喫茶 輪

コーヒーカップの耳

「ア・テンポ」2冊

2019-05-16 13:22:37 | 
「ア・テンポ」54,55号の2冊を徳島の詩人梅村光明さんからお贈り頂いた。

「ア・テンポ」は以前は由良佐知子さんからお贈り頂いていたのだが、昨年重い病気を得、そして先日お亡くなりになってしまった。
ということで、最新号には彼女の遺稿が載っているというわけだ。表紙絵も由良さんの手になるもの。いい抽象画を描く人でもあった。

告別式の折に玉井洋子さんが朗読された「顎」という詩。
←二段階クリック。
由良さんはこれまでどちらかといえば省略の効いた詩を書く人だったが、これは丁寧に書かれています。
入院中のお正月の情景をモチーフにして「命」のことを、さらには永遠の時間のことを。そしてその中の自分の時間のこと。
サラリと書いているが、思いは深い。
いまさらながら、思慮の深い人だったと思う。
若い時の写真ですが。
昨年、彼女が重い病気と知った時に電話して「死んだらアカンで。あんたが死んだらぼくが困るんやから。頼りにしてるお姉ちゃんやねんから」と言ったら「まだ大丈夫」と言っていたのだったが。早すぎる!

巻頭詩は、梅村さんの「アドルフの舌打ち」3編。
そのうちのこれは「アノ夜・コノ世」です。
←二段階クリック。
胸の奥から血が染み出すような悔しさが。

これは「悲しいから笑っている」
これも社会批評が滲むが、声高ではない。杉山平一詩が静かな効果を生んで、より底力が感じられる。
ちなみに「太陽は夜を見たことがない」の一行詩は、拙詩集『コーヒーカップの耳』の出版記念会の折の寄せ書きに杉山先生が書いて下さっている。

ほかにも力量ある詩人の詩が載っていて、楽しめました。
そして見逃してならないのが、梅村氏の「連句を楽しむ」の散文でした。
わたしが敬愛する詩人、鈴木漠さんのことが多く取り上げられていて、勉強になりました。
梅村さん、ありがとうございました。
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