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コーヒーカップの耳

「芦屋芸術」18号

2023-10-17 13:00:25 | 
芦屋の詩人、山下徹さんからいつもお贈りいただいています「芦屋芸術」。

18号です。
200ページほどもある立派な文芸誌。
今回は5人の客員を得ての発行。
より充実しています。
わたしがもっとも感動を受けたのは、スミレさんの小詩集「私のおじいちゃん」でした。
6篇の全てのタイトルに「おじいちゃん」という言葉が使われています。
読んでみると、いまはないおじいちゃんへの愛情が溢れているのです。
これはそのうちの一篇。最も短い詩「おじいちゃんと夏」です。

生前のおじいちゃんとの細やかな交流があたたかな目線で書かれていて、ほっこりとした懐かしさが感じられます。
わたしにも孫娘がいますので、自分がどう思われているだろうか、と考えたり。
わたしの死後にどんな風に感じてくれるだろうかと思ったり、自分に添えて考えてしまいます。
特別に技量があるという詩ではありませんが、思いが伝わってくるのです。

山中従子さんの3篇にも感動を受けました。晩年の姑さんとのふれあいともいうべき交流。そして看取りが丁寧に、そして赤裸々に綴られて行きます。
一篇の小説のように。作者は正直な人なんだなと思えました。

榎本三知子さんの「暑い夏―ー未来の子供たちへの祈り」は力作でした。
作者は河内長野市に住む人ですが、文中に「五十年ほど前、わたしは転居してきた」とあり、この地のお生まれではありません。
「私は大阪市内の職場へ通う通勤族に過ぎなかった」とあります。その人の余生を送る中での一コマといえば失礼かもしれませんが、その物語。
散歩コースにある地蔵さんのことから書き起こし、その地蔵の数奇な運命を知り、興味をその地域の歴史へと繫いでゆきます。
そして過去の戦争に行き着き、未来の子供たちの幸せを考えることに。
わたしも隣のお地蔵さまのことから近在の歴史を調べることになり、一昨年、一冊の本にまとめましたので、大いに共感するところがありました。
いいものを読ませていただきました。




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