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新型コロナはふつうの風邪の一種?

2020-06-20 20:26:28 | Web News
新型コロナはふつうの風邪の一種?

田中 宇
2020年6月17日

日本での新型コロナウイルスの抗体保有率は東京都で0.10%、大阪府で0.16%、宮城県で0.03%だと日本政府が6月16日に発表した。最近、ソフトバンクが調べた社員らの抗体保有率も0.43%と低かった。その前に東京都が調査した結果も0.6%だった。コロナに関する世の中の見識や私の見立ては従来「感染力が非常に強いので、ワクチンが完成しない限り、人類の6割以上が感染して抗体を保有する集団免疫の状態になるまで感染が拡大する」というものだった。5月の段階でニューヨークやストックホルムの都市部が20%ぐらいの免疫保有率で、集団免疫に近づいている感じだった。しかし今回の日本の抗体保有率は異様に低い。従来の見立て通りに考えると、日本は集団免疫まで何年もかかることになる。どういうことか??。

実は最近、コロナに対する従来の見立てを崩す研究が相次いで出てきている。米国やスイスでの研究だ。それらを総合すると以下のようになる。「人類の多く(40-70%もしくはもっと)は、新型コロナのウイルスが体内に入っても感染しない。既存の他のコロナウイルス(風邪)に感染して得られた免疫が、新型コロナに対する免疫力にもなっているようだ」「その関係なのか、新型コロナに感染した人も、ある程度以上の強い症状に陥らない限り、治癒していく際に体内に新たな抗体が作られない。重症患者だけが、新型コロナの抗体保有者になる」。新型コロナは重症化しない限り、ウイルスが体内に入っても人々が持つ既存の免疫力で退治され、抗体すら作られずに終わる。多くの人は、体内の既存の免疫力でコロナを撃退し、感染すらしないで終わる。感染しないので抗体も作られない。抗体検査しても、抗体保有者が意外に少ない結果になる。新型コロナが既存のふつうの風邪に対する免疫力で退治されるなら、新型コロナはふつうの風邪と同じくらいの脅威でしかなく、ふつうの風邪の一種だといえる。

米国の抗体保有率はニューヨークが高いが、全米でみると3-5%ぐらいだ。中国の武漢は3%で、スペインは5.2%だった。日本では全国民に対する結核ワクチンのBCG接種をしており、BCGは長期的な広範な免疫力の上昇をもたらす。BCGの意外な副作用として人々の広範な免疫力が上がり、新型コロナのウイルスが体内に入っても感染に至らず撃退され、新たな抗体も作られずに終わっている可能性がある。日本の抗体保有率に異様な低さはBCGのおかげかもしれない(中国など、BCG接種を義務づけている日本以外の諸国の抗体保有率はそれほど低くないが)。

感染しても抗体が作られないというと「抗体がないので再感染のおそれがある。新型コロナは人々を何度も感染させて死滅させる恐ろしい病気だ」という恐怖扇動報道になりがちだ。しかし、マスコミや政府が演出する「闇夜の枯れすすき」の誇張を剥いで考えると話が逆になり「新型コロナは、人々の既存の免疫で退治できる程度の低い脅威の病気だ。ふつうの風邪の一種だ」と考えるのが自然だ。

新型コロナに感染しても重症化しないと抗体が作られないことが多いというスイスでの研究結果をふまえて考えると、感染者統計と抗体保有率との間のつじつまも合う。日本では多くの場合、入院が必要なほどの重い症状にならないとPCR検査の対象にならず、感染者統計に載らない。統計上の感染者の多くが、ある程度以上の発症者だ。そして、感染後に新型コロナの抗体を保有するのも、ある程度以上の発症者だ。東京都の統計上のこれまでの感染者数は5600人で、東京都の人口(970万人)の0.06%にあたる。東京都民の抗体保有率は0.10%であり、両者は大体同じ水準だ。そこそこの症状で発症しても肺炎になっていないとPCR検査してもらえないので、発症したのに感染者として扱ってもらえないまま治癒して抗体保有した人が都民の0.04%いたという仮説が考えられる。スペインでは抗体保有率が5.2%と発表された。スペインの統計上の感染者数は30万人で、人口(4700万人)の0.63%だ。抗体保有率が正確なら、中程度以上に発症した人が統計の8倍以上いたことになる。もしくは抗体保有率を精査するともっと低い数字になる。

これまで、新型コロナとの関係について人々を区分すると以下の4つだった。(A)まだウイルスが体内に入ったことがない人。(C)ウイルスが体内に入り感染したが無症状のままの人、その後治癒した人。(D)ウイルスに感染し発症したが軽度な人と、その後治癒した人。(E)感染発症し重症化した人、その後治癒した人、死亡した人。そこに、今回の米国とスイスの研究をふまえると、新たに(B)ウイルスが体内に入ったが既存の免疫で撃退し感染しなかった人、が加わる。(B)の人はかなり多い。人類の半分もしくはもっといる。抗体保有率の異様な低さや、BCGの効果などを考えると、日本などいくつかの国々では、人々の90-99%がこの区分に入るかもしれない。

(B)の区分の人々は、抗体検査やPCR検査で見分けられない。既存の区分において(B)は、これから感染する(A)だと思われていた人だ。だが実際には、(A)の人々はこれから感染しうるが、(B)の人はもう感染しない。次にウイルスが体内に入ってきても、既存の免疫力で再び簡単に撃退できる。新型コロナ専用の抗体がなくても再感染しない。人々の大半が(B)であるなら、(A)の人々の大半も、これからウイルスが体内に入ってきた時に簡単に撃退し、(B)に仲間入りする。雑駁な推測になるが、日本など多くの国は現時点で、総人口のうち、(A)が10-20%、(B)が50-70%、(C)が10-20%、(D)が5%以下、(E)が1%未満でないか。(B)から(E)の合計が60-80%になると集団免疫なので、日本など多くの国は、すでに集団免疫になっている。

ワクチンの必要性も大幅に低下する。ワクチンが必要なのは(A)の人々のうち、将来(E)に入るかもしれない人だが、そのような人はとても少ない。そもそも(E)の死亡者のほとんどは主な死因が新型コロナでなく別の既存の持病であり、コロナ危機が起きなくても近々死ぬ人だった。

ヒトや動物の免疫の仕組みはまだよくわかっていない部分が多い。人が生来持っている自然免疫や、既存の風邪で獲得された免疫、BCGなど既存の予防接種による免疫強化が、人々の体内での新型コロナの撃退に役立っているという話は、コロナ危機の進展とともにぽつぽつと出てきた。それらの仕組みを確定的に検証することは、免疫自体のシステムの全容が完全に解明されない限り困難だ。今のところ(A)の人と(B)の人を見分ける検査も存在していない。PCR検査も抗体検査も、 完全に見分けられるのは(E)の人だけで、(C)(D)の人は陽性になったり陰性になったりする。(A)(B)の人は陰性になり、(A)と(B)を見分けられない。

新型コロナの実体を解明する作業は、ふつうの風邪の実体を解明することに似ている。ウイルスの伝播力は強いが発症性が弱く、多くの人は数日内で治癒するので、感染したかどうか、発症したかどうかの判別が困難だ。その意味でも、新型コロナは風邪の一種だ。「人々の多くが無発症で感染する。感染したら無発症でも他人を感染させるので全員の外出自粛が必要だ。マスクをしていない奴はけしからん」という従来の見立ては間違えだったことになる。実際は「人々の多くはウイルスを体内に取り込んでも感染しなかった。感染していないので他人にうつすこともない。外出の自粛やマスク必須は病理学的な理由からでなく、政治的・儀礼的な理由によるものだ」である。コロナ危機は史上最大の馬鹿な噴飯ものの話だ。

ウイルスを取り込んでも感染しなかった(B)の人が誰なのか、何人いるのか確定できない以上、(B)の存在を反映してコロナ対策を作り直すことが難しい。コロナ対策はもともと非常に政治的で、トランプの米国が日欧などに都市閉鎖を強要した不正っぽい経緯がある。これから各国が急に(B)を意識した政策転換をするとは考えにくい。史上最大の愚策である各国の都市閉鎖・外出自粛・社会距離・マスク義務は、(B)の存在が見えてきたことでさらに愚策になりながら延々と今後も続く。

米国とスイスの研究は、以下の通りだ。米国カリフォルニア州のラホヤ免疫学研究所の研究者たちが、新型コロナ発祥前に集めた、既存の別のコロナウイルス(ふつうの風邪)に感染した11人の血液サンプルを調べたところ、その半分(40-60%)から、今年の新型コロナのウイルスを防ぐ免疫作用を持つ「T細胞(免疫システムの中心的な存在)」が検出された。ふつうの風邪の感染で形成される抗体が、新型コロナに対する免疫力を兼ね備えているらしいことがわかった。ふつうの風邪にかかったことがある人の多くは、新型コロナウイルスが体内に入っても感染(ウイルスを定着、増殖)させないか、感染しても限定的なかたちに制限できる。この既存の免疫作用が、新型コロナが蔓延しているのに感染や発症をしない人が多い世界の現状につながっている。

また、スイス・チューリッヒの大学病院の研究者たちが、病院で新型コロナ感染者(と後でわかった患者)に濃厚接触してしまった医療従事者109人を調べたところ、新型コロナの症状があった92人のうち、11人しか抗体(IgG)が作られていなかった。コロナに感染しても、ほとんどの人には抗体が作られないまま治癒する。109人のうち、(1)無症状でPCR検査も陰性だった人が17人で、この全員にIgG抗体が作られなかった。(2)症状が出たがPCRが陰性の人が71人で、この中の3人(4%)にだけIgG抗体が作られた。(3)症状が出てPCRも陽性の人が21人で、このうちの8人(38%)にIgG抗体が作られた。感染時にまず作られるIgA抗体も、(1)の2人、(2)の4人、(3)の8人にしか作られなかった。発症しても本格的にならないと抗体が作られないことがわかった。

チューリッヒの研究所はまた同じ病院の56人のコロナ発症者も調査し、56人のうち23人(41%)しかIgG抗体が作られていなかった。56人のうち、(1)軽症者が19人で、この中の5人(26%)だけIgG抗体が作られた。(2)重症者が37人で、この中の18人(49%)にIgG抗体が作られた。重症化しても長期的なIgG抗体が作られるのは半数にすぎない。医療従事者と患者を合計すると、165人中34人(21%)にしかIgG抗体が作られなかった。カリフォルニアの研究と合わせて考えると、軽症者や無症状を中心とする残りの人々(79%)は、もともと体内に持っていた既存の風邪の免疫で新型コロナを撃退したことになる。

米国やスイスの研究は対象数が多くなく、広範に検証されたものでもない。コロナ危機の政治歪曲性もあるので「そういう説もあるが真偽は不明で、政策の根拠に使える代物でない」と一蹴されて終わるだろう。しかしその一方で、日本などでの抗体保有率の異様な低さとあわせて考えると「重症化しないと抗体が作られない」というのは一蹴しにくい事実だ。そして、自然の道理から考えて、重症化しないと抗体が作られない理由は、人体が、新型コロナをそれほどの脅威でないと認識しているからだろう。ヒトにとって重大な脅威なのに、感染時に人体が新型コロナの抗体を作らないことはあり得ない。

「新型コロナはただの風邪だ」と言うことは従来「暴言」「他の人を感染させる危険な妄想」とされてきたが、実はそうでなく事実に近いのだと言えるようになってきた。大きな問題はウイルスでなく、多くの人々が歪曲話を軽信して洗脳されてしまったことである。そもそも今回の話を見つけたのは、米マスコミが「フェイクニュース」と非難中傷するオルトメディアのサイト「オフガーディアン」が、この件についての分析記事を出してくれたからだ。実のところ、政治経済の話も含めて、今やマスコミこそが「フェイクニュース」である。

最近「第2波の感染拡大が起きる」と世界的に喧伝されている。だが米国では、検査数を増やしたので感染者が再拡大しているだけだという指摘が出ている。新型コロナの統計はこれまでも各国でいろいろ歪曲されてきた。「第2波」は新手の歪曲と疑われる。
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河井夫妻逮捕は序章 原資を出した党と官邸の関与が核心

2020-06-18 22:03:31 | Web News
河井夫妻逮捕は序章 原資を出した党と官邸の関与が核心

日刊ゲンダイDIGITAL
公開日:2020/06/18 17:00 更新日:2020/06/18 17:37

ついに東京地検特捜部が動いた。昨夏の参院選で地元県議らに現金を渡し、票の取りまとめを依頼したなどとして、検察当局は18日、公選法違反(買収)容疑で、自民党を離党した衆院議員で前法相の河井克行容疑者(57)=広島3区=と妻の参院議員、案里容疑者(46)=広島選挙区=を逮捕した。

河井前法相の逮捕容疑は計約2570万円を選挙運動の報酬として提供、買収した疑い。案里議員の容疑はこのうち170万円で前法相と共謀した疑いがもたれている。

ウグイス嬢と呼ばれる車上運動員に対する違法報酬疑惑に端を発した一連の問題は、法務行政トップを務めた現職国会議員の逮捕に発展。国会議員が夫婦そろって逮捕されるのは、前代未聞のことだ。

2人はこれまで検察当局から複数回、任意で聴取を受けたが、買収行為を否定してきた。しかし、検察は今年1月以降、2人の関係先を家宅捜索し、“現金配布リスト”を押収。検察はリストに基づき地元議員や運動員らに事情を聴いたところ、大半が2人からの現金の受け取りを認めた。「参院選をよろしく」などの発言もあったという。

この参院選では当初、前職の溝手顕正氏だけが自民党公認で立候補するはずだった。しかし、第1次政権時に溝手から痛烈に批判されたことを根に持った安倍首相が案里を刺客に立てた。

捜査の焦点の1つは、自民党本部から夫妻陣営に渡った1億5000万円ものカネだ。通常、候補者には1500万円の資金が渡される。溝手氏に支給されたのも、1500万円だった。なのに、なぜ河井陣営には10倍ものカネが流されたのか。いったい、誰が判断したのか。1億5000万円のカネはどう使われたのか。もし、党本部や大物議員に還流していたとしたら、一大スキャンダルになる。

安倍官邸が、ルールを破ってまで“官邸の守護神”と呼ばれた黒川弘務前東京高検検事長の定年を延長したのは、河井夫妻の公選法違反を事件化させないためだったのではないかと疑われている。捜査によって、安倍政権の暗部が明らかになる可能性がある。

果たして今後の捜査はどう進むのか。案里が出馬した昨年の参院選について、判決が下された。

16日の広島地裁では、車上運動員に法定上限を超える報酬を支払ったとして、公選法違反(買収)罪に問われた案里の公設第2秘書、立道被告の判決公判が行われ、冨田裁判長は「主体的、積極的に関与した」とし、立道に対して懲役1年6月、執行猶予5年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。

検察側は立道について、選挙運動の計画や調整を担当し、連座制の対象となる「組織的選挙運動管理者」に当たると判断。禁錮以上の有罪が確定すれば、広島高検が連座制の適用を求める行政訴訟を起こす方針だ。地裁が懲役刑を言い渡したことで、すでに案里が失職する公算が高まっているが、現職の衆参両院議員が揃って逮捕、起訴なんて事態になれば、憲政史上に残る汚職事件になるのは間違いない。

これまで2人は「良心に照らしてやましい政治行動を起こして法にもとるような政治活動を行ってきたことはありません」(克行)、「弁護士から止められている。申し訳ありません」(案里)などとシラを切り、「党に迷惑を掛けたくない」と言って離党したが、逃げ切れると思ったら大間違いだ。

自民党の党紀では、所属議員が逮捕された場合は党員資格停止か除名。恐らく離党せずに立件されれば、復党が難しいと考えたのだろう。この期に及んでも実に身勝手極まりない。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。

「自民党は所属議員に問題が起きると、いつも『個人の責任』を持ち出してくるが、選挙の際に公認した党にも責任があり、まずは党が疑惑について調査し、国民に説明するべきです。それが政党政治の在り方です。今のような状況をいつまでも許していると、また同じような問題が起きる可能性がある。メディアも世論も厳しく追及するべきです」

■公選法違反事件を巡る構図は、お友達優遇のアベ政治の姿そのもの

公選法は有権者が選挙を通じて民意を示すことを定めている。その法律に違反し、選挙結果を歪めた政治家は、不正選挙で得た議席を返上(辞職)するしかない。つまり、離党なんて有権者、国民にとっては茶番以外の何物でもなく、責任を取ったことにならないのは言うまでもない。

自民党の二階幹事長は、案里の秘書が有罪判決を受けたことに対し、「(党や政権に)影響を及ぼすほどの大物議員でもなければ、そんなに大騒ぎするような立場の人の行動でもない」なんて答えていたが、選挙違反疑惑を持たれている政治家(秘書)に大物も小物も関係ないだろう。

まさか、卑しい夫婦の離党で疑惑に蓋をして幕引き――と考えているのであれば許し難いが、今回の公選法違反はあくまで「入り口」であり、本丸は、背景に横たわる金権選挙の闇の解明だ。

安倍首相や菅官房長官に近しいとされ、党総裁外交特別補佐などを歴任してきた克行。そんな安倍官邸の“お気に入り”の妻(案里)が送り込まれたのは、安倍に批判的な言動で知られた現職(当時)の溝手顕正氏の選挙区だった。

この時、党本部は通常、1500万円とされる選挙資金の10倍に当たる1億5000万円を河井側に渡しており、この金の一部が今回の買収工作に使われていたとみられているのだが、一体、誰の指示で1億5000万円もの資金提供が決まったのか。金はどう流れ、どう使われたのか。安倍や菅の指示や関与はなかったのか。河井夫妻を巡る公選法違反事件は、ここが最大のキモなのだ。

■退官が迫る稲田検事総長が踏ん張れるか

「国会議員は与党であろうと野党であろうと、かけられた疑惑についてしっかり説明を果たしていく責任を負っている」

河井夫妻が離党の意向を固めたことを問われた安倍はこう言っていたが、「責任は私にある」と言うばかりで責任を一度も取ったことのない男がどの面下げて言っているのか。大体、今回の公選法違反事件を巡る構図は、これまでのアベ政治の姿そのものを表しているといっていい。通常の10倍という豊富な選挙資金が提供され、現職の国会議員にもかかわらず平然と現金封筒を配り歩く――。

これらが示しているのは、お友達だけが優遇されるという好き嫌いによる政治の私物化と、安倍のお気に入りであれば何をやっても許されるという傲慢さ以外の何物でもない。揚げ句、地検の捜査に介入し、疑惑潰しを図ろうという意図だったのか、安倍政権は検察人事にまで手を突っ込み、これが疑惑を深めている。要するに、河井事件は党ぐるみ、官邸ぐるみ、政権が“黒幕”に見える疑惑なのだ。

安倍官邸は“守護神”といわれた黒川前東京高検検事長の定年を閣議決定という禁じ手を使ってまで延長し、疑惑のもみ消しを図ろうとしたものの、結局、黒川は賭けマージャン問題で辞職した。こうなると、安倍政権に残された手は、河井夫妻をスケープゴートにして知らんぷりすることしかないが、検察が河井夫妻を逮捕してオシマイ、とはならないだろう。

政治評論家・本澤二郎氏がこう言う。

「1・5億円の選挙資金というのは、普通に考えると、安倍首相がOKしなければ絶対に支出できない。つまり、今回の河井事件=アベ事件なのです。見方を変えると、森友事件の財務官僚のように河井夫妻が全てを話したら安倍政権は終わるかもしれない。だから、河井夫妻はあれだけ強気なのです。ここで退官が迫る稲田検事総長が踏ん張れるか。世論もメディアも今後の捜査の展開を注視する必要があります」

この闇はあまりに深い。
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児玉龍彦氏「21世紀の感染症対策は精密医療で実態把握を」

2020-06-15 13:30:01 | Web News
児玉龍彦氏「21世紀の感染症対策は精密医療で実態把握を」

日刊ゲンダイDIGITAL
公開日:2020/06/15 06:00 更新日:2020/06/15 06:00

新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の全域解除から2週間。安倍政権の号令は「人との接触機会8割削減」から「新しい生活様式」へシフトしたが、コロナ禍収束の気配はない。政府は感染実態を把握しているのか。現状のコロナ対応で出口は見えるのか。当初から疑問を投げかけ、独自に抗体検査に乗り出した専門家に聞いた。

  ◇  ◇  ◇

――「政府と専門家会議の対策は0点」「全国一律のステイホーム要請はナンセンスの極みで日本を滅ぼす」などと政府や専門家会議の対応を手厳しく批判しています。

国民を守るための仕組みが考え抜かれていません。緊急事態宣言の発令で何をしたかといえば、ステイホームを呼びかけるだけ。外出自粛を求められても、活動を制限できない職種がある。病院、高齢者施設、警察や郵便局などの社会インフラを支える人たちで、ステイホーム中にこうした集団に感染が急激に潜り込んでしまいました。コールセンターもそうです。かたや、休業を余儀なくされて事業は追い込まれ、失業者が増えています。非感染者同士の接触を避けるだけでは、感染抑止はできません。

――どんな対策が必要なのでしょうか。

感染症対策の基本は感染者がどこに集まっているかを把握し、感染集積地と非集積地を分ける。さらに、非感染者の中で感染したら危険な人を選り分けることです。高齢者、がんなどの疾病を抱える患者。インフラ関連の仕事に従事している人、高齢者と同居している人、介護関係者、妊婦も要注意です。これらがなされていないことが一番の問題だと思っています。まず、感染集積地に非集積地から医療資源をまとめて投入する。都道府県といった大まかな単位ではなく、集団感染が発生している各地の病院や高齢者施設、コールセンターに資源を集中させるのです。

――新型コロナ発生地の中国・武漢では都市封鎖が実施され、2週間ほどで1000床の病院を新設。4万人を超える医療スタッフが現地入りしたとされています。

感染制圧の対策が徹底していました。20世紀の感染症対策はビッグデータ方式でしたが、21世紀はプレシジョン・メディシン(精密医療)です。検査、診断、陽性者の追跡を精密に行う。それには、包括的かつ網羅的な検査体制をつくり、感染実態を正確に把握することから始めなければなりません。東京都のPCR検査態勢は最大でも1日1万件ほど。ですから、抗体検査で感染集積地を網羅的に把握し、集積地でPCR検査を徹底するのが現実的です。学校や会社、病院、高齢者施設などで抗体検査を実施し、症状のある人や抗体陽性者が多いエリアをPCR検査にかけるのです。

■定期健診に抗体検査を組み込む

――先端研などが参加する研究チームが都内の医療機関で先月採取した1000人分の抗体検査を実施したところ、0・7%にあたる7人が陽性だったとの結果が公表されました。

都内で9万人超が感染したとの推計になりますが、妥当な数字だと思います。東大、慶応大、阪大などの研究者が集まって「新型コロナウイルス抗体検査機利用者協議会」を立ち上げ、プロジェクトの一環として抗体検査を進めています。健康診断で血液を採取されますよね。その残余血清1㏄以下で抗体検査は可能で、感染から2週間経てば抗体を100%検出できる。春の定期健診に組み込む体制をつくるタイミングだと考えています。

――抗体検査では感染の有無のほかに、どんなことが分かるのですか。

重症化しそうな人の判定に抗体反応が極めて有効だということが分かってきました。抗体には感染初期のウイルス増殖中に増えるIgMと、感染後に出現するIgGがあり、早期にIgMが上昇するとサイトカインストーム(免疫の暴走)を招いて重症化する可能性が高い。一方、IgMが正常化した人はPCR検査で陰性と判定され、高い数値が続いている間はウイルスを排出していることも分かります。治療方針がはっきりと定義されてない点も大きな問題です。新型コロナは一部の人にとっては、致死的なウイルス。陽性と診断したら、直ちに(抗インフルエンザ薬として開発された)アビガンを投与する仕組みをつくらなければいけません。

――新型コロナ治療薬候補のアビガンについては、政府が目指していた5月中の承認は見送られ、臨床研究や治験が継続されています。

このウイルスは平均11日間存在するのですが、アビガンの投与で4日間に縮められることが明らかになっています。感染期間の短縮は重症化防止につながる。ただ、動物実験で催奇形性が認められていますので、妊娠の可能性がある場合、男女ともにアビガンの血中濃度が高い間は留意が必要です。それから、感染から2週間の早い段階でIgMが高くなる患者は免疫反応が暴走しやすいので、(関節リウマチ治療薬として開発された)免疫を制御するアクテムラを早期に投与する必要があります。

■行政官を排除し専門家会議をプロ集団に

――国内で感染1例目が判明してから5カ月。いまだに政府の治療方針が確立されず、場当たり対応が続いているのはなぜなのでしょうか。

行政側の官僚は無謬性に縛られ、事後に責任を問われるリスクを恐れて多数意見を重んじる傾向がある。彼らが新たな判断をするのは難しいのですから、専門家が方針を決定しなければなりません。それも形式的な専門家ではなく、分子生物学や免疫学、内科学、呼吸器病学、あるいは集中治療の方法に詳しい人材が集まらないと決められない。ところが、専門家会議のメンバーは、どなたも抗ウイルス剤の開発に携わっていない。だから、アビガンを重症者に効果を見るために投与するといったトンチンカンな判断がまかり通っている。PCR検査を大量に実施すれば医療体制が崩壊するという世界でも例を見ない暴論が言われ、検査を制限したために隠れ感染を増やしてしまった。キチンとした専門家会議は行政官を排除して、少数意見を評価できる専門家の議論として進められるものです。これは世界のあらゆる専門家会議に共通する重要な事項です。

■東アジア沿岸部に未知のコロナ免疫の可能性

――麻生財務相の国会答弁が波紋を広げています。日本の死者が少ないとの認識に立ち、その理由は「民度のレベルが違うから」だと。そもそも、国内の死者は少ないと言えるのでしょうか。

人口100万人当たりの日本の死者は、東アジアで一番多いです。中国の倍以上であることを見ておかなければなりません。東アジアで展開されているように、遺伝子工学と情報科学を駆使し、感染者ごとにGPSで匿名追跡できるシステムの導入が日本にも求められます。例えば、陽性者には「パンデミック番号」を付け、個人が特定されるマイナンバーや健康保険証番号などと結びつけないで管理する。ウイルスを排出する感染者は、非常に重い社会的責任を負うことを自覚していただき、納得してもらった上で、人権問題にも配慮して追跡システムを整備するのが必須だと思います。

その一方で、日本や中国、韓国、台湾などの東アジア沿岸部は、過去にコロナファミリーの何らかのウイルスに感染し、免疫を持っている可能性が浮上しています。抗体検査ではまずIgMが出現し、遅れてIgGが現れるというのが免疫学的なイロハなのですが、都内の調査では、最初からIgGが出た検体がほとんど。つまり、すでにコロナファミリーに曝露されている人が多い可能性があるということなのです。日本ではSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)の感染者は少なかったといわれていますが、類似のコロナウイルスが流行していた可能性も否定できないと思っています。こうした実証的なデータを増やし、それを生かしてキッチリとした対策を立てることが急がれます。

(聞き手=坂本千晶/日刊ゲンダイ)

▽こだま・たつひこ 1953年、東京都生まれ。77年東大医学部卒業、84年医学博士取得。東大先端科学技術研究センター教授、東大アイソトープ総合センター長などを経て18年から現職。東大名誉教授。
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永遠の都市閉鎖 vs 集団免疫

2020-06-13 02:18:04 | Web News
永遠の都市閉鎖 vs 集団免疫

田中 宇
2020年6月8日

北欧スウェーデンの政府は世界でただ一国、新型コロナウイルスへの対策として、都市閉鎖・強制的な経済停止・外出禁止でなく、集団免疫へと誘導する緩い規制の政策をとり続けてきた。そのスウェーデンの(事実上の)集団免疫策を決めてきた政府のコロナ対策責任者のアンデルス・テグネル(Anders Tegnell)が6月4日、ラジオの番組に出演し、もう少し厳しい経済停止や外出禁止など、都市閉鎖の策を採っておけば良かったと表明した。各国政府の現時点までのコロナ統計を比較すると、人口100万人あたりのコロナ死者の人数がスウェーデンは462人で、828人のベルギー、597人の英国、580人のスペイン、561人のイタリアよりは少ないものの、44人のノルウェー、58人のフィンランド、102人のデンマークといった、周辺の北欧諸国よりかなり高い(死因の採り方を一定にできないので致死率の比較はあまり意味がないが)。スウェーデン以外のすべての諸国が、かなり厳しい都市閉鎖策をとってきた。スウェーデンも周辺諸国と同様、都市閉鎖策をとっていたら、現時点までの死者数をノルウェー並みの5分の1ぐらいに抑えられたのでないか、と内外から批判されてきた。

こうした批判に対し、スウェーデンのコロナ責任者テグネルは、周辺の欧州諸国がやってきたような都市閉鎖は過剰で不必要だとする従来の主張を崩さないまま、周辺諸国が採った過剰な都市閉鎖と、スウェーデンが採った寛容な政策(集団免疫誘導策)との中間ぐらいの政策をやるべきだったかもしれないと述べた。欧州では英国も、表向きは都市閉鎖策をやりつつ、スウェーデンよりさらに隠然としたかたちではあるが、集団免疫への誘導を意識したコロナ対策をやってきた。そして、1日あたりの新たな感染者数の増加分は、集団免疫への誘導を隠然も含めて全くやっていないデンマークやイタリアなどの多くの諸国が、5月以降減り続けて非常に少なくなったのと対照的に、スウェーデンでは6月に入って毎日千人の規模でむしろ感染者の増加幅が拡大している。隠然集団免疫の英国も、感染者の増加分は減っているものの毎日千人以上の感染増加となっている。スウェーデンも英国も、死者の増加幅は減った。だが、感染者の増加幅はそうでない。集団免疫策は、感染拡大をある程度容認してワクチンができる前に感染拡大を自然に止まらせる集団免疫を目指すものなので、当然ながら、感染者の増加幅は減りにくい。

スウェーデン政府は以前、6月中に首都ストックホルムが集団免疫状態(抗体保有者が住民の6割以上)に達すると予測してした。だがその後、ストックホルムの抗体保有率について何も発表されていない。その一方で世界的に、抗体保有者の増加の速度がコロナ危機初期の予測よりかなり遅いことがわかってきている。どうやらスウェーデンでも抗体保有者の増加が予測より遅く、集団免疫に達するまでの時間が予想外に長くかかりそうな感じになってきた。今後も何か月か、毎日千人前後の新規感染者がスウェーデンで出続けるかもしれない。その一方で、4月から厳しい都市閉鎖をやった他の北欧諸国などは5月後半から新規感染者がとても少なくなり、一見するとコロナ危機が解決されてしまったかのようだ。スウェーデンの集団免疫策が失敗し、デンマークやイタリアなどの都市閉鎖策が成功したと言いやすい状態になっている。

新型コロナは当初、発症の重篤性は弱いが感染力がものすごく強く、感染しても多くの人は無発症だが、無発症の感染者から他の人に感染拡大し、人々が気づかぬうちに感染がどんどん拡大し、免疫力が低い人々が経路不明の感染を受けて発症し重症化してしまう、と言われていた。だが最近では「無発症者は他人に感染させない」という結論を出す専門家が各国で登場している。米英の専門家は「新型コロナの重篤性はどんどん下がっている。多くの人はウイルスが体内に入っても感染すらしない状態(無発症でなく無感染)まで、新型コロナの重篤性が下がっている」と言い出している。都市閉鎖策の効果があったので感染が拡大しなくなったのでなく、ウイルス自体の威力が低下したという話だ。この現象が、免疫保有者の増加の速度が思っていたよりかなり遅いことにつながっているのかもしれない。コロナの威力の低下が続くと、集団免疫の状態になる前に感染拡大が止まってしまうかもしれない。スウェーデンで、感染者の増加幅が減っていないのにコロナ死者の増加幅が減ったことも、ウイルス自体の威力の低下の話と連動している感じもする。

ウイルス自体の威力が低下しているとしても、それを検証するのは困難だ。ほとんどの国は都市閉鎖策をやっており、感染者がほとんど増えなくなったことの理由が、都市閉鎖の効果なのか、ウイルスの威力低下の結果なのか判断できない。ウイルスの威力が低下しているのだとしても、各国は都市閉鎖をやめていくことができない。都市閉鎖をやめて感染が再拡大したら責任問題だし、マスコミを軽信してコロナに対する過剰な恐怖心を植え付けられてしまった大半の人々(哀れな被洗脳者たち)は、社会距離やマスク着用が全く無意味になっているとしても、かたくなに社会距離やマスク着用をやり続ける。とくに若い人々は、成長期の被洗脳が一生残る(だからこそ、子供たちは感染すらほとんどしないのに、医療的に無意味な休校が延々と続けられている)。大人たちは、子供たちを守ると言いながら、子供たちのこれからの人生を台無しにしている。

ウイルスの威力が低下していようがいまいが、都市閉鎖をやった国々は、閉鎖の強度をやや緩和することはできても、閉鎖の全体をやめて経済や社会の活動をコロナ以前の賑やかさに戻すことは二度と(少なくとも今後10年近くは)できない。「いずれコロナ危機が終わったら・・・」と人々は言うが、そんな時はずっと先まで来ない。都市閉鎖によって、現在のコロナの危険性を測ることが不可能になり、測定不能なので永遠に都市閉鎖をやらねばならなくなっている。「都市閉鎖をやめて、人が死んだらどう責任をとるのか」と率先軽信者に言われたら、みんな黙ってしまう。「都市閉鎖によって、コロナ以外の病気や経済苦で無数の人が死んでいくことにどう責任をとるのか」と、率先軽信者に言い返す人はいない。世界的に、都市閉鎖策は「永遠の都市閉鎖策」として確立した。

「間もなくワクチンができる。都市閉鎖はそれまでの政策だ」という見方があるが、これも不確定なトンデモ話、陰謀論だ。ワクチン完成までには何年もかかるし、副作用がないものが完成したとしても、効く人と効かない人が出てくる不完全なものになる可能性が高い。ウイルス変異の可能性もある(変異したらワクチンだけでなく集団免疫も作り直しかもしれないが)。傀儡軽信筋は「抗体ができても免疫があるとは限らない」という不確定な話を流布するが、「ワクチンができても全員に効くとは限らない」という話はしない。

私から見ると、永遠の都市閉鎖策は、トランプに乗っ取られた米国の軍産複合体(諜報界、外交界、学界、マスコミなど権威筋。覇権運営層)が意図して世界にやらせている策略だ。軍産は、都市閉鎖の愚策を世界に強要するため、都市閉鎖のライバルである集団免疫策をマスコミや権威筋に思い切り誹謗中傷・攻撃させて潰した。スウェーデンは軍産の強要に抵抗して都市閉鎖をやらず、集団免疫を続けたが、他の北欧諸国より致死率が高いことをさんざん非難され、スウェーデン政府のコロナ担当者が自己批判せざるを得ない状況まで追い込んだ。即座に世界のマスコミは、鬼の首をとったように集団免疫策に「大失策」「人殺し」のレッテルを貼りつけ、スウェーデンの野党は集団免疫策を採った政府責任者に殺人容疑の刑事罰を与えるべきだと言い出した。

スウェーデンの担当者が「都市閉鎖はやりすぎだが、その半分ぐらいの厳しさの規制をやるべきだったかも」と発言したのに呼応するかのように、隣国ノルウェーの首相(Erna Solberg)が6月3日に「わが国の都市閉鎖は厳しくやりすぎたかも」と自己批判の発言をしている。この相互の自己批判は、これまで集団免疫と都市閉鎖という両極を進んできたがゆえに相互の人的交流を断絶し続けねばならなかったスウェーデンとノルウェーが、相互に半分ずつ歩み寄る自己批判をして、これから人的交流を再拡大(北欧のトラベルバブルにスウェーデンを加入)できるよう道筋をつけたものと考えられる。だが、世界のマスコミ(と、軍産うっかり傀儡の軽信者たち)は「スウェーデンが集団免疫の失敗を認めた」ことだけを喧伝し、集団免疫だけに大失敗の烙印を押してご満悦だ。コロナ危機では、多くのことが歪曲されている。

ウイルス自体の威力が低下して集団免疫に達する前に感染拡大が自然に止まってしまうのであれば、集団免疫を目指すのも愚策だったことになる。感染拡大の抑止をもう少し強めるべきだった(そうすれば累計死者数を減らせた)というスウェーデン政府の担当者の自己批判に現実的な意味があるとすればそこだ。だがその一方で、感染拡大が自然に止まるとしても、都市閉鎖はやめられないし、都市閉鎖下では感染拡大が自然に止まったかどうかの検証もできない。加えて都市閉鎖は、通院入院不能による他の病気での死者の急増、恒久的な大恐慌と貧困急増、米国での永遠の暴動の継続と覇権喪失など、コロナ以外の部分の愚策性がひしめいている。米国は今後、民主党が知事の諸州で警察の解体や予算減が行われ、警察力の低下の中、各地の暴動が極左と極右の武装闘争に発展し、内戦になっていく。米国の内戦は、コロナの都市閉鎖策が原因だ。米経済はますます破綻する。金融相場だけ連銀のQEで上がり続ける。都市閉鎖の諸国の経済成長はマイナスだが、スウェーデンが先日発表した1-3月の経済成長は年率換算でプラス0.4%だった。

プロパガンダの力を使って都市閉鎖を正当化し、集団免疫を攻撃誹謗する軍産傀儡軽信筋の動きを見ていると、同じ軍産筋が2003年の米軍イラク侵攻時に「政権転覆による中東民主化」を正当化し、イラク占領の失敗予測や開戦大義(イラクの大量破壊兵器保有の濡れ衣)への疑問を表明する人々を攻撃誹謗していた時とよく似ていると感じる。米軍は簡単にイラクを政権転覆し、まもなくイラクは自然に民主化して素晴らしい国になるとマスコミが喧伝し、みんなそれを軽信していた。これは「都市閉鎖でウイルスを撃退し、まもなくワクチンが完成して世界経済は以前の繁栄に戻る」という喧伝・軽信と構造的に同じだ。実のところ、イラクは占領と市民殺害の泥沼に入り込んで何年も続き、イラクの人口の5%にあたる100万人が殺された。都市閉鎖もこれから世界大恐慌と米国内戦の泥沼に入り込んで何年も続き、最終的にコロナで死ぬ人の何十倍もの人が、貧困などで死んでいく。そしていずれのケースでも傀儡筋は以前に自分たちが軽信したことをきれいさっぱり忘れ、次の軽信に移っていく。 (911とコロナは似ている
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真面目な話、安倍政権は「亡国」と「売国」を本気でやるつもりだよ

2020-06-05 14:13:07 | Web News
真面目な話、安倍政権は「亡国」と「売国」を本気でやるつもりだよ

反戦な家づくり
2020-05-27(Wed)

安倍政権批判をいろいろ見ていて、どれもこれもピントがずれてる気がして仕方がない。無能? 改憲やりたい? 私利私欲? もちろんどれも当たってるけど、それは本筋じゃない。

無能なのは操りやすいということ。恥という概念がないから、ある意味殺されない限り無敵。改憲やりたいのは、たぶんポーズ。あるいは煙幕。右翼はコチョコチョされて大喜び、左翼は「すわ護憲」で他に目が向かなくなる。私利私欲は、使命感など欠片もない安倍晋三という役者を動かすためのギャラ。

空っぽで恥を知らない安倍晋三という役者を使って、安倍政権、安倍官邸がやろうとしていることは、無能でもなければ改憲でもなければ私利私欲だけの利権でもない。そんな小さな話じゃない。めざすところは、日本という国を、丸ごと滅ぼして、バラバラにして、その断片に激安の値札をつけて、外資(というか巨大金融資本)に売り払うこと。
つまり、「亡国」と「売国」だ。

亡国とか売国という言葉を使うと、左翼が「国家主義だ!」と青筋立てるかもしれないので、一応断っておくと、国というのは日本という行政単位に所属する、ヒトモノカネコト のことだ。ヒト=人材 モノ=公有資産(例えば水道とか) カネ=金融資産 コト=情報 これらをごっそり外資の支配下に置くことで、日本人が何をやっても、自動的にじゃんじゃか外資が儲かる仕組みになっていく。

実は、日本はすでに半分そうなっている。

対外資産364兆円。資産なんだからいいじゃないかと思われがちだが、結局儲けを回収できない貸し倒れのようなもの。がんばって稼げば稼ぐほど、日本は貧乏になっていく。年金基金のGPIF 約170兆円のうち、すでに47%は海外株式と海外債券に。ゆうちょ銀行 約200兆円のうち32%は外国証券に。結局、カネを刷ろうと稼ごうと、最終的には外国(主にアメリカ)に資金が流れていく仕組みが、もうかなりできてしまっている。

それでもまだ国内にとどまっているのは、水道とか高速道路とかの莫大な固定資産と、日本の住民の暮らしだ。こればっかりは、そのまま外国に売り払っても、マネーのように簡単に持っていくわけに行かない。

そこで竹中平蔵あたりが絶賛売り出し中なのが、PFIとかコンセッションというやつ。要は、公共財の運営だけ民間がやりますよ ってこと。そうすれば、売上はマネーにして持ち出せる。住民の暮らしにかかわる公共サービスも、ぜんぶ売上=マネーになって吸い上げることができる。



ところが、このPFIやコンセッションは、連中が狙っているほどには進んでいない。水道の民営化も、さすがに住民の反対が強くて、なかなか実施にこぎ着けていない。なんやかんや言っても、まだ日本は国の形があるし、自治体の形もある。内戦状態のように統治が機能不全にはなってはいないので、いくらなんでもありの安倍政権でも、住民の暮らしに直結する公共財に手をつけるのは、結構難しいのだ。

だったら機能不全にしちゃったらいいじゃね? というのが安倍政権の基本思考だ。

ここんとこが重要。

安倍晋三が思いっきり無能に見えるのは、本人が無能だからではなくて、無能な安倍晋三という役者を使って、わざと思いっっっっきり無能な政府を演じているのだ。では、どうやって機能不全にするのかというと、偽装と改ざんと隠ぺいである。

最低限の民主主義というのは、最低限の情報があって成りたつ。もし、メディアが100%政権にコントロールされて、水も漏らさぬ状態になっていれば、ウソとでっち上げとデマで、政権党は完全無欠になるし、野党はあらゆる濡れ衣を着せられることになる。まあ、今もかなりそうなりつつあるけど、でもまだそこまでじゃない。というか、実際にはなかなかそこまでの統制というのは簡単じゃない。

安倍政権が狙っているのは、完全統制ではなくて、機能不全。つまり、片っ端からなんでもかんでも、偽装と改ざんと隠ぺい、つまりウソで塗り固めてしまえば、もう政治に対する信頼感がゼロになる。国政選挙でも投票率30%くらいになって、地方選挙なんて10%くらいまで落ち込めばしめたものだ。だれも見ていない行政の闇のなかで、組織票だけでガチガチにかためた与党勢力が好き放題できる。



安倍政権にとって「ラッキー」だったのは、コロナショックだった。コロナを使って日本中の経済活動のクビを締め上げれば、身売りせざるを得ない会社が大量に出現する。なかなか進まないコンセッションの代わりに、とりあえずの貢ぎ物ができる という寸法だ。

さらに感染を拡大させてしまえば、政治も行政も機能しなくなる。その隙に何でも何でも決めてしまえばどうにかなる。こうして出されたのが、スーパーシティ法案だ。ほとんどの公共財の運営を担っている地方自治体を、こそっと民間に入れ替えてしまう。

いちいち事業ごとにPFIだコンセッションだという手続きをすっ飛ばして、基本的な枠組みを地方自治から「内閣-首長-民間資本」の独断でOK の世界に変えてしまう。ヒトモノカネコト のすべてを、一元管理でお渡ししましょう ということ。

こんな法案、いくら一強多弱の国会でも、そう簡単に素通りするもんじゃない。
けど、通ってしまった。安倍官邸にすれば、まったくもってコロナ様々 というわけ。

安倍政権のコロナ対策が、見るも無惨だったのは、無能だったからではない。(安倍個人は無能かもしれないけど、官邸は無能ではない)わざと なのだ。感染予防も中途半端 経済支援も中途半端なのは、わざと感染を広がるようにして、わざと企業が潰れるようにしたのだ。

わ ざ と である。

ただ、安倍官邸の思惑が外れたのは、意外や意外、「期待」したほど感染が広がらなかったこと。マスクや手洗いの習慣とか、BCG日本株とか、いろいろ言われてるけど真相は不明。でも、欧米に比べると、桁違いに感染は少なかった。もちろん、PCR検査を極端に抑制したので、知らずにかかった人、知らずに亡くなった人はかなりいると思うけど、それでも欧米に比べると圧倒的に少ない。

これまた、わざと 医療崩壊がおきるように、政府は準備をネグレクトしたけど、自治体や病院の頑張りでなんとか切り抜けてしまった。

もしコロナが欧米なみに猖獗を極めていたら、雀士黒川もすんなり検事総長になっていただろうし、もっともっと売国法案が目白押しに通されていただろう。ちなみに、雀士黒川の使命は、もちろん安倍晋三の個人的な犯罪をもみ消すこともあったろうけれども、「売国に」にともなってこれから起きる住民訴訟やM&Aにからんだ訴訟を、強硬に指揮すること。安倍晋三と同じくらいに恥知らずで言うなりで、かつちょうど良いポジションの検事が彼くらいしかいなかった、ということなんだろう、きっと。

しかし、コロナが安倍官邸が期待したほどには広がらず、むしろ暗く重苦しい空気の中で、芸能人が本音を語り始めたりしたことで、安倍官邸の企みは半ば潰えてしまった。内閣支持率も、自爆とはいえ20%台に落ち込んだ。



しかししかし、3年前を思い出さなくてはならい。というか、2017年の経験があるから、安倍官邸は余裕で自爆テロをかけてきたのだ。少々支持率が下がっても、野党さえバラバラにしておけば、ぜんっぜん余裕だぜ!

そこでメディアがとったのが、維新・吉村よいしょ大作戦だ。朝から晩まで大阪の吉村知事をテレビに出して、野党票を維新へ維新へと追い込み漁だ。以前は立憲をよいしょして天狗にさせ、共闘させないのがメディアの戦略だったけど、もはや支持率5%の立憲ではそんなことをする価値もないとばかりに、維新活用に余念が無い。

もう、何度も何度も同じことを言ってるんだが、やはり野党は協力しなくちゃ、国民からはアホやと思われる。

無理な野党共闘は民主主主義じゃないとか、色々言われるけど、原点に返って考えてもらいたい。政治の目的は「国民の生活を守る」ことでしょ。だったら、それに役立つようにするのが、国民のほうを向いた政党の役割だ。

何も、主義主張を取り下げて、何もかも妥協しろと言うんじゃない。今、なんとしても国民の生活を守るために必要なこと その部分だけ共通項にして、それ以外は派閥でもなんでも作って別々の主張を続ければいい。

生活苦は、GDPの数字なんかで見るよりもはるかに悲惨な状態が、これから明らかになってくる。怨嗟の声は地に充ち満ちている。その声に耳を傾け、手をさしのべる政治なのか、そうでないのか。二者択一である。

立憲、国民、共産、社民、れいわの各党は、まずはこの苦難を乗り越えるための共闘団体として一体になり、国民に顔を向けるべきだ。自分たちの主張も結構だが、「国民からどう見えるか」を、よくよく振り返ってもらいたい。

このままバラバラのままだったら、「どんなに無能で酷い安倍政権でも、10万くれたし、何もしない野党よりはマシ。」「なんだか(よくわからんけど)一所懸命やってそうな維新のほうがいい。」という結果になることは 火を見るより明らか。本当に、何のために政治をやっているのか、野党の皆さん、初心に返って自らに問うてみてほしい。



ほんなら、大阪5区はどないすんねん! と事情に詳しい人には言われそうだ。

私の職場がある大阪5区(此花、西淀川、淀川、東淀川)は、今3人の野党が次期衆院選に名乗りを上げている。現職の立憲・長尾氏、共産の宮本たけし氏、れいわ新選組の大石あきこ氏。で、私は今んところ大石さんの応援をしている。たしかに、ここまでに言ってることと矛盾してるよね。

よりによって、小選挙区で野党が三つ巴なんて、最悪の状態。長尾さんは現職だし、宮本さんは昨年現職をなげうって大阪12区の補選に出た人だし、大石さんは今のところ関西で唯一のれいわの予定候補だ。

私は、自分の考えは大事にしたい、でも、リアリストでありたい、とウン十年前に決めたのだ。だから、ちょっと分かりにくい言い方になるけど、私の立場は、大石さんの支援者として、大阪5区の野党統一候補をもとめる ということ。それは何も自分が応援しているから大石さんを何が何でも統一候補にしろ という話ではなくて、政策を詰めて、勝てる戦略を冷静に考えて、クリアーに統一候補を決めてもらいたいのだ。


繰り返すけど、何のための政治なの ってこと。

安倍政権は、わざと政治不信をかき立てて、政治なんてばからし、選挙なんてウルサいだけ、もうどうでもいいよ。に持ち込もうとしている。それに対峙できるのは、絵に描いたフルコースディナーではなくて、明日の糧になる本物の餅なんだ。

それができなければ、野党は総崩れ、もはや存亡の危機。内閣支持率の下落にぬか喜びしている場合じゃない。
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スウェーデンの集団免疫、いよいよ「効果アリ」の声が聞こえてきた

2020-06-01 00:27:13 | Web News
スウェーデンの集団免疫、いよいよ「効果アリ」の声が聞こえてきた

世界も雰囲気が変わってきた(みゆき ポアチャ)

現代ビジネス
2020/05/29

■生活は普段とほとんど変わらない

4~5月と暖かい晴天が続き、スウェーデンの人々は軽装になって街へ繰り出している。

通りのカフェでは多くの人がランチやフィーカ(コーヒーブレイク)を楽しんでいるし、ショッピング、レストランやバー、スポーツジムにも通常通り出かけている。マスクをして出歩いている人は、ほぼ一人も見かけない。

私自身は、4月最後の週末には近所の友人ら二十数人とビールを飲みながら、川べりでソーセージを焼いてバーベキューピクニックを行なった。

5月初めの週末には義弟一家がやってきて二泊し、庭でラムを焼いたりサーモンを焼いたりして、まったりと過ごした。

この季節にはほぼ毎年繰り返される、いたってありふれた日常だ。

Googleのデータによると、この間のスウェーデン人の行動パターンは、レストランやショップ、およびエンターテインメントに関連する活動の動きは1月~2月に比べて3月~4月は13%減少したが、公園など野外へ出かける人は82%増加している。

ちなみに近隣諸国と比べると、レストラン・ショップ・エンターテインメント関連活動は、同期間にフィンランドでは45%減、ノルウェー43%減、デンマーク22%減である。厳格な封鎖策が実施されているイタリアとスペインでは92%の減少だ。  つまりスウェーデン人の行動様式は多少変化はしたものの、近隣国と比較するとほとんど変わっていない、と言えるだろう。

驚くべきことに(と言っても、スウェーデンにいる身からすると驚きではないのだが)、スウェーデンの大多数の人々は、コロナ危機が勃発する以前から今日に至るまで、ほぼこれまでと変わらない日常を送っている。我が家の高校生の長男は自宅でオンライン授業を受けているが、中学生の長女、小学生の次女は普段通りバスで学校へ行っている。

特筆すべきことなど、ほとんどないのだ。

長男は給食の代わりに、市内の好きなレストランでランチを受け取り、自宅で食べる。QRコードを見せて無料で受け取れ、費用は自治体が負担。この施策により外食産業も恩恵を受けている。

■集団免疫策を採った唯一の国

有効なワクチンが開発されていない段階で、新型コロナウイルスを抑制するには、軽度の感染者をどんどん増やして、国民の半数以上が体内にウイルスに対する抗体を持つ集団免疫の形成が一つの有力な対策とされる。

この集団免疫策を採っているのは世界で唯一スウェーデンだけである。

スウェーデンは強制的な封鎖や移動制限、飲食店への休業命令などを導入せず、国民にできるだけ外出を控えるよう要請するという緩やかな対策を実施している。その上で重篤な発症者を出さず、医療破綻を避けながら経済や国民生活にも過度なダメージを与えず、集団免疫を獲得していくという戦略を実施している。

厳重な閉鎖や自粛策をとらない場合、人口が多く、人の交流が多い大都市のほうが、免疫保有率が高くなり、より早く集団免疫の形成が達成される。

一定の地域で集団免疫が形成されると、その地域に他から感染者が入ってきても、周囲のほとんどが抗体保持者なので他人に感染していかず、ウイルス危機が再発しない。感染して抗体を得た人は一定期間、体内の抗体が維持され、その間は人に接しても他人から感染しないし、他人を感染させることもない。

なので、新型ウイルスの抗体を得ている人は、行動を自粛する必要がない。都市閉鎖に近い状態になっても、広範な抗体検査を実施し、抗体を得ていると確認できた人から順番に、病院や役所や企業や店舗や学校に復帰して働くようにしていく。国民の大半が集団免疫を得た後なら、高齢者が外出しても感染しなくなる。このような方法でウイルス危機を克服でき、安全に閉鎖を解いていくことができる。

これに対し都市閉鎖(ロックダウン)や外出自粛の強要は、感染拡大を一時的に遅らせるが、閉鎖や自粛を解いたら感染拡大が再発するので根本的な解決策ではない。有効なワクチンが存在しない中でのコロナ危機の解決策は集団免疫の獲得だけである。

■「集団免疫で死者急増」は本当か

多数の人を感染させる集団免疫策は「命を危険にさらす」策だと批判されているが、スウェーデンでのコロナによる死亡率は高くはない。ロックダウンを継続している他の欧州国で、死亡率がスウェーデンよりも高い国はたくさんある。

5月10日の時点で、人口100万人あたりのスウェーデンのコロナ死者数は314人である。

ロックダウンを続けている他の欧州諸国を見ると、人口あたりの死者数がスウェーデンより多い国はベルギー751、スペイン566、イタリア502、英国475、フランス392、オランダ316となっている。3月から完全にロックダウンをした英国と比べても、スウェーデンは好成績だ。

都市閉鎖をしないスウェーデンが、他の都市閉鎖をしている欧州諸国より低い致死率であるということは、スウェーデンの集団免疫策は現段階では成功していると言えそうだ。

ちなみに、スウェーデンでの死亡者の87%が70代以上であるが、これは高齢者施設でクラスター(集団感染)が発生したことが主な死因だ。死亡者の多くが高齢者施設に住んでいたことを考えると、ロックダウンをしなかったために死亡者が増えた、と短絡的には言えないだろう。

私見であるが、新型ウイルスで亡くなる人の多くは高齢だったり、もともと持病を持っていた人であると考えられるので、このウイルスによる世界全体の死者数はおそらくそれほど急増しないのではないか。日常的に、どこの国でも毎日数十万人もの人々があらゆる病気で亡くなっているからだ。高齢や病気で亡くなる人の死因に「コロナ」が追加されるというイメージだ。

■「ロックダウン」か「集団免疫」か?

しかし現在、世界のほとんどの国が過酷な都市封鎖(ロックダウン)や外出規制などの措置を敷き「コロナ封じ込め」策をとっている。

顕著な例は中国だ。

中国は1月末以降、全国的に強烈な都市閉鎖を数か月にわたって行い、感染拡大を何とか封じ込めた。その結果、ウイルスの増殖が抑えられて感染拡大が落ち着き、新たな感染者が少なくなった。しかし都市閉鎖と外出規制の結果、免疫保有者が増加せず、集団免疫が形成されていく過程が進んでいない。

つまり確定的な終息の状態にはならないままである。これは真の解決ではない。

中国はこの後、自国内で感染拡大を抑えて国内での人の移動や交通が再開できても、免疫保有者があまりいないところに他国から新たな感染者が入ってきた場合、再び感染が広がってしまう。そのため、国外からの人の流入と、中国人の海外渡航を、今後もずっと大きく制限し続けねばならない。

こうしてロックダウン策は、長期間にわたる都市や国家の閉鎖により、経済の停滞を引き起こし、経済破綻、財政破綻、金融破綻、雇用と市民生活、教育を破綻させ、貧困を拡大させるなど、現代社会に甚大な影響を与える。それぞれの国が国境を封鎖し都市を閉鎖して、国際的なネットワークが解体されている。

非常事態宣言は経済と社会、市民生活に打撃を与え、グローバリゼーションの足を引っ張る。

■集団免疫の達成は「茨の道」か

集団免疫策に不確定さとリスクがあるのは事実だろう。

スウェーデンは、世界から「集団免疫策は人殺し政策だ」「人命を尊重していず倫理的に問題だ」という批判を受け続けている。世界保健機関(WHO)はロックダウンを奨励しているし、米国トランプ大統領は「スウェーデンはロックダウンしないという決断に対し多額の代償を支払っている」と名指しで批判している。

これら有形・無形の批判や妨害に屈したのは英国とオランダだ。

英国ジョンソン政権は3月15日に集団免疫策を発表した。これは、都市を閉鎖せず、高齢の家族と同居していない若者の出勤・通学を容認し、高齢者や持病持ちを擁護しつつ若者から順番に集団免疫を獲得させていくという案だったが、批判を受け数日後に撤回した。

オランダもほぼ同時期に集団免疫策を提示したものの道半ばで放棄し、結局都市閉鎖の政策に転換した。断念に至った背景は、表向きは「危険度が高いことが判明したからだ」と説明されているようだ。

しかしワクチンが開発されていない現段階では、何らかのやり方で集団免疫に到達することしか、コロナ危機の真の終息はない。

現在の都市閉鎖策のマイナス面も勘案しつつ、積極的な集団免疫策を試行錯誤していく方が、コロナ危機による被害の総量を減らせるのではないのだろうか。

■集団免疫の達成まであと一歩

新型ウイルスの感染力は非常に強いが、感染しても無症状で回復する人が9割近いと言われている。こうして抗体を持つ人が徐々に増えているようだ。

スウェーデンの保健当局である公衆衛生局のアンダーシュ・テグネル博士は4月16日、首都ストックホルムでは集団免疫が達成しつつある兆候を示し始めており、感染抑止に効力を発揮し始めたと言及した。

5月7日、ストックホルム・リンケビー地区では、アル=シャカージ医師が「この地区では集団免疫がほぼ達成されたようだ」と報告した。

そして5月9日には、ストックホルム大学のトム・ブリトン教授が、英ノッティンガム大学との共同研究で「スウェーデン人口の40%が免疫を持てば集団免疫が達成でき、ストックホルムでの感染の拡大は6月中旬に止まる」ことを示す数理モデルを示した。テグネル博士も「これが実現するのは完全に可能だ」としてこの論を支持している。

ブリトン教授によると、リバプールの別のグループもこれとほぼ同じ結論に達している。ハーバード大学の著名な疫学者であるマーク・リプシッチ氏もこの報告に言及し、前向きにツイートした。

公衆衛生局は、集団免疫の進展具合に関する調査報告を5月中に発表するとしている。

スウェーデン以外でも、例えばイタリアでは4月24日、1日のコロナによる死者数が3月19日以来の最低数を確認したと報告された。

これも明らかに、集団免疫が達成しつつあることを示していると言える。

■世界の雰囲気も変わってきた

これらの事実を受けて、世界の風向きも変わってきたようだ。

4月30日、世界保健機関(WHO)のエグゼクティブディレクターであるマイク・ライアン博士は、スウェーデンは発生の最初からすべての正しい動きをしたとし、同国を新型コロナウイルスとの闘いにおける世界の"モデル"として賞賛した。

「私は多くの点でスウェーデンが将来のモデルを表していると思いますーロックダウンされていない社会に戻りたいのであれば」。

米欧より数週間早くコロナ感染が始まった東京や大阪などの大都市での免疫保有率は、おそらくもっと高率のはずだ。非常事態宣言が発動されなければ、なし崩し的に集団免疫に近づいていたのかもしれない。

世界各国が集団免疫に向かっていたら、早晩各種の国際ネットワークやグローバリゼーションが再開されていただろう。

「社会科学の実験国家」ともいわれているスウェーデンは、これまで世界初の新機軸を次々に打ち立ててきた。

そしてこのたびも、「集団免疫の獲得」という、国民の多数の命がかかった壮大な実験を行おうとしている。

レナ・ハレングレン保健社会相は、世界保健機関(WHO)主催の会見で「我が国は自国の状況に最善と判断される対策を実行しているのです」と言明している。スウェーデンは、米国や他欧州国からの同調圧力には屈せず、自国の状況に最善と判断される対策を毅然として実行しているのだ。

そしてほとんどの国民は、政府に大きな信頼を寄せ、この施策を信じ国の未来を見ている。

とは言え現実的には、集団免疫策が本当に正しい方法なのかどうかは今の段階ではまだ不透明だ。

コロナ危機がどう収束し、コロナ終焉後の世界がどうなるのかは誰にも予測できないからだ。

しかし、多くの若者が亡くなったかつての大戦時と違い、今回の危機は若者が生き残るので、社会の再生はより容易なはずだ。

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みゆき ポアチャ

在スウェーデンのジャーナリスト。埼玉県生まれ。1996年スウェーデン・ヨーテボリ大学で日本語教師、1997年ロンドン・スクール・オブ・ジャーナリズム基礎コース終了、2004年スウェーデン・ルンド大学大学院経済学修士課程終了。スウェーデン中西部のボロースでスウェーデン人の夫、子供3人と在住。共著『「スウェーデン・モデル」は有効か―持続可能な社会へむけて』(2012年、ノルディック出版)
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