遥かな愛・・・~蝉しぐれ(drama)絵巻~その1
土曜日はテレビ映画を昼は山口百恵と三浦友和の「風立ちぬ」を観て、夜は岩下志麻と仲代達矢の「北の蛍」を観た。夕方の原田美枝子と寺尾聡、柴田恭兵の「半落ち」も観るべきだった。
日曜日はいつも観るのど自慢を観ずに1時からの再々放送か、NHK秀作ドラマ「蝉しぐれ」第1回を見た。もちろん初回放送も観たし、再放送も観て今度が確か3回目である。当然劇場で映画も観たことがある。
それだけ視聴者の再放送の要望が多いこと、ドラマの作りがいいこと、藤沢周平の原作がいいことの三重奏であろう。第1回は
“北の小藩の夏。牧文四郎(40)(内野聖陽)は、前藩主の側室で初恋の女性でもあった、ふく(38)(水野真紀)と20年ぶりに再会し、波乱の青春を振り返る。”・・・・
ことから始まった。そして幼少時代の朝の蛇に画面は展開する。10代の初め頃のシークエンスだ。文庫本(文春文庫)も持っている。書き出しは「朝の蛇」、
“海坂(うなさか)藩の組屋敷には、ほかの組屋敷には見られない特色がひとつあった。組屋敷の裏を小川が流れていて、組の者がこの幅6尺に足りない流れを至極重宝にして使っていることであった。」・・・・
文四郎が川べりに出ると、隣家の娘ふくが物を洗っていた。
「おはよう」
と文四郎は言った。その声でふくはちらと文四郎を振り向き。膝をのばして頭をさげたが声は出さなかった。“
洗い物をしていたふくに水汲みに行った文四郎と出会う場面である。流れに乗って泳いできた蛇、やまかがしがふくのゆびを噛む。あっと声を上げたふくに文四郎が駆け寄り、
”「やまかがしはまむしのようにこわい蛇ではない。心配するな。それに武家の娘がこのぐらいのことで泣いてはならん」ふくの指が白っぽくなるほど傷口の血を文四郎は吸いつくしてから、文四郎はふくを放した。"
するするとやまかがしが川を泳ぐ、12歳になって少し色気づいた娘ふくと文四郎、この幼馴染のふたりの朝の蛇の出会いの場面は原作もドラマも本当に秀逸、素晴らしい。
原作の藤沢周平は昭和2年、鶴岡市に生まれる。山形師範学校卒。48年「暗殺の年輪」で直木賞を受賞。主要作品として「蝉しぐれ」ほか多数。確か中学校の教員をしていたが結核にかかり療養中に小説に手を染めたのが本職になったと記憶している。
文章がいいことで有名。わが図書館には藤沢周平コーナーに「あまりに書き込みが多いため、藤沢周平の本は書店でお買い求めください」と、購入してくれない人気だ。
♪ 遥かな愛
歌:普天間かおり 曲:小室等
もしも私
生きてるのが一年だけなら
春の息吹をうけたらすぐに
花を抱きしめ躍りだすのよ
あなたと一緒に・・・♪