乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

センチネルリンパ節生検

2008年11月15日 | 病気・症状
乳がん手術において、センチネルリンパ生検を手術の初めに行う方法が始まったのは、私の住む地域では2000年頃からです。
今ではこの術式で行うのが一般的になりましたね。

「わが国のセンチネルリンパ節生検は同定率と安全性が高い」【乳癌学会2008】

 9月26日から27日に大阪市で開催された日本乳癌学会学術総会で、国内の臨床試験でのセンチネルリンパ節(SLN)生検の高い同定率と安全性が示された。「臨床的腋窩リンパ節転移陰性の原発性乳癌に対するセンチネルリンパ節生検の安全性に関する多施設共同臨床確認試験」について、実行委員会委員長を務める聖路加国際病院乳腺外科の中村清吾氏が中間報告を行った。

 SLN生検は正確に進行度を診断する手術手技として日常診療に定着してきているが、日本では保険適応が得られず先進医療として施行されている。今年4月に開始された高度医療評価制度において本試験が計画され、保険収載を目指すこととなった。

 本試験の対象はTis-T3N0M0、ステージ0~IIIAの乳癌患者。今年3月に登録を開始し、8月末には目標の1600例を超える1793例が登録された。参加施設は全国47施設。主要評価項目は安全性、副次的評価項目は同定率とした。

 色素はインドシアニングリーン(ICG)とインジゴカルミン、アイソトープ粒子はスズコロイド、フチン酸、人血清アルブミン、アイソトープ核種は99mTcを使用した。方法は色素法、アイソトープ法(RI)、併用法とした。

 参加施設は事前に標準手技、患者登録時に同生検の予定、術後7日以内に結果をデータセンターに報告し、重篤な有害事象は発生の72時間以内に報告書を提出することとした。ウェブサイトでも本試験の情報を公開した。

 中間報告では、術前診断では浸潤癌85.3%、非浸潤癌14.7%であった。原発巣主占拠部位はC領域(外上部)43.9%、A領域(内上部)21.9%の順に多く、ステージではIが54.0%、IIAが28.7%の順であった。

 方法では色素+RI併用が61.4%、色素単独法22.9%、RI単独法12.2%の順であった。色素の種類はインジゴカルミン65.3%、ICG27.9%、併用6.6%であった。

 同定の成功は98.6%で、精度の高さが示される結果となった。方法別、色素およびRI試薬の種類別同定成功率も、いずれも96.6%以上の高い値であった。

 迅速病理診断は85.7%に行われ、転移なしは83.7%、同日の腋窩リンパ節郭清省略例は81.5%であった。

 副作用の調査対象1709例中、色素注入による重篤な副作用は発生しなかった。

 実行委員会は今後の課題として、①RI単独法や術前薬物療法後の症例などは症例数を集積して検討する必要がある②SLN生検を術前非浸潤性乳管癌(DCIS)に行うか否かのサブセット研究を行う――などを挙げている。

 中村氏は本試験を継続し、来年2月には本試験の結果、特に方法や適応について詳細に議論しコンセンサスを得る会を計画していることを併せて報告した。
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上記をまとめると、
今年3月に登録開始した国内の臨床試験。
非浸潤癌~腫瘍径5センチ以下・リンパ節転移なし・遠隔転移なし、ステージ0~IIIAの乳がん患者1793人が登録。
色素の同定の成功は98.6%。
色素注入による重篤な副作用の発生はなし。
ということで、国内の臨床試験でのセンチネルリンパ節生検の高い同定率と安全性が示された。

この生検により、腋窩郭清を省略可能な患者さんが出てきました。ただし、センチネルリンパ節生検の偽陰性率という問題もあります。

乳腺外科医のyasuu先生のブログ「乳癌検診へGO!GO! 」の中から抜粋です。
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「センチネルリンパ節の意義」

センチネルリンパ節とは「見張りリンパ節」とも呼ばれ、「がん細胞がリンパの流れに乗って最初に到達するリンパ節」のことです。特に乳がんにおいては、センチネルリンパ節を確認し、これにがん細胞の転移がなければ腋窩リンパ節郭清を省略できるという考え方をもとに最近の手術はおこなわれています。

ただし、センチネルリンパ節生検の偽陰性率(本当は転移があるのに、なしと判断してしまう確率:yasuu注釈)は大規模臨床試験およびメタアナリシスによると7.3-9.7%と報告されている。

一方、センチネルリンパ節生検後の腋窩リンパ節再発率は多くが1%以下と報告されている。

その理由は、術後の全身療法や放射線治療により遺残がんが消失する可能性が考えられる。

以上より、習熟した技量を有する外科医、病理医、放射線科医からなるチームによって行われるセンチネルリンパ節生検は、臨床的リンパ節転移陰性早期乳がんの腋窩リンパ節転移の有無をほぼ正確に診断できる(偽陰性率 10%未満)。
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「偽陰性率が1割弱あるのに、センチネルリンパ節生検後の腋窩リンパ節再発率は多くが1%以下と報告されている」。
術後の抗がん剤治療や放射線治療って、とっても大切ですね!

私の手術ではセンチネルリンパ節生検の染色液は、インジコカーミンでした。術後、青いおしっこが出るんですよねー(*0*)。
インジコカーミンといえば、小学校の理科の実験で植物の細胞を染色するのに使いますた。食品添加物の「青色2号」、食用タール色素で、チョコレートやあんこなんかに添加します。紫色っぽくなって、あんこなんかの色に深みを与えます。

なんだか大福餅が食べたくなりますた、、、じゃ、また(^0^)/

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なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
インジコカーミン? (けえこねえ)
2008-11-15 14:01:56
 こんにちは!
検査に使用される染色液って、色々あるのですね。
 皮膚上に発色しますか?←シロート考えです。青く染まったノエルさん、、、青いバラを見たことありますが、綺麗ですね。
 目に見えやすい検査、説得力ありますね。
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今日もぽちっとしますね! (yasuu)
2008-11-16 09:31:27
noel様

ブログいつも拝見させていただいております。
今回は、センチネルリンパ節生検についてのご説明と私のブログとのリンクをどうもありがとうございました。

びっくりしながらも、とても嬉しかったです。

これからもよろしくお願いします。

ブログのデザインの紅葉もとってもきれいですよね (^o^)
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見える検査 (ノエル)
2008-11-16 11:44:31
けえこねえさん、“青いノエル”になるほど多量に染色液を流し込むわけではないので、見た目は変化なしですよ(^0^)。

ただ、尿の色が鮮やかな青色になるので、見た目がブッキーですけど(^^;)。
で、普通の色に戻るのを見届けると、あー、これで手術も終わったなあなんて気分になります。見える検査は心の区切りにもなるかな。
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yasuu先生も紅葉ぐらい見物に行けるといいですね (ノエル)
2008-11-16 12:53:16
yasuu先生、引用させていただきました(^0^)/

先生のセンチネルリンパ生検のシリーズもの、順良くわかりやすく、大変タメになりました。起承転結、次第に盛り上がっていく内容が、
まるで漫画を読んでいるみたいです(笑)。

このリズムでどんどん書き深めていただけたら、我々患者も怖がらずに正確な知識を得られると確信します。

引き続き、よろしくお願いいたします。
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青いモノ (Kei☆)
2008-11-16 20:31:31
大切なリンパ節転移の有無って、そうやって診るんですね。

それにしても青い尿って...。

青いと言えば、私も術中、青い液体(薬品)で、卵管の通りを診てもらったことがあるんですが、あれも同じものかな~?

人間の体の中は、赤いから、青いのを使うのかななんて思っちゃいました。
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Kei☆さん (ノエル)
2008-11-16 22:40:29
青色液体インジコカーミンは、リンパ管に流れると青く映るので、腋窩リンパ節に入ると、一番はじめに染まったリンパ節がわかります。乳がんが腋窩リンパ節に転移した場合、その一番はじめに染まったリンパ節が一番転移しやすいので、そのリンパ節を採取してその場で転移があるかを調べます。

染色液にも緑色とか、いくつか種類はあります。放射性同位元素を使用する場合もありますが、被曝の問題もあり、センチネルリンパ生検ではインジコカーミンを使用する施設は多いようです。

そういえば今年、クラゲでノーベル賞を受賞したのは、PETに使用する造影剤の元みたいなもんでしたね。これも被爆の心配がない、、、すんごい研究だってことですよね。
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