初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

交響曲第9番「合唱」

2006年04月17日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はべートーヴェン:交響曲第9番「合唱」です。

ファンのみなさん!お待たせしました“第九”です。
この曲が有名なのは言うまでもないですね。クラシック界の代表作とも言えるこの曲ですが、初心者の方にも楽しく聴いてもらおうと思っていろいろ考えていると今日になってしましました。

この曲は長くCD1枚分の長さと同じ約70分程度ですから、初心者の方で「はじめから全部一気に聴くのはちょっとつらいかな・・・」っていう人は、まずは4楽章から聴いてみてはいかがでしょうか?と言うのは、4楽章にはあの有名な合唱がある事もその理由のひとつですが、4楽章では、それまでの楽章のフレーズを再度思い出すかのように、ひとつづつ繰り返していきますから、4楽章だけ聴いても、この曲のだいたいのイメージをつかむ事ができると思います。(と言っても4楽章だけで30分近くありますけど…。)

次にこの曲にまつわるエピソードですが、たくさんありますから、そのうちのいくつかを紹介しましょう。まずは初演のとき、耳の病にあったベートーヴェンは助手と供に指揮台に上がり、指揮をとっていたようですが演奏後、これまでの初演の度重なる失敗もあったため、自分自身ではどうも満足のいく演奏ができなかったと思い、失意のうちに指揮台を降りようとしたら、助手がベートーヴェンの手をとり観衆の方を向かせました。すると大観衆からは彼の演奏に惜しみない拍手と歓声を送っていたのです!そうベートーヴェンは耳が不自由でしたから、その拍手が聞こえなかったんですね。

もうひとつ、CDがレコードやカセットテープに変わって初めて販売されるときに、最初は「きりがいいから60分でいいんじゃないの」なんて声もあったようですが、指揮者カラヤンが、「名指揮者フルトヴェングラーが指揮をした“第九”が一番長い演奏をしてるから、それが収まる長さの方がいいんじゃない。」なんて事になり、めでたく?CD1枚の長さは74分になりました。とも言われています。でも実際クラシックファンとしては、74分で良かったですよね。第九もそうですけど、1枚60分で中途半端に2枚組にされてしまうより、1枚で全部きけた方が曲にどっぷりつかれますもんね。


 第1楽章:静寂の中から、遠くに聴こえるようなホルンの響きにヴァイオリン、フルート
 が加わって、「これでいいのか?!」みたいな投げかけのフレーズを演奏します。
 その後ヴァイオリンのフレーズを軸にティンパニ(大太鼓)やフルートなんかがアクセント
 をつけていきます。全体的に緊張感のある演奏が続きますが、その中にヴァイオリンが
 さらっと綺麗なフレーズを入れていますから、その部分を対照的に聴けると思います。

 第2楽章:多少テンポが速くなり勢いもついてきます。小刻みな弦楽器のリズム的な
 フレーズにティンパニがアクセントを加えれば迫力のある音楽を楽しめます。1楽章が
 緊迫したムードなのに対して、多少希望が持てるようなカッコイイフレーズも出て来
 ますから、曲としても徐々に盛上がっていく高揚感みたいなものを持てる曲だと思います。

 第3楽章:少し疲れたようなファゴットの渇いた音色から始まりますが、その後に続く
 ヴァイオリンがまた、綺麗にアシストしていますから、ホッと一息つけるような、そん
 な曲です。テンポも非常にゆっくりになっていますし、とてもしっとりとした曲は、
 まるで時間が止まったかのような別世界に居る気がします。究極の癒しの曲かもしれ
 ないですね。何も考えずに素直に曲の中に、いつまでも漂っていたい。なんて思って
 しまうほど全体的に優しいメロディが続きます。途中に出て来るやわらかい音色のホルン
 なんかは、とてもなごみますよね。
 
 第4楽章:3楽章とはうって変わって劇的な迫力の演奏がいきなり流れてきます。
 それを、どうしたんだ?!と言わんばかりに、チェロとコントラバスがどっしりした
 低音でなだめるように演奏します。すると今度は1楽章のフレーズを少し演奏すると、
 それを否定するような難しげな表情のチェロとコントラバスが演奏します。
 じゃあこれは?と今度は2楽章のフレーズを演奏しますが、やはり気に入らないチェロ
 とコントラバス。次は3楽章のフレーズをフルートが演奏しますが、やっぱり低音弦楽器
 は気に入らないようです。すると今度は新しいフレーズをオーボエが演奏すると、
 ん・・・これは!!みたいにひらめいたような表情をチェロとコントラバスは見せます。
 すると、今度はコントラバスがあの有名な合唱のフレーズをおそるおそる静かにゆっくり
 と始めます。ワンフレーズが終るとチェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンが次々に同じフレーズ
 で曲をつないでいきます。そしてフルオーケストラ全体でその演奏を終えると、
 今度は、バリトン(低音男声)のソロが「おお、友よそのような音ではなく、もっと
 歓喜にあふれる歌をうたおうではないか!!」と一声が始まり、それぞれの合唱の
 パートを促して、徐々にあの有名な「歓喜の歌」をつないでいきます。そして、
 ひととおりフレーズを終えると今度は、一変静かになりホルンのリズムにのせて、
 フルートが軽快に「歓喜の歌」を復唱していきます。テノール(男声高音)のソロが
 高らかにワンフレーズを歌い上げると、何かと戦って葛藤しているような弦楽器の
 フレーズが続きそして、ホルンの呼びかけに応えるようにあの有名な「歓喜の歌」
 の大合唱が始まります。
 そして、その後も詩人シラーの崇高な詩をとても神秘的につなげていきます。
 いったん静かになり様子を伺うようなフレーズも出てきますが、オーケストラと合唱
 の見事なコンビネーションで堂々と歌い上げていきます。素晴らしいですね。
 いよいよ終盤には、それぞれの合唱パートのソロが絶妙なコンビネーションで歌い上げ
 ますが、それが終ると最後も派手に盛り上がりを見せて、しっかりと堂々とした
 エンディングで曲を終えます。


これくらいの長さになると、もう曲と言うよりはちょっとしたドラマですよね。
素晴らしい、家で聴いていてもかなり舞い上がってしまう程、盛り上がりますが、演奏会だと尚の事なんでしょうね。
この曲は日本では、年末になると演奏される機会が増えてテレビでも見る事ができますが、欧米では年末に限らず、大規模な式典や大きなイベントの際に、一大行事のひとつとして演奏される事が多いようです。とにかく迫力満点で聴き応えはこれ以上ないほどにありますよね。

≪オススメCD≫
噂のフルトヴェングラーの演奏でどうぞ。

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
フルトヴェングラー(ウィルヘルム), バイロイト祝祭管弦楽団, ベートーヴェン, ホップ(ハンス), エーデルマン(オットー), シュワルツコップ(エリザベート), ヘンゲン(エリザベート), バイロイト祝祭合唱団
東芝EMI

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★  →偉☆☆☆☆☆
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
コンサートに行って迫力ある演奏を聴いてみたい曲ですね。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私はどうも... (JSBach2005)
2006-05-06 22:33:30
フルベンの指揮の特徴らしいのですが、指揮が早くなったり、遅くなったり、目紛しく変化して、オケラが付いていくのがやっとという有様が感じられます。 



私がこの演奏を納得できるのには、まだ時間がかかりそうです。
返信する
フルトヴェングラーは… (けい)
2006-05-07 00:09:32
そんな解釈もできるかもしれないですね。

JSBach2005さんは、おそらくいろんな第九の演奏を聴いておられるようなので、フルトヴェングラーの演奏が、ちょっとわざとらしく聴こえるかもしれないですね。自分も、ハッキリ言ってまだまだそれ程多くの第九を聴いたわけではありませんから、単純に緩急の差が激しいこのフルトヴェングラーの演奏に感動してしまいましたが・・・。

あと、好みもありますよね。有名な指揮者の演奏でも、曲によっては、「この曲をそんな風に振るの!?」なんて事もたまにありますし・・・。

そんな、演奏の解釈に関する話をするのもクラシックを聴く魅力ですよね。よかったらまたコメント下さい。CDを買う人の参考にもなると思いますし。
返信する
さあ、第九の季節が近づいてきました。 (eyes_1975)
2006-12-08 23:06:43
第九は日本の年末行事です。でも、ちょっとしたエピソードがあります。トラックバックを送りした。これを知れば、第九通になるの間違いないでしょうが・・・はっきり言ってあまり保障できませんね。これはけいさんのブログを見ている人にもぜひルーツを知ってもらいたいです。
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第九の季節 (けい)
2006-12-08 23:47:03
年末といえば何故かやっぱり第九ですよね。
ブログを始めた当時は、まさか年末まで続いてるとは思ってなかったので、有名なこの曲をあまり引っ張ってもどうかと思って早くも4月に紹介してましたが・・・、
eyes_1975さんに、この時期にコメント&トラックバックして頂いて、とっても嬉しい限りです。
eyes_1975さんのカラヤンに関するエピソードも興味深く読ませてもらいましたので、みなさんもよければそちらへも是非どうぞ。(ミュージック・トリビアの世界)
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