たそがれ時のつれづれに

人生のたそがれ時を迎えて折々の記を・・思うままに

読書・めぐみと私の35年

2014年03月19日 | 読書

お粗末ブログをやるようになってとんと読書から遠ざかりました。
「めぐみと私の35年」横田早紀江 著 取材・構成 歌代幸子 新潮社 2012.8月刊

言うまでもなく北朝鮮江拉致事件被害者のシンボル的存在、横田めぐみさんの母の慟哭と怒りの告白です。まだ読了していません。190ページの普通の厚さですが、2晩で半分以上を読みました。
原著は「新潮45」2012.2~4月号に連載された「めぐみを取り戻すのは今しかない」に大幅加筆、修整されたもの。ノンフィクションライターの歌代氏が協力された。

我が図書館の書籍は新本につけられる「帯」の要点を切り抜き、表扉に貼ってくれていて親切です。
”「拉致から35年、小泉電撃訪問から10年。死ぬ前にもう一度、娘に会いたい。日本政府、国民、そして北朝鮮に向けた最後の訴え。全国民が心に刻むべき母の記録” とあります。

ほんとにそのとおりです。
序章ー今年こそ絶対に 第1章ー追憶 いちばん幸せだったころ 第2章ー絶望 どこにもいない
第3章ー信仰 わたしの家族の原点 第4章ー衝撃 北朝鮮で生きていた 第5章ー交渉 振り回される日本 終章ー祈り とにかく元気でいて 謝辞 という構成です。
第3章まで2晩で一気に読みました。京都で豊かではなかったが、普通の幸せな家庭に育ち、中学2年のとき父が急死し、母と兄が高校だけは行きなさいと、兄が働いて学資を出してくれ、京都市立堀川高校を卒業し就職される。就職先の先輩の女性から見合いの話が持ち込まれる。この女性の主人が日本銀行から京都銀行に勤め、日銀時代の部下が名古屋支店にいるから、ぜひ紹介したいと夫となる滋さんを紹介され結婚した。
滋さんの郷里は北海道で10人兄弟の次男だった。父は釧路江南高校の校長、両親の暮らしぶりを見て大学進学をあきらめ、日銀札幌支店へ就職、10年ほどで名古屋支店に転勤された。出会いの頃の話も興味深かった。

名古屋でめぐみさんが生まれ、東京で双子の男の子が生まれる。めぐみさんが小学校1年生の3学期のとき広島へ転勤、4年半で新潟へ転勤、そして悲しい事件は起こった。
何といっても、第2章ー絶望 どこにもいない 行方不明が突発した状況と心情が胸を打つ。
普通の人なら、鬱になるか狂うか自死の誘惑にさえ陥れられる状況におかれる。
焦慮に悶々と過ごす日々の中、娘と同級生のお母さんが来て、聖書「ヨブ記」を読むよう持参される。気が進まなかったが読み進むうち、深いことが書かれているようで一気に引き込まれる。
「聖書を読む会」に誘われ、アメリカ人宣教師の導きもあって洗礼を受ける。
やはり過酷な中で心を支えたのは信仰だったようです。

それが突然北朝鮮に拉致されたことが分かって、平凡なお母さんだったはずの早紀江さんは娘を取り戻すことに満身の活動を開始された。とにかく感動的で読みやすい良書です。

3日前の会見では滋さんが「本当のことが分かれば、その時は覚悟している」と締めくくられたとネット記事をみました。