
『漱石先生の手紙』(出久根達郎著・講談社・2004年刊)。
前に一度読んでいる本ですが、パラパラと見てみたらすっかり忘れています。情けないことです。
病院に行くのに持って行って待ち時間に読んでいました。
鏡子夫人への手紙の項にこんなことが書かれていて興味深かったです。
《さて、鏡子夫人は悪妻であるという世上の評判があります。漱石が作家として偉大であるために、このような伝説が生まれたものと思われます。鏡子夫人は、ごく当たり前の女性であります。よくぞ神経質で癇癪持ちの漱石に尽くしたと感心します。夫婦仲も決して悪くない。漱石は子福者で、夭折した娘を入れますと、七人の子持ちです。むしろ仲の良かった証拠でありましょう。
夫人は思ったことを、そのまま口に出す人であったかも知れません。漱石が夫人に謡を聞かせます。終って.ありがとうと言え、と要求しましたら、夫人が、あなたこそ聞いてもらってありがとうとおっしゃい、と言い返したことが、漱石の日記に出てまいります。
とげとげしいエピソードでなく、夫婦のじゃれあいですが、鏡子夫人、決して負けておりません。》
こんなの読むと、なんだ仲良しじゃないか、と思ってしまいます。
ところで、漱石には、わたしの妻と同名のご息女があったんですね。
森鴎外と違って漱石は自分の子にいたって平凡な名前をつけております。