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参院選次第では翼賛体制 小沢一郎の不気味な予言は当たるのか

2022-01-01 17:16:21 | Web News
参院選次第では翼賛体制 小沢一郎の不気味な予言は当たるのか

日刊ゲンダイ
2021/12/28 17:00

その先には果たして何が待ち受けているのか。

日本経済新聞とテレビ東京が共同で24~26日に実施した世論調査で、岸田内閣の支持率が65%となり、1カ月前と比べて4ポイント上昇した。読売新聞や、毎日新聞と社会調査研究センターの世論調査でも、それぞれ12月の支持率が前月比で6ポイント上昇。過去四半世紀を見ると、発足から3カ月間で約8割の政権の支持率が下落しており、右肩上がりで上昇している政権は極めて異例と言っていいだろう。

だからといって岸田政権が特別に優れた政権なのかといえば、そんなことは全くない。支持率がアップしている理由は簡単。安倍・菅という2代続いた政権があまりにひど過ぎたからだ。

国権の最高機関である国会で嘘をつくのもへっちゃら、国民の財産である公文書を隠蔽し、平気で改ざん。意見具申する官僚は左遷し、「飛ばしてやったよ」と大はしゃぎ。やりたい放題のそんな暴政を長い間、見せつけられてきた国民にとっては、少なくとも表面上は穏やかに見える岸田が「まだマシ」と映ってしまうのも無理はない話だ。

例えば新型コロナウイルス対策についても、岸田が水際強化の指示を口にしただけで「何かやっているのでは」と錯覚してしまう。実際は対応が遅く、とっくに水際は決壊。市中感染が広がっている可能性が高いにもかかわらずだ。

■岸田は「安倍の愚策」を「政権浮揚」に利用

「財政資金効率化の観点から、布製マスクの政府の在庫について、ご希望の方に配布し、有効活用を図った上で、年度内をめどに廃棄するよう指示をいたしました」


税金の無駄遣いとして怒りの声が出た「アベノマスク」の在庫約8200万枚の処分を表明した岸田。森友問題については「私自身も真摯に向き合い、説明責任を果たすべく努力しなければならない」などと言い、さらに「桜を見る会」の問題でも、「大いに反省すべき点があった」と強調。

「(自分の内閣では)開催しない」と明言したことから、最近はメディアで<「脱安倍」の姿勢を鮮明にする岸田首相>などと取り上げられるケースも増えた。

自民党内で異論の声が出始めた衆院定数の「10増10減」に対し、「審議会の勧告に基づく区割り改定法案を粛々と国会に提出するというのが現行法に基づく対応だ」と突き放したことをめぐっても、<安倍の地元・山口県で選挙区が1減になることを承知した上で、あえて踏み込んだ>などと評する声が報じられているが、ちょっと待て。

年間保管料が億単位でかかる「アベノマスクの廃棄」なんて別に「脱安倍」でも何でもないし、桜問題を振り返って「反省する」のは当然。そもそも岸田は桜問題発覚当時、自民党の政調会長に就いていたのだから、なおさらだ。

「10増10減」の区割り改正法案の維持についても、今さら見直しを訴える方が異常と言わざるを得ない。岸田がやっていることは「政権浮揚」のために「安倍の愚策」を利用しているだけで、「負の遺産との決別」でも何でもないだろう。

福田赳夫元首相の秘書を務めた中原義正氏がこう言う。

「大手メディアが報じる『脱安倍』が事実であれば、なぜ、臨時国会閉会後に安倍事務所にのこのこ出かけていくのか。誰が考えても、ご機嫌うかがいの挨拶ではないか。つまり、政治課題に本気で取り組む気などない。どうすればいかに長く総理大臣を続けていられるか、だけだ。財政規律を無視した予算を組むのも、『カネを配るから支持して』という本音が透けて見える」

■岸田も安倍・菅と同じ嘘つきの仲間

中原氏が指摘する通り、おそらく岸田の頭にあるのは来夏の参院選だけ。それまでバラマキを続けて国民の歓心を買い、「脱安倍」や与野党対立を避けるフリをするつもりだろう。すべては政権維持のための芝居であり、その薄っぺらな演出に国民がまんまとだまされているのが、異例の支持率右肩上がりの実相なのだ。全くクラクラしてしまうが、このままだと最悪の場合、参院での野党惨敗が現実味を帯びてくるだろう。

「菅前総理から岸田総理へと代わり、岸田くんが特別に良いわけでもないけれど、イメージは菅くんと対照的。日本人は新しいご祝儀が好きだから、岸田人気は別として、自民党が強くなるかもしれないと警戒していたら、その最悪の予想が当たってしまった」

立憲民主党の小沢一郎氏は日刊ゲンダイ「注目の人直撃インタビュー」(17日付)で、衆院選の野党敗因を振り返りつつ、さらに来夏の参院選についてもこう言及していた。

「このままじゃ(野党は)勝てないだろう。惨敗しかねない」

衆議院議員歴52年、自民党幹事長も務めた大ベテランの小沢がここまで言い切るのだから信憑性はある。「不気味な予言」とも言っていいが、仮に小沢の言う通り、参院選で野党惨敗となれば、それこそ翼賛体制まっしぐらだ。

■岸田ヨイショの翼賛報道を信じるな

「聞く耳を持つ」「真摯に説明する」などと耳当たりのいいことを言いながら、翼賛体制構築へ突き進む。

岸田政権の姿勢は、かつて「国内各論の融和を図る」などと称して登場し、その後、戦争への道を切り開いた近衛文麿内閣を彷彿させる。だからこそ、選挙に勝ったら何をやるのか警戒が必要だし、野党はこのままではやりたい放題にされてしまうだろう。繰り返すが、この国の政治を本気で立て直さないと来年は翼賛体制が現実になってしまうのだ。

有権者は一見、社民的でハト派のふりをしている岸田政権の正体を見極める眼力が必要で、そのためには岸田ヨイショの「翼賛報道」の嘘を信じないことだ。

例えば、「脱安倍」のように、最近はやたらと岸田と安倍との対立が報じられているが、そんなことはない。安全保障分野を見ても、岸田は「親安倍」路線だ。日米同盟強化を重要視し、2021年度補正予算で防衛費を7700億円も計上。22年度の防衛予算の総額は、ついにGDP(国内総生産)比で1%を突破する見込みだ。来年度から具体的な議論に入る「敵基地攻撃能力の保持」については、ウルトラタカ派の安倍が強く主張していたことで、とてもじゃないが「ハト派」でも何でもないだろう。

大体、岸田が本気で「安倍と対立」する気があれば、モリカケ・桜問題の疑惑に蓋をしたままにするはずがない。安倍はもちろん、当時の官僚らを片っ端から証人喚問して真相解明するだろうし、国の基幹統計のデータ改ざんをめぐっても徹底追及している。

「真摯に説明する」と言いながら実行しない。「責任を取る」と繰り返して全く取らない。結局、安倍・菅と同じで岸田もただの嘘つきなのに、メディアは「脱安倍」「決断できる政治家」などと大騒ぎし、岸田の三文芝居の振り付けに加担しているのだからどうしようもない。

そもそも、ついこの間まで「アベノミクス万歳」と安倍礼賛を続けていたメディアが、よくもまあ「脱安倍」などと書けるもの。礼賛メディアがどれだけ勝手でうさんくさいのか分かるではないか。

衆院事務局に30年余り勤めた元参院議員の平野貞夫氏がこう言う。

「国交省の統計データ改ざんは国の信用問題にかかわることだし、森友問題の裁判で税金を使って強引に終結させるようなやり方も論外。いずれも民主主義国家の崩壊を招きかねない重要問題にもかかわらず、大メディアは黙ったまま。野党も見て見ぬふりをして岸田政権の悪事に手を貸しているかのよう。この国の政治は一体どうなるのか。参院選後の状況を思うとぞっとします」

この国の政治はいよいよ時計の針が逆回転し始めるのか。想像するだけでも冗談ではない。
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