季節限定の希少なチーズであるモン ドール。
これはフランス・バドス社のもの。
秋から冬にかけてのわずかな間にだけ作られ、少し前までは輸入も禁止されていたというモン ドール。
AOCの規定のために8月15日から翌3月15日までと製造期間が決められているという季節限定っぷり。
製造解禁日が8月15日、そして出回るのは熟成を経た10月あたりからのようです。
ボジョレーヌーボーの時期、クリスマスの時期、そして正月と 店頭に並ぶモンドール。
価格はというと 今回購入したのは840円/100g。なので1個540gのこの商品は4,536円也。
これでも安価な価格設定というから、通常は1個5,000円前後と思うとなかなか安易に買えるものでもないと思いながらも、フランスで「チーズの真珠」と呼ばれるというこの旬の味わいをお買い上げ。
強い香りがセロファンの包装にとどまらず、冷蔵庫内は 異臭騒ぎ。
フランスとスイスの国境近くのジュラ山脈にあるモンドール一帯で作られているチーズで、コンテを作っていた農家がその生産をしない時期に作ったのが始まりだとか。
春から秋にとれるミルクは、フランスでの消費量が最も多く大量のミルクが必要であるコンテ用に次々と回されるため モンドールに回すミルクはないとかで、牛から出るミルクが少ない冬の時期にコンテの代用のごとく作られるのがモンドールであり、コンテ作りが可能な春になるとモンドール作りは終わりということらしいです。なんともよくできたサイクル。
同じ産地で同じ原料なのに季節や製法により全く違うものができあがるって本当に興味深い。
エピセアの棚にのせて熟成させ エピセアの樹皮で巻き、洗いながら熟成させるウォッシュタイプのチーズ。
この「エピセア」、聞きなれないためエセピアかエピセアか混乱しそうですが、正しくはエピセアで もみの木の一種。
木箱(これもエピセア)とチーズの間にチラリと見える黒いのが噂のエピセアの樹皮のベルトかしら。
冷蔵庫から出したてをカットして食べる・・・といった食べ方は邪道らしく、常温でしばらく置いておくことでチーズが柔らかくおいしい状態に。
このチーズは 表皮に十字に切れ目を入れるか上皮を薄く横にカットして取り除き、とろりとした中身をスプーンですくって食べるタイプ。
バゲットと一緒にいただきました。
とろとろでクリームのよう!
広がる香り!!
残り香に少しはちみつっぽいものも感じます。
そのまま食べる食べ方以外に、チーズフォンデュのような焼きモンドールという方法も王道のよう。
半分くらい残して 木箱が燃えないようにアルミでくるみ、少量の白ワインとたっぷりのパン粉を振りかけオーブンで焼くと、違った味わいが楽しめるとのことで早速トライ。刻みにんにくを入れたりもするようです。
リゾット風にしてもおいしいとか。
ということで、半分残ったモンドールに 辛口白ワイン・パン粉・おろしたにんにくを加えて 200℃で30分焼いてみました。
モンドールと同化してしまったパン粉がグラタンのパン粉のようにカリっとならず、あまり意味をなさなかった様子。
白ワインが多かったのか、パン粉の入れ方が悪かったのか。
じゃがいもやバゲットにつけて食べてみました。
昨秋には何種類かのモンドールの食べ比べという機会に遭遇し、人生初のモンドール体験がこのシチュエーションというなんとも恵まれた環境。
その時食べた初モンドールに対する率直な感想としては、
◆アルノー:くせがない・くぼんだ表皮
◆ヤロン:くせがない
◆バドス:くさい・皮もくさい
◆テロワール:においが強い
◆ルース:何かの香りがする/テロワールと似た香り
・・・と実に幼稚な感想でお恥ずかしい限り。なにぶん免疫がないもんで。
「におい」との表記は臭さの表れと解釈していただければ。「香り」って感じではないと脳が理解したのでしょう。
きっと「におい」だの「香り」だのと感じている部分のどれかがモンドールの特徴である あのエピセアの香りに違いない。
ファーストインプレッションは大事なはずなので、あえてこの稚拙な感想をも書き留めておくことに。