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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

トランス(変圧器)の原理①

2009-10-21 16:55:08 | 電子回路
1.無負荷状態

2次側を開放状態にして1次側に交流電圧v0を加えると励磁電流i0が流れ、(その起磁力によって)磁束φを生じます。この磁束φの変化によって、1次側にe1、2次側にe2の起電力が誘導されます。これらを式で表すと次のようになります。
(N1:1次巻数 N2:2次巻数)

v0=L1・d i0/dt [V] -----①
 =N1・dφ/dt [V] -----②
(L1:1次側の自己インダクタンス)

e1=-N1・dφ/dt [V]
e2=-N2・dφ/dt [V]

v0の最大値をV0、i0の最大値をI0、磁束の最大値をΦmとすると次式のように置けます。

v0=V0 cosωt -----③
i0=I0 sinωt -----④
φ=Φm sinωt

e1=-E1 cosωt
 =E1 sin(ωt-π/2)
e2=E2 sin(ωt-π/2)
(E1:e1の最大値、E2:e2の最大値)

以上の式より端子電圧vに対して起電力eは-180°の位相遅れ、つまり電圧と起電力は逆相の関係にあることが分かります。

式③④を式①②に代入すると
V0 cosωt=L1・I0・ωcosωt =N1・Φm・ωcosωt -----⑤
(cosωtは合成関数)

E1 sin(ωt-π/2)=-N1・Φm・ωcosωt
E2 sin(ωt-π/2)=-N2・Φm・ωcosωt

式⑤より
V0=ωN1Φm I0=V0/ωL1 Φm=V0/ωN1

(ω=2πf f:Hz)

よって、磁束Φmは電圧V0によって決まり、コアのμ(透磁率)に無関係であることがわかります。また周波数が高くなればΦmが小さくなるからコアの断面積も小さくてすみ、無線周波になるとコアが不要になります。励磁電流I0はL1に反比例するので、μの大きいコアを用いれば小さくなります。これがコアを用いる一つの理由です。

***

L1=N1φ/i0(1Aあたりの磁束鎖交数)
=(N1/i0)(N1・i0) / (b/μS)
=μSN1^2 /b

(b:コアの平均長[m]、S:コアの断面積[m^2])

関連記事:
「トランス(変圧器)の原理②」2009-10-22
「起電力と電圧」2009-10-16

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1 コメント

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誘導起電力の方向 (太田実)
2023-11-14 12:36:24
独学で電験三種を学習中の者です。誘導起電力e1の方向についてお伺いします。磁束が増えつつある図であると解釈していますが、この磁束の増加を引き起こしている電流の増加を阻止する起電力が生じるので起電力の方向は上向きではないかと(乾電池で表わすと上が長い、下が短い、上がプラスで下がマイナス)思うのですが、如何でしょうか?
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