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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

オペアンプを作ろう③ マイナス出力_2

2010-05-24 23:57:42 | 電子回路
「動作の確認」

フィードバック抵抗を2kΩと1kΩとし、+入力単に図のようにプラスマイナスに振幅するsin波形を入力してみます。入力がマイナスになればQA、QBのエミッタ電圧が下がり、QBのVbeが大きくなりICが増加して出力(OUT)が下がります。そのまま下がり続けて、入力電圧が-1Vの時に出力電圧が-3Vになれば大成功ですが.....。

おっと、出力電圧は0V近辺で頭打ち、というかお尻打ちになってしまいました。よく考えればこれも当然です。入力電圧が-1VのときはQA、QBのエミッタ電圧は-1.7VですからQBのコレクタ電圧は-1.5V辺り以下には下がることができません。ということはダーリントン接続のVbeの電圧降下、約1.4Vを足すと出力はほぼ0V辺りであり、これはどうあがいてもマイナス領域に立入ることは無理です。う~ん残念。さてどうしたものでしょう。

QBのコレクタ電圧が入力電圧以下に下げられないことが問題なのですから、プラス電源電圧近辺からマイナス電源近辺までスイングすることのできるコレクタ電圧をこの回路の中に何とか作ってやればいいわけですね。というわけでトランジスタをもう一つ追加してみましょう。

関連記事:
オペアンプを作ろう④ これでどうだ! 2010-05-27
オペアンプを作ろう② マイナス出力_1 2010-05-21
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オペアンプを作ろう② マイナス出力_1

2010-05-21 21:33:52 | 電子回路
さて、非反転増幅を実現する定電圧回路ですが、マイナス出力させるためにはどのようにすればよいでしょうか?ともかくもマイナス電源を与えなければお話になりませんね。ということで入力段のエミッタ側をマイナス電圧に引っ張ってみます。

上の図のように、エミッタ側をマイナス電源で引っ張ってやれば、QBのコレクタ電圧は、プラス電源電圧からマイナス電源電圧近くまで可変します。入力段はこれで何となくいけそうです。

次は出力段です。オペアンプのマイナス電圧出力時においては多くの場合、OUT(出力)は電流を吸込みます。現在はNPNトランジスタのエミッタフォロワですから電流の吸込みはできません。よってOUT端子にはPNPトランジスタのエミッタフォロワも必要になります。これを追加して図に描いてみましょう。(下の図)

こうすると何となくそれらしい雰囲気の絵になってきましたね。NPNとPNPのエミッタを合わせ、図のように構成したエミッタフォロワをコンプリメンタリ接続といいます。これでOUT端子から電流を回路内に吸込むことができるようになりました。Rbiはダーリントン接続2回路分のVBEの和、約2.8Vをバイアスするための抵抗です。つまりRbiの両端は概ね2.8Vになっているということです。

さてこれでほんとにオペアンプの原型回路ができたのでしょうか?????

関連記事:
オペアンプを作ろう③ マイナス出力_2 2010-05-24
オペアンプを作ろう① 定電圧回路 2010-05-18
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オペアンプを作ろう① 定電圧回路

2010-05-18 19:42:43 | 電子回路
CRやダイオード、トランジスタなど、ちょっとした外付け回路で様々な増幅回路、演算回路が構成できるオペアンプはアナログ制御の主役です。昔も今も、アナログを語るときオペアンプ抜きに話は始まりません。また規模の大小を問わず電子回路を設計するときに、これほど便利なオペアンプを使わない手はありません。

オペアンプをブラックボックスと扱っても何ら差し支えありませんが、ここで少し好奇心を旺盛にして、オペアンプの中がどうなっているのかちょっとのぞいてみることにしましょう。このテーマの核心部分については、「定電圧電源はオペアンプ」で、既にお話ししていますが、フィードバック制御による定電圧(電源)回路は、オペアンプの動作原理そのものと言えます。

では、定電圧回路がオペアンプとして動作する様子を再度確認してみましょう。上の図を見てください。典型的な定電圧回路ですね。VOUT(出力電圧)をR1とR2で分圧しC1815のベース電圧とする(負帰還する)ことにより、左と右、両方のC1815のベース電位は同じになります。左のベース電圧が3Vであれば、右のベース電圧も3Vであり(となり)、結果的にVOUTは6Vになります。(R1=R2の時)。もし2R1=R2であれば、VOUTは9Vになります。OKですね。(^^)

ということは、ベース電圧が図のようなサイン波であれば、VOUTも図のようなサイン波出力になります。これは正に、オペアンプでいうところの非反転増幅回路そのものですね。

下の図は、定電圧回路をオペアンプの非反転増幅回路風に描きなおしたものです。少しオペアンプらしく見えるようになりましたか?実際には入力インピーダンスや無帰還ゲインの大きさ、応答スピード等の検討要素がありますが、定電圧回路はこのように単電源使用のオペアンプと等価と考えることができます。

これだけでオペアンプの半分は作れたようなものです。残りはあと半分。±電源を与えてマイナス電圧入力、マイナス電圧出力ができるようになれば完成です。さて、いったいどうすればマイナス電圧の入出力ができるようになるでしょう?

関連記事:
オペアンプを作ろう② マイナス出力 2010-05-21
オペアンプとは何か? 2007-09-02
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電波とは何か?

2010-05-08 01:28:46 | 電子回路
電波。この非常にポピュラーな言葉を聞いたことがないって人はまずいないでしょう。テレビやラジオ、携帯電話など私たちは日々、身近に電波と接し自由に利用しています。そして何となく、様々な情報を乗せて遙か彼方から空中を飛んで行ったり来たりしているものと感じていることでしょう。日常生活においてはそれで十分こと足ります。しかし、物理現象として電波を考えようとすると、電波はこの世でもっとも不可解で難解なもののひとつに思えてきます。

さて電波とは何でしょう。私もよくわかりません。また一般の電磁気学では解けません。いろいろと調べると、電波もまた「伝送線路」のしわざだろうことが分かってきました。以前、終端抵抗(ターミネータ)の必要性について伝送線路を考えましたが、つまり信号の周波数と電線の長さとの兼ね合いにおいて、電気の速度による遅れが無視できなくなる場合、その電線はただの電線ではなく伝送線路に姿を変えるということです。

上の図は300mの電線に1MHzのサイン波を印可した様子です。このように電線の長さは1MHzの波長とほぼ同じになります。同時刻において、信号電圧は電線の場所によって異なりますから、これは明らかに伝送線路です。結論からお話ししますと、電波はこの伝送線路によって発生するのです。

下の図は上の伝送線路を1/4の長さに切って、先端を開いて垂直に立てたもので、これがダイポールアンテナと呼ばれるものです。アンテナのプラス側とマイナス側それぞれの長さを波長の1/4とすることで、アンテナの先端部の振幅が最大になるため、もっとも効率よく電波を発生できるとのことです。とするなら、信号源の周波数が高ければ高いほど、アンテナは短くてすむということも納得できますね。

ここで注目すべきは、電波は電界と磁界が鎖交しながら伝わっていくという点です。一般には、磁界に鎖交するのは電流ですよね。なぜに電界と磁界が鎖交するのか?ここに登場するのがマクスウェルの変位電流という概念でしょう。なんでも、平板コンデンサの中に磁界が発生することから、変位電流を想定したとのことです。電子の流れが存在しない空間に磁界が発生するというのは確かに不思議ですね。

【余談】
そもそも話をややこしくしている原因のひとつに電磁波という言葉があります。「交流電界も交流磁界も電波もγ線も光もすべで電磁波である」。なんのこっちゃ?です。

実は物理特性の違いによって、これらは明確に2つに切り分けることができます。それは電磁波という言葉のお尻に付いている「波」という性質です。ここでいう波とは、池の真ん中に石を落としたときに波が池の周囲に向かって進んでいくように、空中を進行波として伝わっていくものです。電波は波です。γ線も光も波として伝わります。しかし、伝送線路ではない電線に交流電圧を印可しているとき、その電線の周囲に発生するものは電界です。波の性質は持ちません。また、伝送線路ではない電線に交流電流を流しているとき、その電線の周囲に発生するものは磁界です。波の性質は持ちません。

波の性質を持つものを「電磁波」、そうではないものは「電磁界」と、言葉として使い分けるのが適切でしょう。

関連記事:反射と終端抵抗、周波数と電線長 2010-01-16
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2SC1815のhパラメータ

2010-05-04 17:28:22 | 電子回路
h パラメータとトランジスタ等価回路①h パラメータとトランジスタ等価回路②を参照してください )

図の特性表より、hパラメータの値を読み取ってみましょう。Yランクの場合、VCE=12V、IC=1mAにおいて各hパラメータは

hie=4kΩ
hre=0.5×10^-4
hfe=180
hoe=2.8μS(357kΩ)
くらいです。
* S=Ω^-1(シーメンス)

hreとhoeは非常に小さいですね。 hre=0 hoe=0 とした場合のエミッタ接地増幅回路の等価回路は右の図のようになります。つまり、エミッタ接地増幅回路は実用上この等価回路に置き換えて何ら問題ないということですね。

【そもそもの話】
小信号の増幅など、トランジスタを特性の狭い範囲で使用する場合は、例えばV=IRのような線形特性とみなすことができるのです。よってhパラメータのような「定数」を用いて等価回路に置き換えたり、計算したりすることができるわけですね。トランジスタを等価回路に置き換えることをトランジスタの線形表現ともいいます。
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ADCとDAC③ 逐次比較型AD変換器

2010-04-27 20:13:03 | 電子回路
ではいよいよAD変換器(ADC)にいきましょう。ADCはDACの逆でアナログ入力をディジタルに変換して出力する回路です。これには幾つかの方式があるのですが、ここではいままでの事柄を組み合わせることによってできる逐次比較型ADCを紹介します。図のように、逐次比較型ADCはUP/DWNカウンタとDAC(R-2Rラダー)とコンパレータの3要素で構成され、コンパレータのマイナス入力端がアナログ入力、カウンタの出力がディジタル出力になります。
(カウンタIC、HC191はコンパレータ出力がLでアップカウント、Hでダウンカウントする)

具体的に数値を入れてAD変換の動作を見てみましょう。アナログ入力電圧が2.5Vとします。またカウンタは0000から始まるとします。0000をR-2RでDA変換すると0 (V)ですからコンパレータの出力はLとなりカウンタはアップカウントしていきます。カウンタの出力が0011になるとR-2Rの出力が3Vとなりコンパレータの出力がHとなります。するとカウンタはダウンカウントを始め、結果として0010と0011を繰返しこの値がAD変換出力となります。アナログ入力が4.5Vになると、カウンタ出力は0100と0101を繰返します。

このようにADCの原理も簡単ですね。R-2Rを2倍の段数にしてカウンタを2個使えば8bitのADCとなり変換精度は格段に向上します。またクロック(Clock)周波数を上げれば変換速度が上がります。

関連記事:
ADC とDAC② R-2R抵抗ラダーの妙 2010-04-24
同期カウンタ74HC191 2010-04-12
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ADCとDAC② R-2R抵抗ラダーの妙

2010-04-24 16:27:44 | 電子回路
図の点線で囲んだ部分がR-2Rの抵抗ラダーです。縦並びの抵抗に対し横並びの抵抗がちょうど2倍であることからR-2Rと呼ばれます。また、このようにハシゴ状に組まれた抵抗をラダー抵抗といいます。5VをH、0VをLとして、スイッチを2進数に沿ってオンオフすれば、ディジタル値に対応したアナログ値がOUT端子に出力されます。この原理と計算式についてはこちらで分かりやすく説明されています。下のグラフが、実際にこの回路を動作させて求めたDA変換特性です。

この特性も美しい直線をしていますね。あとはOUT端子にボルテージフォロワなどを付けてやれば4bitDACのできあがりです。スイッチは取り去って100kΩの端子をそのままディジタル入力とすればよいでしょう。このように、DA変換器は簡単な抵抗回路だけでできてしまうんですね。誰が考えたのか巧妙なものです。

関連記事:
ADC とDAC③ 逐次比較型AD変換器 2010-04-27
AD 変換器とDA変換器①加算回路式 2010-04-22
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AD変換器とDA変換器①加算回路式

2010-04-22 09:14:04 | 電子回路
まずはDA変換器からいきましょう。

ディジタルをアナログに変換すること、つまりDA変換にはいくつか方法がありますが、図はオペアンプの加算器を応用した回路です。

ディジタル値は4個のスイッチとDC10V電源で構成しています。スイッチオン=1、スイッチオフ=0です。ポイントはオペアンプの入力抵抗がbit0=100kΩであり、bit1、bit2、bit3、の順に100k/2、100k/4、100k/8となっている点です。さて、この4個のスイッチをbit0から順にオンオフさせて、2進数としてカウントアップしていくと出力(Analog OUT)はどのようになるでしょうか?図のグラフがこの回路の入出力特性です。(実測値)

X軸がディジタル入力値、Y軸がアナログ出力値ですが、ディジタル値はバイナリ(binary)=2進数をディケード(decade)=10進数に換算表示しています。1は0001、3は0011です。グラフは3bit入出力までしか見ていませんが、きれいな直線を示していますね。はい、これが加算回路型DACの入出力特性です。

下の図はディジタル入力にロジックICの「カウンタ」を用いた応用回路です。実際にはカウンタ出力と入力抵抗の間にダイオードが要りますが本図では省略しています。概念のみつかんでください。

関連記事:
ADC とDAC② R-2R抵抗ラダーの妙 2010-04-24
ΔΣ 変調とAD変換 2009-09-02
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「量」はアナログ、「数」はディジタル

2010-04-20 22:16:15 | 電子回路
AD変換器のようなデバイスが世に現れるずっと以前から、実は、人間は頭の中でAD変換を何度もしてきているのです。音や温度や光の明暗など、自然界の物理量はすべてアナログです。水の量や質量などもアナログですね。同様に粘土もアナログですが、粘土を器の形にして焼いて、コップに姿を変えたとき「数」という概念が現れました。このコップに一定量の水を入れれば、水も数えることができるようになります。
Please give me two cups of water.
(英語などは言葉の中に、量と数を明確に使い分けていますね)

つまり「量」がアナログであり、「数」がディジタルということです。例えば、「私の今の体温は36度5分(36.5℃)です。」などといいますね。しかしそれは体温計のメモリの近いところを読んだということで、実際の体温は小数点以下が延々と続く無理数かも知れませんね。ここに量子化誤差が発生しています。よって、アナログをディジタルに変換するということは、「量」を「数」に変換することといえます。「数」は10進数でも16進数でも2進数でも表すことができますね。ディジタル信号処理では扱いやすい2進数を使っているということです。
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C-MOSワンショットタイマ4538

2010-04-17 14:14:36 | 電子回路
スタンダードC-MOSと呼ばれる4000シリーズについても少しお話しておきましょう。74HCシリーズが登場するまでは、ロジックデバイスといえばTTL(74LS)か、この4000シリーズのC-MOSでした。4000シリーズはTTLよりも動作速度は遅いのですが、C-MOSならではの省電力と、何より電源電圧が3V~18Vと幅広くとれることに大きなメリットがあり、オペアンプなどのアナログデバイスとの混在回路に威力を発揮します。一例として、ワンショットタイマ4538を紹介します。尚、現在では4538は74HCシリーズの仲間入りをし、74HC4538があります。

【タイミングチャートの説明】
①B=Hの時A→Hによって(トリガされ)出力QがTwoutの期間Hとなる。(CD=H)
②A=Lの時B→Lによって(トリガされ)出力QがTwoutの期間Hとなる。(CD=H)
③CD=Lの時は常に出力QはL。
④⑤⑥ 出力QがTwoutに達するまでに連続してトリガされるとQはHを継続し、最後のトリガ⑥からTwout後にLとなる。(CD=H)
*出力Q-は常にQの逆論理。

関連記事:555を使ったPWMコントローラ 2010-02-19
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8bitラッチ 74HC573 (3ステートバッファ付)

2010-04-15 00:22:54 | 電子回路
74HC573は、Dフリップフロップの74HC74を贅沢にも8個並べたものと等価です。Q-は省かれて外部には出されていません。「ラッチ」というのはにデータをホールド(記憶)する機能のことです。74HC74も次のクロックパルスが入力されるまでDの論理値をQに保持し続けるのでラッチといえます。74HC573のGと真理値表のLEは名称が異なっていますが同じpinです。Latch Enable の方が、意味がハッキリしていますので以降LEと呼びます。

LEがHの間はD(データ)がQ(出力)に筒抜けとなりますが、LEがLになった瞬間に8bitのデータがすべてラッチされます。ラッチしたデータをQに出力するかどうかはOE-(Output Enable)の論理値によって決まり、OE-がLの時Qに出力されます。ではOE-がHのときは、Qはどのようになるのでしょう。これを少し説明します。 

出力Qは、実は3-State Buffar(スリーステートバッファまたはトライステートバッファ)になっています。3ステートバッファは図のようなシンボルで表し、OE-がLのときQはDを出力しますが、OE-がHのときにはQはハイインピーダンスになります。さて、Qがハイインピーダンスになるとは、いったいどういう意味なのでしょう。

図の「回路例」を見てください。これはNAND回路の2pinに入力するD1とD2をタイミングに合わせて切換える回路です。OE1-がLでOE2-がHのときにはD1がNAND回路に入力され、OE1-とOE2-の論理値が逆になればD2が入力されます。しかしよく見てください。2つの3ステートバッファの出力と出力が接続されています。通常、論理回路の入力インピーダンスは大きく、出力インピーダンスは小さく作られていますから、出力と出力を接続すると短絡(ショート)するためこのような接続はできません。これが前ページでお話した、3ステートバッファのOE-をHにすると出力Qがハイインピーダンスになることの意味です。

つまりOE-をHにすると入出力が遮断されるだけではなく、出力端のインピーダンスが非常に大きくなるのです。これなら安心してD1、D2を切換えてNAND回路に送ることができますね。もちろん、OE1-とOE2-を同時にLにしたらダメですよ。(^^)

CPUやメモリ(RAM、ROM)を使用した回路では、アドレスバスやデータバスという言葉をよく耳にしますが、「バス」とはいったい何なのかということを、3ステートバッファは語ってくれていますね。

関連記事:74HC74の応用(カウンタ) 2010-04-07
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同期カウンタ74HC191

2010-04-12 18:58:51 | 電子回路
74HC191は4bit出力の同期カウンタですが、専用設計されているだけに大変高機能です。あらかじめ設定した4bitデータをプリセットすることができ、アップカウントとダウンカウントを切替えることができます。QA~QDが出力bitで、プリセットデータはABCDから読み込みます。

添付の回路図は、74HC191を2個使った8bitカウンタ回路です。これを3個4個とつなげていけば、12bit、16bitのカウンタになります。同期カウンタですから段数を重ねても出力の遅れはありません。プリセットデータはすべてLとしていますがLDをHにしていますのでデータロードは無効です。

この基本回路に74HC00と74HC74を付加してMAX出力を検出することにより、8bit出力すべてがH(=255)になるとダウンカウントし、8bit出力すべてがL(=0)になるとアップカウントに切換わるという動作を繰り返します。(動作確認のためのテスト回路のようなものです)。MAXがHになるタイミングについては、データシートのタイミングチャートを確認してくださいね。

関連記事:74HC74の応用(カウンタ) 2010-04-07
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74HC74の応用(カウンタ)

2010-04-07 22:54:53 | 電子回路
74HC74を2個使って、4個のDフリップフロップをこのように並べました。INにクロックパルスを入力するとbit0~bit3はどのように出力するでしょう。QとQ-の出力をにらみながらじっくりと考えてみてください。と、いっても答えはもう下のタイミングチャートに書いてありますね。(^^)

左端から順に正論理の2進数がカウントアップしていくのが分かりますか?分かりますよね。はい、このように4bitのカウンタになるのです。すごいでしょ~。また、bit0はINのクロックパルスの1/2の周波数、bit1は1/4、bit2は1/8、bit3は1/16になっているのが分かります。これを1分周、2分周、3分周、4分周といい、求めたいクロック周波数を得る目的でもこのカウンタ回路は使われます。

このカウンタは非同期カウンタといい、Dフリップフロップの段数を重ねてbit数を増やしていけば、後段になるほどINの入力クロックに対して応答が遅れていきます。これではチトまずかろうという用途のために、すべてのbitが常に入力クロックの立上り(或いは立下り)でカウントアップするように回路構成されたものを「同期カウンタ」といいます。

関連記事:
同期カウンタ74HC191 2010-04-12
SRAM(メモリ)の原理 2007-10-16
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ステップダウンチョッパ

2010-04-05 20:30:25 | 電子回路
PWMコントローラTL494を使ってみよう」の付録として、今度はTL494を使った降圧型DC/DCコンバータです。ステップダウンチョッパなどと呼ばれます。スイッチング部の構成のみ昇圧型と異なりますが、あとは同じです。

トランジスタ(2SA1887)がONすると、コイル(100μH)とコンデンサ(470μF)が元電源(15-20V)に対して直列につながり、LC共振回路の過渡特性としてのコイル電流が流れ、コンデンサにチャージされてコンデンサに端子電圧が現れます。トランジスタがOFFするとコイル電流はグランドからダイオード(1DL42A)を通って流れ続けコンデンサを更にチャージし端子電圧が上がります。これを繰返しコンデンサの端子電圧が元電源の電圧と等しくなれば、その後はトランジスタがONしてもコイル電流が流れず、コンデンサの端子電圧が元電源以上になることはありません。

関連記事:
ステップダウンチョッパとフォワード型SW電源 2010-08-25
PWMコントローラTL494を使ってみよう 2010-04-04
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PWMコントローラTL494を使ってみよう

2010-04-04 14:13:18 | 電子回路
入力電圧に対応してパルス幅(デューティ比)が変化するPWMコントローラは、タイマICのNE555などで簡単に作れますが、スイッチング電源の制御などを目的としたPWM専用ICがあります。最近ではMOS-FETの駆動が簡単なM62213P(ルネサス)などがよく使われるようですが、ここに紹介しているTL494はPWMコントローラの定番といわれ、現在でもよく使われています。しかも、プラスチックディップタイプで\150くらいと安価です。

さて、このTL494はどのように動作するのでしょう。いくら便利で安価なものでも使い方がわからなければ仕方がないですね。そこでTL494の動作を確認し理解することを目的として、昇圧型DC/DCコンバータ(ステップアップチョッパとかステップアップコンバータなどと呼ばれます)を作ってみました。その辺に転がっているあり合わせの材料で作ったので最適設計になっているかどうかは怪しいですが、とりあえず目的の動作をすることは確認しています。設計仕様としては、元電源として9V(006P型)の乾電池を使い、それを15Vに昇圧します。電流容量は最大0.5Aとし、これを越えれば電流制限をかけます。TL494は「フの字特性」の電流制限機能を簡単に構成できることも大きな魅力です。

では回路動作の概要を説明します。ステップアップチョッパの基本は、乾電池につながるコイル(100μH)、トランジスタ(2SC5000)、ダイオード(1DL42A)、コンデンサ(470μF)で構成されます。トランジスタのベースに適当な矩形波を入力しトランジスタをON-OFFするとどうなるでしょう。ON時にはコイル電流がゼロから1次関数的に増加しながら流れ、OFFすればその時点のコイル電流がダイオードの方に向きを変えて流れ続けコンデンサにチャージされます。これによってコンデンサに端子電圧が現れ、トランジスタがON-OFFを繰り返せばコンデンサの端子電圧はどんどん上昇し、乾電池の9Vを遙かに超える大きさになります。これがステップアップチョッパの基本原理ですが、作りたいのは15Vの安定化電源ですから、このままでは使い物になりません。そこで登場してくるのがPWMコントローラTL494です。

出力の負荷にかかわらずコンデンサの端子電圧を一定に保つためには、端子電圧が目的の電圧を超えればトランジスタのON時間を短くし、逆に目的の電圧を下回ればON時間を長くすればよいですね。実際には周波数は一定に保ちON-OFF時間の比(デューティ比)を変化させます。つまりPWN制御をすることになりますね。

さて、次にTL494の中身を見てみましょう。PWMの基本周波数はOSCが発生し、周波数の値はCtとRtで決まります。この場合は約22kHzになっています。2つのオペアンプの出力がダイオードORされている3番pin(フィードバック端子)がこのIC理解の肝です。3番pinの電圧は2つのオペアンプの出力電圧(プラス側)の加算値になりますね。PWM出力は、3番pinが0Vの時に最大デューティである49%、3番pinが3Vの時にデューティ比は0%になります。つまり、このDC/DCコンバータの出力電流の変動(負荷の変動)に対応して、出力電圧が一定値を保つように3番pinの電圧は0~3Vの間を変化しているわけです。

この回路では、出力電圧の安定化のために上のオペアンプを、過電流制限のために下のオペアンプを使っています。また、どのような形式の安定化電源であれ必ず基準電圧源を持っています。それがTL494では14番pinであり5Vの定電圧を出力しています。上のオペアンプがこの基準電圧(5V)に基づいて動作するように構成されていることが図から読み取れますね。よって、上のオペアンプの(+)入力端は常に5Vに保たれます(5Vに保つようにPWMに反映されます)。22kΩと11kΩとの分圧点が5Vということは、このDC/DCコンバータの出力は15Vになりますね。

さて、9Vの乾電池よりもずっと出力インピーダンスの小さい、つまりレギュレーションの良い15Vの電源。これは1つ作っておくとなかなか便利かも知れませんね。
(注)ダイオード(1DL42A)を別のものに置き換える場合、逆回復時間(tnrr)の小さなファストリカバリダイオードを使用してください。

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定電圧電源を作ろう③制御 2009-12-21
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