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喫茶 輪

コーヒーカップの耳

「長谷川書店で会いましょう」

2020-09-25 08:02:28 | 文学
昨日の神戸新聞「同人誌」欄。

神戸新聞さん、拝借お許しを。
野元正さんによる評です。
《小説は人生にふりかかるさまざまな試練を描く。》と冒頭にあって、
「ignea(イグネア)」という同人誌から「長谷川書店で会いましょう」(岩代明子)を端的に紹介。
そして、
《「章後」で記される「私」と長谷川書店主との会話は、「章前」の薄暗い本屋で立ち読みする少女の至福の刻(とき)と重なる。》
と締められていて、読んでみたくなりますねえ。
《構成が秀逸な作品》とも添えられています。

この本にはいくつもの泣き笑い人生が。『完本コーヒーカップの耳』
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宮部みゆきの比喩

2020-08-16 16:57:35 | 文学
夢枕獏さんの新聞小説「白鯨」が8月11日に490回で完結。
途中、ちょっとだれるところもあったが一年半近く読ませてもらった。
新しく始まったのが、宮部みゆきさんの「三島屋変調百物語 よって件のごとし」という小説。


今日で5回目だが、この宮部みゆきという人、比喩が上手いですねえ。
わたしこれまで宮部さんのものをほとんど読んでないと思う。
今日のところにこんな比喩が。
《互いの裾を踏み合うように連なる山々の狭間に、耕せる土地は少ない。》
やはり、比喩の上手い文章はいいですねえ。

比喩だらけの本『完本コーヒーカップの耳』
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「六甲」7月号

2020-07-14 15:02:59 | 文学

短歌誌「六甲」7月号の田岡弘子さんの短歌。
重苦しくなりそうな題材を軽やかに歌っておられて、さすがベテランです。
最近頂いたハガキには「正座したような作品はもう飽きました。御著に登場する人達に惹かれます」とありました。


これなんか、いいですねえ。
「書くことの稀なる粛の字幾たびも書いてこの頃粛粛とをり」

お薦め本『完本コーヒーカップの耳』
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「ロータス」№17

2020-04-08 08:39:04 | 文学
徳島の詩人、梅村光明さんからお贈り頂きました。

「ロータス」№17(徳島県連句協会)です。
「連句」。わたしのような文学的素養の貧弱なものにはちょっと難しくて。
でも、その奥深さは知っているのです。
以前、何度か鈴木漠宗匠にお誘いを受けて参加したことがあるのです。
でもやはり、わたしにはレベルが高くて。
で、この「ロータス」ですが、ページの下段に散文が載っています。
これがわたしには興味深いのです。
今号で感心したのは三輪和さんの「孫が不登校になった!」でした。
←クリック



このような話をここに書かれたという勇気にわたしは感動します。

佐藤清幸氏の「近世俳文を覗き見て」の中の「猿蓑ノ序」は勉強になりました。

そして「あっ」と思ったのは石本昇さんの「何を書こうか年の暮れ」。
こんな詩が紹介されています。

谷川俊太郎の「朝のリレー」です。
わたしにも微かに記憶はあるのですが。
これを見て思い出したのがこれ。

「けんか」です。六年生の子が書いたもの。
この詩、足立巻一先生がお好きでした。
なんか精神が似てると思いませんか?

あ、忘れかけてました。
梅村さんの「俳諧奇談・連句雑談」(弐)も勉強になりました。ただし、わたしのような浅学のものにはもう少し詳しく解説してほしかったです。いや、これ以上書くと品が落ちるのかもしれませんね。この冊子は同人誌のようなものでしょうから。
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椎名麟三と田靡さん

2020-03-21 15:50:29 | 文学
今日の神戸新聞夕刊。



「椎名麟三を語る会」が解散へと。記事は平松正子記者。
写真に写るのは、右が椎名、左は田靡新さん。
田靡さん、うちの店にも何度かお見えになったことがあります。
昔の拙著『詩集・コーヒーカップの耳』の中の一編をモチーフに短編小説を書かれたことがあった。
87歳になっておられるんだ。
長い間、ご苦労様でした。

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「六甲」2019年12月号

2019-12-09 08:05:16 | 文学
短歌誌「六甲」12月号。


巻頭のページです。
←二段階クリック
石原智秋さんの歌。
上手いですねえ。
  「遺影見つつ思い出しおり電話口で「そやろ」と言われ頷いたこと」
なんともいえない、言葉では説明できない気配が漂っています。

そしてこれ。
  「自販機のボタンを押せばピッピッピッ牛どん大盛り出てきたりして」
ユーモアたっぷり。

←クリック
田岡弘子さんの歌。
  「携帯に番号そのまま残しおく彼の世へ電話できる日くるかも」
心に沁みますね。
  「暑い言うてた口が寒いと言ひ始め吹っ飛びし秋を呼び戻したき」
これはユーモア。

牧野秀子さん。この人は写生の歌が素晴らしいです。と、短歌の門外漢が偉そうにいうべきではありませんが、素人の感想として。
  「こぼれたる円ら実辿れば庭隅の紫式部ほろりほろほろ」
そしてこれは秀逸。
  「行き先が決まらないのか空中に一瞬静止すこの赤とんぼ」
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俳句「満月や…」

2019-11-13 14:02:29 | 文学
詩人の時里二郎さんがFBに紹介されていた俳句にびっくり。

満月や 大人になっても ついてくる

詩人辻征夫の句だという。
わたしがびっくりしたわけは、口頭詩集『ライオンの顔』にこんなのがあるからです。

巻頭の詩です。

3歳の時の言葉。

  お月さん 電気ついてるわ。
  お月さんね 車動いたら お月さんもね
  ついてくるよ。
  車止まったらね お月さんも止まる。



わたしはこの言葉に驚いて口頭詩の記録を始めたのでした。
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阿部知二と有本芳水

2019-10-23 15:23:35 | 文学
昨日は孫のkohと姫路で一日を過ごした。

まず姫路文学館へ行き、そこで5年前に取材でお世話になった学芸員の甲斐史子さんにお会いしてご挨拶。
あの時は「KOBECCO」連載のための取材。
そして発表したものをお読みになった甲斐さんは、阿部知二研究会が出している機関誌「阿部知二研究・城からの手紙」に一文載せられた。
「学芸員の窓」というページに「神戸新聞記者宮崎修二朗との交流」と題して。

そんな縁があり、一昨年出した拙著『触媒のうた』を呈上するために面会したのだった。
丁寧に対応してくださってうれしかった。

文学館を観終わって、次の美術館へは徒歩で。
途中、阿部知二の文学碑がある。

5年前にもこの写真を撮り、それは『触媒のうた』にも掲載した。
そばの川にアオサギがいました。まるで置物のようにジッとして。

そして、つい先日、姫路の孫shuntaの運動会で来たところ、シロトピア公園のそばにある、有本芳水と三木露風合作の詩の詩碑。


さらに歩いて美術館にたどり着いたのでした。
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「ホースの中を曲がる水」

2019-09-23 08:18:25 | 文学
読者文芸欄をいつも楽しみにしています。
詩の欄は全部読みます。そして俳句短歌川柳の欄は、それぞれの特選作に注目します。
今日は川柳のこの一句に驚きました。
←クリック。

「夏雲とホースの中を曲がる水」(中塚健太さん作)。お題は「曲がる」です。
見事ですね。他の入選作と比べても、キラリと光っているのが解ります。抜けてますねえ。
評を読むともう一度びっくり。
この作者のもう一句にも感心させられました。
「ブーメラン投げて刈り取る空の青」。そのセンス、お見事ですね。
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伊丹三樹彦さんが

2019-09-22 08:24:10 | 文学
今朝の神戸新聞に伊丹三樹彦氏の逝去記事が。
←クリック。
99歳とあります。
この人とは少し接触がありました。
もう何年前になるでしょうか、芦屋の詩人、三浦照子さんの何かのお祝いの席でテーブルを同じくしました。
その時は奥様の公子さんもご一緒で。
で、伊丹さんの写俳の本とわたしの『コーヒーカップの耳』とをトレードしたのでした。
同時に今は亡き奥様の公子さんの詩集も頂きました。
お手紙などもどこかにあるはずですが、すぐには出て来ません。
ご冥福をお祈りいたします。
コメント (2)
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「姫路文学」133

2019-08-30 18:26:02 | 文学
尼崎の作家、田靡新さんからお贈りいただきました。


「姫路文学」133号です。たっぷりと260ページあります。

田靡さんの作品は、やはり椎名麟三関連のもので、「米のお話」。
読ませていただいたが、ご自分の若き日を重ねて椎名文学へ続く話。
添えられた手紙に「7月に家内が昇天、急なことでハラハラオロオロ」とありました。
大変だったんですね。だからでしょうか、文章が少し荒れているように感じました。
推敲が不足しているように思うのです。誤植かと思えるところが何か所も。
ちゃんと整理点検する余裕がなかったのでしょうね。
それでもやはり、長年の氏のライフワークということで、枯れた味の文章、興味深く読ませていただきました。
それと、もう一遍「ローソクの炎はゆれて」という作品が”くれたかつお”という名前で出ていますが、これもどうやら、田靡さんの作品のようです。
やはり「米のお話」と同じように推敲が十分ではないように感じました。


「米のお話」の中に、わたしが注目する言葉がありました。
「お米は自転車に乗ると行儀が悪く、この箱の中なら安心じゃ」というもの。
これは昔、わたしが若いころ、まだ車がないころ、父の米屋の仕事を手伝って、お米を自転車で配達するときに感じたことそのままです。
久し振りに、その感触を思い出しました。
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「麦藁帽子」

2019-08-14 08:44:47 | 文学
kohが「ジーチの青春の一冊は?」というので、それならこんなのが、と
「ただ麦藁帽子のかすかに焦げる匂いがするきりで」という一行の話をしてやりました。
すると「あ、それにしよう」と。
学校からの課題で、身近な大人が推薦する青春の一冊を取り上げて感想を書き、それに推薦者がコメントをするというもの。
なかなか面白い宿題だ。
丁度年頃もkohにピッタリ。
早速ブックオフへ行くと、kohは通路に入っていったかと思うと「あった」と言って出てきた。


その小説はこう始まる。
《私は十五だった。そしてお前は十三だった。》

もう60年も昔、中学生のわたしがそのころ読んでいたのは主に江戸川乱歩、コナン・ドイルなどだった。
そんな中で、毎月取っていた学習雑誌に載っていた堀辰雄の「麦藁帽子」を読んで衝撃をうけたのだった。
「これが大人の文学なのか!」と。
そして先の一行「ただ麦藁帽子の、かすかに焦げる匂いがするばかりで」が頭に刻み込まれたのだった。



この度、60年ぶりに全編読むことになって、内容はすっかり忘れていることに愕然とした。
しかし、青春の入り口の精神状態の細やかな描写など、雰囲気はそのまま蘇ってきて、いい時間を持つことができた。
但し、kohが印象的に思った一行と、わたしの「ただ麦藁帽子の」とは違ったようで、それはまた当然でもあります。
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「国木田家のこと」

2019-08-08 09:24:27 | 文学
中尾務氏からお送りいただいた「大和通信」112号に、中尾氏が書かれている、
「国木田家のこと――富士正晴調査余滴」を読んでいて、アッと思った箇所が。
←クリック
《ドッポ・クニキダの姪であるマダム。》と書かれている。
この人のこと、以前、宮崎翁からちょっとしたエピソードを交えてお聞きしたことがある。阪急六甲の喫茶店ともお聞きしていたので間違いない。
で、翁への取材ノートを調べてみたが、残念ながらわたし記録していない。
しかし録音は残しているはず。ただ、ノートしていないと、膨大な録音時間の中から探し出すのは大変だ。
日にちが分からなければ、ほぼ不可能である。
また機会があったら翁にお尋ねしてみよう。
まだ覚えておられるだろうか?
取りあえず、このコピーを郵送しておこう。
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「大和通信」112号

2019-08-04 09:54:06 | 文学
富士正晴記念館の元スタッフ、中尾務さんからお贈りいただきました。

「大和通信」112号です。
わたし、最近、東方面の方々とのお付き合いが増えました。
以前は自分が所属する同人誌が西方面ばかりだったので、お付き合いも西方面の人が中心になっていました。
一昨年『触媒のうた』を出版して以来、このように東方面の人たちとの交流が増えたように思います。
ありがたいことです。
さて「大和通信」112号ですが、巻頭の「明珍の風鈴」(鈴木地蔵)は出版業界のことが書かれているのですが、随想と呼べるものでしょうか。
文末の数行が読む者の胸の中にシンとした思いを残します。
《そろそろ明珍の火箸の風鈴をつるす時期である。一年前に神戸で急死した従弟からもらったものだ。この鉄の音は、なぜか親しかった故人を偲ぶよすがとなる。今年は松本さんも、そして従弟もその一人となった。》

そして文中にこんなことが、《換金の保証がない(売れるか否か分からぬ商品をつくること)のに、なぜ松本さんは出版活動をつづけられたのだろうか。》
今のわたしの胸に響きます。

表裏2ページだけですが、中尾さんによる「国木田家のこと――富士正晴調査余滴」など、4段組で、びっしりと読み応えのあるものです。
中尾さん、ありがとうございます。
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あなたを祝ふ言葉を添へて

2019-07-10 20:26:06 | 文学
ちょっと遅くなりましたが、短歌誌「六甲」7月号です。



その巻頭のページ。
←クリック
牧野秀子さんと田岡弘子さんの歌が並んでいます。
お二人は作風が少々違います。
なのでそれぞれを楽しめます。
今号の私のおすすめ一首。

  グラスさあ掲げませうか向かひ合ふあなたを祝ふことばを添へて(田岡弘子作)

随想「湯気の向こうから」は今回「推敲ミス」と題して書かせていただきましたが、ここには上げないでおきます。
興味のある方は「喫茶・輪」でお読みください。
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