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マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

万能細胞、肝臓や胃の細胞からも、山中教授ら成功=京都大学

2007年12月11日 | 再生医療
 皮膚の細胞からだけでなく、肝臓や胃の粘膜の細胞からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作ることに、京都大再生医科学研究所の山中伸弥教授と大学院生の青井貴之さんらがマウスを使って成功した。11日、横浜市で開かれた日本分子生物学会で発表した。同研究室が手法を開発したiPS細胞は、これまで皮膚や骨髄系の細胞からしか作製されていなかった。

 青井さんらは、大人のマウスの肝臓や胃の粘膜の細胞に四つの遺伝子を導入してiPS細胞を作製。さまざまな組織の細胞への分化能力が、受精卵から作る万能細胞の代表格である胚(はい)性幹細胞(ES細胞)と同等であることを確認した。さらに、全身が肝臓や胃の粘膜由来のiPS細胞からできたマウスも誕生し、体内でも全身の細胞に分化できることが裏付けられた。

[朝日新聞 / 2007年12月11日]
http://www.asahi.com/science/update/1211/TKY200712110365.html

木の抗菌物質を作る酵素解明=京都大学

2007年12月11日 | 蛋白質
 スギやヒノキなど針葉樹の色のついた心材に蓄積している抗菌成分ヒノキレジノールを作る酵素を、京都大生存圏研究所の梅澤俊明教授(樹木代謝機能化学)らのグループが突き止めた。

 立体構造が違うヒノキレジノールを作り分けることもでき、これまで知られていなかった植物の機構の一端が明らかになった。米国科学アカデミー紀要で11日、発表する。

 ヒノキレジノールはスギなどのほか、化学式は同じだが立体構造の違う幾何異性体のヒノキレジノールがアスパラガスにもある。梅澤教授はアスパラガスからヒノキレジノールを作る酵素を構成する2種類のタンパク質(α、β)を発見し、タンパク質を作る遺伝子を特定した。遺伝子を働かせて耐久性の高い木材にしたり、逆に働きを抑えることで心材の色を抑えたりすることが期待できるという。

 この酵素はαとβが結びついたペアの構造で働いているが、αかβどちらか1種類だけのペアだとスギなどと同じ構造のヒノキレジノールを作ることも分かった。「タンパク質の組み合わせを変えるだけで幾何異性体ができるのはこれまで知られていない現象。それぞれが特定の幾何異性体だけを作っている理由は分からないが、興味深い機構だ」(梅澤教授)という。

[京都新聞電子版 / 2007年12月11日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007121100100&genre=G1&area=K10