紋やのつぶやき

職人?たる上絵師のグチリ・知られざる失敗談・紋のウンチクを気の赴くまま語ろうと思いますが、どうなりますやら?

○なし

2004年06月18日 19時53分36秒 | つぶやき
その家の定紋(男紋)は、「丸に梅鉢」「丸に並矢」の様に大抵丸付きが多い。女紋もその様に紋を入れるが、東海地方では丸無しにする場合が多い。

勿論、「三つ巴」下がり藤」の様に紋自体が丸い場合は丸無しもあり、「五瓜に・・」「亀甲に・・」の紋は逆に丸無しが多い。

今日、祝着に「丸無し一つ瓶子(へいし)」と言う紋を入れた。
何十年かこの家業を営んできた私にとって、これは「丸に一つ瓶子」だろう、多分母親の留袖の紋を見たのだろう(岐阜県)と思ったけど、今の若い親、更にその親(50歳前後だろう)には紋の事に関しては殆んど知識が無い。見た紋が自分っちの定紋だと確信してしまう。旦那の母親の留袖に「一つ瓶子」がついていたから、それが自分の家紋ー定紋だと思ったのだろう。(男紋は90%丸付きなんだ)

更に悪い事に、着物を売る店員も全然紋に関して知識が無く、お客の言うままに受けて疑問を持たない。持ったとしてもこちら職人の忠告を聞くより、お客の方に肩を持つ状態です。

紋を入れてる時も「これでいいんかいな?」と思って乗ってこない。
後味の悪い紋入れでした。

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