紋やのつぶやき

職人?たる上絵師のグチリ・知られざる失敗談・紋のウンチクを気の赴くまま語ろうと思いますが、どうなりますやら?

紋洗い

2005年06月29日 19時52分10秒 | 

昔から人々は生活に使う色々な物を修理・補修しながら長く大切に使って着ました。着物も例外ではありません。古くなって汚れてきた着物は解いて、洗張りして仕立て直して着ました。そのような着物の中で紋付の紋も古くなって黄ばんで汚れて来たり、汗や雨に濡れて泣いて(刷込んだ染料が滲んでくる)来たりしたら、元の様にきれいに補正ー「紋洗い」-する事があります。

 

左が「紋洗い」前。   右が「紋洗い」後

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当地方はほーんと久し振りに昨晩から断続的に雨が降り、今日は涼しい一日でした。


家紋Tシャツ

2005年06月08日 23時34分38秒 | 
2、3日前の深夜番組で、伸介?と松本の対談番組で(あまりテレビを見ないから定かでないけど)松本が家紋Tシャツを着ていて目を見張りました。「ねじ牡丹」という紋です。
もう5、6年前から「家紋Tシャツ」こちらを製作していたんですがなかなか売れません。
私はTシャツに、紋そうろうという紋を入れるより、皆さんの知らないデザイン的にすばらしい紋を入れようとしてたのですが・・・・・・松本の着ている家紋Tシャツより、うちの家紋Tシャツのデザインがイイ、と思うのは紋ちゃんのヒガミだろうか?くやじい!

でも、家紋がTシャツに取り上げられて、着られる事はうれしい事です。

杜若の花と紋

2005年06月03日 17時58分27秒 | 
杜若・アヤメ・菖蒲似たような花ですが、咲いています。これは杜若だと思う(多分)
杜若には、その花を題材にした紋、花と葉、又杜若は水際に咲くので「水の流れ」を付けた紋があります。



上の紋は「杜若の花」「見本付きー杜若に水」の「刷込み紋」です。

紋には草花、虫、動物、自然などを文様化したものが多くあり、その中で草花を紋にしたものが一番多くあります。これから少しづつですが草花とその紋をHPで紹介していこうと思ってます。
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鎧展―続

2005年05月23日 21時21分35秒 | 
昨日、戦国時代の鎧に描かれた紋が現在の紋の形と同じだと書きましたが、ここで両方を比べてみました。

               「丸に抱茗荷」

                「源氏車」

              「森家鶴の丸」
ご覧の様にほとんど同じ形をしています。現在の紋の形は先人の描いたものを受け継いで来た訳です。そして時代と共に少しづつ洗練させてきた、特に江戸時代に完成されたと、今まで私なりに思っていましたが、もう既に関が原合戦前後の時代に完成された紋が存在してた事に感嘆する次第です。
まだまだ勉強が足りません。反省、反省!

鎧展

2005年05月22日 19時40分01秒 | 
先週「武士の誇りー鎧」展へ行って感銘を受けましたが、今日、鎧の部位の名称を調べに再び行ってきました。

色々な所に紋が嵌め込んでいます。上から「鍬形台(兜の中心)」「吹き返し(兜の横)」「肩上(わだかみー肩に釣る部分)」「胸板(鎧の胴の上部)」「鳩尾板(きゅうびいた)か栴檀板(せんだんいた)-胸板と肩上の上を覆う物?」「衛胴(胴)」「冠板(かんむいた)・笄金物ー袖の飾り」「篭手」「草摺(くさずり)-腰に着ける鎧」「はい盾ー太腿を覆う物」などに、紋が彫られたり、箔を置いてあったりします。
篭手には、当主と拘わりなく、片ばみ・花菱・梅などの紋が紋様として彫られています。それも心憎いほど精密に彫られていました。

ここに展示されてる鎧は、関が原の合戦前後の製作物と説明がありました。その鎧の胴に描かれている紋は「源氏車」と「丸に抱茗荷」ですが、現在の紋の形と全く同じです。よく戦国絵巻や屏風に描かれた紋は初歩的と言うか原初的というか、形が少し崩れて洗練されていない紋が多いと見受けられたんですが、もうこの紋は完成されています。驚きました!
展示室での撮影が出来なく、パンフのスキャンしか出来なかったのが残念でした、
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撫子

2005年05月14日 20時08分32秒 | 
5月に入り、いろんな花が咲き乱れています。近所に撫子の花が咲いてたので「撫子の紋」を紹介します。

撫子は秋の七草と言われる様に、秋の草花と思ってましたがもう咲いています。でも、「常夏」の別名がある様に夏の花で、咲く期間も長いと云う事です。又「床」を一つにする、と言う意味をかけて恋の歌に詠み込まれたそうです。この写真の撫子はかわら撫子・大和撫子だと思いますが、華奢で可憐な花で、昔はともかく、今風の大和女の子に似つかわしいかどうか??????

左から「撫子」「江戸撫子」「石竹」(唐撫子)「陰石竹」「三盛石竹」です。まだ、三割撫子、割り撫子菱、撫子枝丸とありますが、どちらかと言うとその紋の種類は少ないです。
又、この地方ではこの様な紋を持っておられる家が少ない様で、あまり紋入れする機会がありません。手持ちの原稿もこれくらいです。
しかし、この地方・岐阜瑞竜寺には、斉藤道三の画像の中に「撫子紋」をつけた旗が添えられてる、という事で、案外私の知らない所で存在してるかも知れない。

この仕事に入って間もない頃、「撫子」と「石竹」の紋を同じだと思い込んでいた時期がありました(恥ずかしい事ですが)実際、かわら撫子と唐撫子で、同じ撫子の仲間ですもんね。でも唐撫子(石竹)は紋の画像の様に少しふっくらしてますね。

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藤の紋ー続き

2005年05月01日 13時25分42秒 | 

        師匠の紋                私の紋 
       
左の紋は、30数年前師匠である親父が手本として描いてくれた「下り藤」の紋で、右が私が描いた紋です。技量の差は一目歴然としてます。
これは、この業界が手書きからスクリーン印刷に変わってきた事に一因があります。
20数年前から、上絵筆をロットリングに、分廻しをコンパス・雲形定規に変えて原稿を創り続け、それで作った版で紋をプリントしてきました。それに従って、上絵筆を使うのは線の補正くらいしか出番が無くなり、当然筆を使う上絵の技量は落ちてきてる訳です。

                
これが今の「下り藤」の紋の版下です。
今後、いや現在進行形で、この様な版下から製版するので無く、イラストレーターなどのソフトによるパソコンを使った原稿作りが主流となります。製版環境の変化からアナログからデジタルへ変わらざるを得ません。

風さーん、何とか出来ました。少し手間が掛かるけど慣れたらスムーズに行くかな?

藤ー下り藤の紋

2005年04月28日 20時06分47秒 | 
当地では桜はすでに葉桜となり、花みずき・つつじ・チューリップなどが咲いています。
藤も満開になり、「下り藤」の紋の描き方を紹介します。
見た目には藤は「バラ藤」に似て、広がりをもって咲いています。その花の立体的な、今風に言えば3Dを平面に閉じ込め、又藤を登らせて「上り藤」を創ってしまうなんて、先人の職人の発想の柔軟さには驚嘆します。
今日はもう初夏の陽気で、藤の花のまわりをクマンバチが右往左往してます。
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児玉さーん塩谷さーん・・その紋

2005年04月19日 00時35分03秒 | 
「児玉」「塩谷」姓には、少なくともここの地方ー岐阜の美濃地方ーでは「軍配」の紋が非常に多い。(児玉姓は多分全国的だと思うが)勇ましい紋で、先祖は名のある武将だったりして????
でもその紋は、その家々によって少しづつ違い、その都度紋型を作らなければならない、面倒な紋でもある。10人十色と言うようにこの姓の紋は注文の度に違った紋が舞い込んでくる。

全国の児玉さん・塩谷(えんや)さん!あなたの家の紋は軍配ですか?
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山桜-描き方

2005年04月08日 18時36分56秒 | 
最近の暖かさで、桜は満開に近づきました。今晩当たりから近所の公園では宴を張って賑やかになるでしょう。日曜にはうちもやろうと思ってますが、天気がどうなるでしょう?

梅の季節が過ぎ桜の咲く頃になりましたので、「桜」の紋の描き方を紹介しようと思いますが、「桜」より「山桜」の紋の方が凛として好きなので、又高校の校章にも使われてましたので、こちらを描く事にしました。
最後の方に「紋が太めになった」と書きましたが、紋は少しの弧の描き方、線の行き方によって、微妙に紋の格好が違ってきます。紋やのセンスともなります。本来なら描き直しですが、こういう事もある、と云う訳でそのままアップしました。山桜はこちら