クールジャパン★Cool Japan

今、日本のポップカルチャーが世界でどのように受け入られ影響を広げているのか。WEB等で探ってその最新情報を紹介。

『日本はアニメで再興する』(2)

2010年04月13日 | coolJapan関連本のレビュー
◆『日本はアニメで再興する・クルマと家電が外貨を稼ぐ時代は終わった (アスキー新書 146)

前回も触れたよう著者は、「世界の若者の人格形成の日本のアニメやマンガがいかに大きなな影響を与えているかを、日本人自身もっとしっかり知らなければいけない時期がきている」と何度も強調する。実際に世界中の多くの若者やメディアに接した上で語る言葉なので説得力がある。いくつか若者の言葉を拾ってみよう。

「今の若いブラジル人の魂は日本のアニメで作られているんですよ」(ブラジル人、バーバラさん)
「夢中になったものは、これまですべて日本のものでした」「みな同じ人間。考えれば考えるほど、同じ結論(日本のものが好きになるということ)に世界の人たちが至るのは当然だと思います」(ブラジル人、カロリーナさん)
「友情、正義、人間関係に何が必要か、人生で大切なことの多くを、私はアニメやマンガから学びました」(イタリア人、シモーナさん)

ほかに、日本のアニメ・マンガから平和のメッセージを受け取り、「日本のアニメは平和のプパガンダとしてもっと活用すべき」と主張する若者もいた。こうした主張を日本人がもっと真剣に受け止め論じるべきではないかというのが著者の考えのようだ。

次に著者が強調していることに「コスプレとロリータの両立」ということがある。世界の「日本熱」にコスプレが与えた影響は、日本人が考えている以上に大きいと著者は考えている。アニメ・マンガのパワーに、コスプレ人気が重なって、その相乗効果で日本への関心がますます急上昇したらしい。

私もYoutubeで調べ、コスプレ関係の動画へのアクセス数が数百万規模になっていることから、それを実感した。さらに日本では、コスプレとロリータ・ファッションは別系統だが、海外ではアニメ・マンガ人気の延長線上で日本発のポップカルチャーとして、一人のファンが共に楽しんでいる場合も多い。

もう一つ著者が強調していることを挙げれば、アニメ・マンガが日本や日本文化のきわめて巨大な宣伝塔になっていて、そこから日本のファッションや食べ物だけでなく、日本語や様々な伝統文化への関心をすごい勢いで高める結果になっていること。にもかかわらず肝心の日本人がそれにあまり気づいておらず、日本人自身がもっと生の情報を知ってもらうと出かけていくような努力をほとんどしていない。さらにそこに隠されている膨大なビジネスチャンスも逃してしまっているのではないか、ということである。

ともあれ、世界中の日本発ポップ・カルチャー人気の実態をじかに体験し、精力的に取材を続け、それを公にしてくれる数少ない人として著者の活動は、重要であり、もっと多くの人が注目すべきであろう。

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