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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

8bitラッチ 74HC573 (3ステートバッファ付)

2010-04-15 00:22:54 | 電子回路
74HC573は、Dフリップフロップの74HC74を贅沢にも8個並べたものと等価です。Q-は省かれて外部には出されていません。「ラッチ」というのはにデータをホールド(記憶)する機能のことです。74HC74も次のクロックパルスが入力されるまでDの論理値をQに保持し続けるのでラッチといえます。74HC573のGと真理値表のLEは名称が異なっていますが同じpinです。Latch Enable の方が、意味がハッキリしていますので以降LEと呼びます。

LEがHの間はD(データ)がQ(出力)に筒抜けとなりますが、LEがLになった瞬間に8bitのデータがすべてラッチされます。ラッチしたデータをQに出力するかどうかはOE-(Output Enable)の論理値によって決まり、OE-がLの時Qに出力されます。ではOE-がHのときは、Qはどのようになるのでしょう。これを少し説明します。 

出力Qは、実は3-State Buffar(スリーステートバッファまたはトライステートバッファ)になっています。3ステートバッファは図のようなシンボルで表し、OE-がLのときQはDを出力しますが、OE-がHのときにはQはハイインピーダンスになります。さて、Qがハイインピーダンスになるとは、いったいどういう意味なのでしょう。

図の「回路例」を見てください。これはNAND回路の2pinに入力するD1とD2をタイミングに合わせて切換える回路です。OE1-がLでOE2-がHのときにはD1がNAND回路に入力され、OE1-とOE2-の論理値が逆になればD2が入力されます。しかしよく見てください。2つの3ステートバッファの出力と出力が接続されています。通常、論理回路の入力インピーダンスは大きく、出力インピーダンスは小さく作られていますから、出力と出力を接続すると短絡(ショート)するためこのような接続はできません。これが前ページでお話した、3ステートバッファのOE-をHにすると出力Qがハイインピーダンスになることの意味です。

つまりOE-をHにすると入出力が遮断されるだけではなく、出力端のインピーダンスが非常に大きくなるのです。これなら安心してD1、D2を切換えてNAND回路に送ることができますね。もちろん、OE1-とOE2-を同時にLにしたらダメですよ。(^^)

CPUやメモリ(RAM、ROM)を使用した回路では、アドレスバスやデータバスという言葉をよく耳にしますが、「バス」とはいったい何なのかということを、3ステートバッファは語ってくれていますね。

関連記事:74HC74の応用(カウンタ) 2010-04-07

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
3ステートってOEと? (白石 エイイチ)
2020-09-23 20:45:43
OEってずばりトライステート出力って事と思ってもいいですか? 修理などでディスエブルにしておけば、
強制HとかLにしても即壊れたりしませんのでしょうか?
返信する
3ステートってOEと? (白石 エイイチ)
2020-09-23 20:47:21
OEってずばりトライステート出力って事と思ってもいいですか? 修理などでディスエブルにしておけば、
強制HとかLにしても即壊れたりしませんのでしょうか?
返信する
こんにちは (ホロン)
2020-09-23 22:04:30
コメントありがとうございました。
OEは出力ではなく入力です。L入力でイネーブル、H入力でディスエーブルですね。
ディスエーブルでQはハイインピーダンスになりますので、ロジック回路の出力など、ローインピーダンスのものをQに接続しても大丈夫ですよ。
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