これは1000A~3000A程度のDCモータをPWM制御するチョッパ回路です。スイッチング素子としてサイリスタを使用している点がミソです。もう20年以上前のシロモノですから、今のような便利なパワーデバイスは当然にもありません。それだけに、非常に工夫を凝らした、おもしろいメカニズムになっています。
添付の図に沿って説明します。
まず、MCRのゲートがトリガされMCRが導通し、モータ電流が流れ始めます。これがチョッパオンです。至って簡単ですね。
次に、チョッパオフですが、モータ電流がある程度の大きさになった時点でACRのゲートをトリガすると、MCR、ACR共に導通しACはALを経て放電電流を流します。(ACはあらかじめ外部から充電され端子電圧は供給電源電圧と等しくなっています)
この次が巧妙です。ALとACがつながると、LC共振回路が構成されて、ACからALに向かう電流がゼロになった後、振動電流が逆方向に流れ始めます。この電流はしだいに大きくなり、MCRとACRに並列接続しているダイオードを通じて流れるため、これによりMCR、ACR共にオフとなります。同時にモータ電流はFWD方向に向きを変えます。そして振動電流が再びACを充電して一連の動作を終了します。
以上がLC共振を駆使したサイリスタのオンオフ動作のメカニズムです。因みに、ACRオンから一連の動作が終了するまでの時間はALとACの共振周波数の1周期で、2π√(LC)≒83μSecとなります。
大電力モータを回すために、今わざわざこんなゲテモノ?を作ろうかという猛者はいないでしょうが、動作がおもしろいことと、昔の技術者の苦労とレベルの高さに感銘を覚えてここに紹介しました。
(余談)
試みに、身近にある小電力用のサイリスタとダイオード、そしてエナメル線を適当に巻いてインダクタを作り、まったく同じ回路構成で1/10000モデルを作ってみたら、ちゃんとマブチモータのPWM制御ができましたよ。
(^^)
添付の図に沿って説明します。
まず、MCRのゲートがトリガされMCRが導通し、モータ電流が流れ始めます。これがチョッパオンです。至って簡単ですね。
次に、チョッパオフですが、モータ電流がある程度の大きさになった時点でACRのゲートをトリガすると、MCR、ACR共に導通しACはALを経て放電電流を流します。(ACはあらかじめ外部から充電され端子電圧は供給電源電圧と等しくなっています)
この次が巧妙です。ALとACがつながると、LC共振回路が構成されて、ACからALに向かう電流がゼロになった後、振動電流が逆方向に流れ始めます。この電流はしだいに大きくなり、MCRとACRに並列接続しているダイオードを通じて流れるため、これによりMCR、ACR共にオフとなります。同時にモータ電流はFWD方向に向きを変えます。そして振動電流が再びACを充電して一連の動作を終了します。
以上がLC共振を駆使したサイリスタのオンオフ動作のメカニズムです。因みに、ACRオンから一連の動作が終了するまでの時間はALとACの共振周波数の1周期で、2π√(LC)≒83μSecとなります。
大電力モータを回すために、今わざわざこんなゲテモノ?を作ろうかという猛者はいないでしょうが、動作がおもしろいことと、昔の技術者の苦労とレベルの高さに感銘を覚えてここに紹介しました。
(余談)
試みに、身近にある小電力用のサイリスタとダイオード、そしてエナメル線を適当に巻いてインダクタを作り、まったく同じ回路構成で1/10000モデルを作ってみたら、ちゃんとマブチモータのPWM制御ができましたよ。
(^^)