ブログ人 話の広場

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同じ海とは

2011-04-07 11:30:19 | 日記・エッセイ・コラム

 昨日、所要で静内に行ってきました。早朝のバスでおよそ2時間半もかかるところに太平洋岸にそって静内(しずない)という街があるのです。場産地でも有名です。快晴の空から輝く太陽の光を受けながらバスは快適に走り、都会からだんだん離れていくと、やがて広々として海原に出ます。海岸沿いには漁業を営んでいるのでしょうか、小さな小屋が幾つも見えてきます。

 遠くからのさざ波がゆっくりと海岸に近づいてきます。美しい光景です。その同じ海が気でも狂ったように街をひと呑みにする姿を想像していて、なんと恐ろしいものか、複雑な思いで海を眺めていました。

 この静内は太平洋岸に沿った町なので、雪も少なく20軒道路の桜並木は全国でもよく知られています。桜のトンネルをくぐっていくのはさぞ醍醐味を感じるでしょうね。その街にある静内ロータリークラブは今大きなプロジェクトを取組んでいるのです。高齢者や一人暮らしの人に必要な事項を書き込んでもらい、それを各家の冷蔵庫の中によく見えるところに入れておくという運動を進めています。

 いざとなったとき、どこの誰かがわかるようなシステムで、これからの社会には不可欠な条件になるような気がしました。これを。「レスキュー・ボトル」といっていますが、これを地域ぐるみで取組んでいるのです。制度ではありませんが、一人暮らしの方々のために、素晴らしい取り組みです。全国でも少しずつ広がっているようですが、時間と労力、あるいは個人情報の保持をどうするかといった課題や資金もずっと続きます。大変な活動ですが、一歩先を歩くこのクラブの活動に感銘を受けてきました。

 人命の尊さを第一に掲げ、少しでも安心して暮らせる街にとメンバーが一丸となって進めています。高齢者の人口が25%にもなる街だけにこの活動を注目しているのです。

 所要が終わって再びバスに乗り、海岸に沿って走り続けるバス道路の横には、まさに海岸に沿うように一本のレースが走っています。心地よい疲れとともにゆったりとした海を眺めながら、これからどのように東日本大震災の支援ができるか考えているうちに、いつの間にか眠り込んでしまいました。札幌は夕焼けの空になっていました。

やさしいタイガー