初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

交響曲第6番「悲愴」

2006年04月21日 | チャイコフスキー
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はチャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」です。

今回の交響曲第6番はその名のとおり「悲愴」ですから、暗い曲なんですね。でも、単純に暗いと言うだけではなく、チャイコフスキーの持つ独特な世界の中に「滅びの美学」のような美しさも十分に味わえる曲だと思います。

チャイコフスキーはこれまでに紹介したバレエ音楽や、組曲なら明るく楽しい音楽を作曲していますが、交響曲は少し暗いものになっているようですね。4番や5番は第4楽章になると、派手になったり明るくなったりしていますが、この「悲愴」交響曲は最後まで、暗いイメージの曲です。ただ、その中にも美しいメロディがところどころにちりばめられていますから、その美しさが余計に際立つんでしょうね。
そういう意味では完成された曲と言えるのかもしれません。(ちょっと偉そうかな?)
それはさて置き、一般的なイメージでは暗い曲かもしれませんが、とにかく素晴らしい曲であることには違いないと思いますから、いろんな部分を含めて聴いて欲しい曲ですね。


 第1楽章:ファゴットの暗いジメジメした雰囲気のフレーズから始まります。まるで
 荒廃した町の中に独り取り残されたような悲しい感じがします。そのイメージのまま
 チェロの低音が悲しく演奏を引き継ぎます。しかし、それが終ると少しテンポが速まり
 焦燥にも似た迫り来るものを感じるフレーズが続き、トランペットの激しい響きが鳴り
 始めるとそれは頂点に達します。そのまま暗くなり続けるのかと思いきや、今度はその
 テンポを再びゆるめ、ヴァイオリンの下降音階が空の雲間から漏れてくる一筋の光の
 ように明るく差し込んできているような演奏に変わります。それまでが、暗かっただけ
 に、何とも言えない優しさを感じてしまいます。1楽章ではその後も様々な展開をして
 いますから、聴きどころがたっぷりある曲ですね。

 第2楽章:1楽章とは変わって少し明るい要素を含んだ5拍子のワルツのテンポが聴き
 やすい曲調になっていると思います。弦楽器を中心に、オーボエやフルート等の木管
 楽器がその明るいイメージを更に深めてくれています。全体が暗い曲調なため、この
 曲も少し控えめなワルツに感じてしまいますが、それがまた、なんともいじらしく
 感じてしまいます。

 第3楽章:4楽章へ向けて、何か喜びを期待させるようなフレーズが始まります。
 過度な期待を抑えているかのような感じもありますが、決してド派手になる事はなく、
 整然と、そして軽快に曲を進めていきます。弦楽器の小刻みなリズムは木管楽器とも
 うまく絡み合い、曲が後半へ進むにつれて徐々に盛り上げていきますから、聴いてい
 ると次の4楽章への期待がだんだん高まってきます。

 第4楽章:3楽章で盛り上がりを見せていましたから、期待していただけに、少し残念
 ですが、突然1楽章を思い出したように悲しく、劇的な弦楽器のフレーズで始まります。
 何かを訴えるようなそんなフレーズが終わり落ち着いて、よくよく冷静に考えている
 ようなフレーズがその後に続きますが、しかし、考えれば考えるほど悲劇的な結末に
 しかならないような、どうしようもない絶望感にあふれたメロディになってしまいます。
 そしてやはり、結局4楽章の冒頭のフレーズにまとまってしまいます。
 そして何度考え直しても目の前の否定できない現実にぶつかってしまったかのような
 そんな、儚いメロディに思わず憐れみすら感じてしまいます。最後は諦めにも似た
 静かな消え入るようなフレーズで曲は終ってしまいます。

一曲聴き終わると、思わずため息をついてしまそうな、そんな曲です、チャイコフスキーのこの第6番の交響曲を初めて聴いたのは、第4番、第5番を聴いた後でしたから、「1楽章では暗くても、きっと4楽章では派手に、若しくは堂々と終ってくれるんだろう!」と期待を持って聴いていましたから、この曲の終わり方には、初めはどうしても納得できないイメージを持っていましたが、何度も聴くうちに、この消え入るような終わり方が、こころに深く入り込んでくるように感じました。そういう意味では大人の交響曲かもしれないですね。

≪オススメCD≫
トスカニーニの時代なのでモノラル録音だと思いますが、
それを感じさせない音質だと思いますよ。

チャイコフスキー : 交響曲第6番ロ短調Op.74「悲愴」
NBC交響楽団, チャイコフスキー, トスカニーニ(アルトゥーロ), ムソルグスキー, ラヴェル
BMGファンハウス

このアイテムの詳細を見る



【コレってどんな曲】
喜:☆★★★★
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆☆☆☆
楽:☆☆★★★

≪おすすめシチュエーション≫
悲しみの中に美しさを秘めた魅力的な曲ですね。

人気ブログランキング⇔参加してます
「くつろぐ」ブログランキング⇔こちらもよろしく


最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (LiLA管理人)
2006-04-21 13:12:41
悲愴の2楽章、実は超珍しい5拍子のワルツです。

こういう変拍子はロシアの音楽には多く、展覧会の絵のプロムナードも5拍子と6拍子が混在しています。



返信する
はじめまして (三毛猫)
2006-04-21 23:52:09
ランキングから来ました、選りすぐり♪Classicブログの三毛猫です。classic-k様、こんばんは。



悲愴はケヴァントハウスのしか持っていません(ごめんなさい・・)で、最後の終わり方ですが、私には中途半端に聞こえちゃって~(笑)



実はお願いがあります。このブログを私のブログで紹介させてください。もしご迷惑でしたらお手数ですがご一報いただけますか?すぐに削除させて頂きます。

それでは宜しくお願いします。
返信する
再度三毛猫です (三毛猫)
2006-04-21 23:59:52
今記事を書かせていただきました。是非ご覧になってください。訂正箇所などございましたらご一報下さい。
返信する
てへへ・・・ (けい)
2006-04-22 10:38:07
LiLA管理人さん、お久しぶりです!

ブログ見続けてもらっていて、感激です。そうですね2楽章は5拍子でしたね。早速直しておきます。初心者に紹介しておきながら間違えちゃダメですよね。
返信する
はじめまして (けい)
2006-04-22 11:16:00
三毛猫さん、はじめまして!

早速三毛猫さんのブログも拝見させて頂きました。クラシックにまつわるいろんなブログを紹介されていますから、これからどんなブログが増えるか楽しみですね。自分のブログが他のブログに紹介してもらえるなんて・・・。ちょっとビックリですが嬉しいもんですね。こんなんでよかったらたくさん紹介してやって下さい。こちらこそ宜しくです。
返信する
ありがとうございます☆ (三毛猫)
2006-04-22 22:58:08
勝手なお願いでしたのに快諾していただいてとても嬉しく思います☆

こちらこそよろしくお願いします(*^ ー^*)
返信する

コメントを投稿