数日前、市電に乗るべく電停で待ったいたら、一人のシニアの女性が先にまっていました。しばらくして次のシニアに近い女性がやってきました。電車はちょうどぼくの立っているまん前に入り口が来るように止りました。先にまっていた女性は当然のごとくぼくの前に出て乗り込みました。
後から来た女性は当然ぼくが先に乗ると思ったのでしょう。まっていましたので、ぼくは手で合図をして『おさきにどうぞ』というように促しました。一瞬驚いたような表情の女性は、軽く会釈をして乗り込み、その後でぼくが乗りました。ここまでは特段話題になるような話しではないのです。
市電は比較的すいていましたが、ちょうど後に乗った女性の少しはなれたところに座りました。そのとき、その女性は軽く頭を下げられたので、今度はぼくがびっくりしてあわてて返礼をしました。
5,6の駅を走ったでしょうか。その女性は下車したのですが、お先にとでも言うように後車しぼくはまだ2つ3つ先まで乗っていました。降りた女性は信号の変わるのを待っていました。電車が動き始めた時、外から車内のぼくを見つけ、また会釈を受けました。
ぼくはすっかり恐縮してしまいました。お先にどうぞ、といっただけでこんなに何度も軽くお礼の態度を受けたのは今までありませんでした。いまどき我先に乗ろうとするモラルの低下の中で、穏やかな女性の姿を見るのは久しぶりです。
人間はいつもちょっとしたことで、その人物の内側が見えるような気がします。物腰のソフトな女性はやっぱり素敵ですね。
やさしいタイガー