。

3・11の震災以後、原発事故において
国家権力が一体何を守り、
マスメディアが何を報道してきたのかを
私たちは知るところとなりました。
メルトダウンや放射能の拡散など
政府やマスメディアは当初
国民に対して真実を伝えず、
また伝えることができませんでした。

47年前の東京オリンピック当時の出来事ではありません。
47年後の現在でも、この国では本当の真実は
国民に知らされないままなんだなぁという
感慨を残念ながら持っています。


小説の中で、オリンピック開催という国家的事業を目前にして
国民全体が浮かれた状態の中で、
ひとり、見過ごしてはいけないものを見せつけるために
国家に立ち向かっていくテロリストの存在を
単純に「悪」だと決めつけられないところに
この小説のミソがあります。

この小説がフィクションながら
あまりにも真に迫っているがゆえに
かえって気が滅入る印象が強く残りました。

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天地明察 冲方 丁著

2011年09月08日 17時29分36秒 | 書評 小説系
以前から話題となっていた「天地明察」を読みました。
江戸時代前期の囲碁棋士で天文暦学者の渋川春海の生涯を描いた作品です。


時代小説、歴史小説との違いをざっくり区別すると
時代小説は架空の人物を、歴史小説は実在の人物を扱うようです。

本書は、実在する人物をほぼ史実に従って描かれていますが、
多くの人にとっては無名であるこの人物を扱うことによって
さまざまな登場人物と絡ませ、
その中で著者の創造性を発揮することに成功している作品でした。

特に、春海が、老中酒井に命ぜられ、建部・伊藤とともに
日本全国を測量の旅にまわるシーンが僕にとっては印象的です。

歴史の結果だけを捉えたら、
春海は改暦という偉業を成し遂げた人物ですが
そこには春海自身の人間としての成長とともに
様々な苦悩と苦難があったはず。
そういった人間理解を前提にして、物語が展開しています。

誤問を設題してしまい、失意のどん底にいる春海が
建部、伊藤の励ましをうけながら回復・成長していく様は
青春小説でもあり、読む者を元気にさせるストーリーでもありました。

先を生きる者は、若者に対して建部や伊藤のようにありたい、
と思わせるストーリーの展開が見事でした。

来年、映画化されるそうでぜひ映画のほうも観てみたい作品のひとつです。



天地明察
クリエーター情報なし
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