紋やのつぶやき

職人?たる上絵師のグチリ・知られざる失敗談・紋のウンチクを気の赴くまま語ろうと思いますが、どうなりますやら?

「裃」の上絵ー2

2006年03月17日 21時10分37秒 | 
前ページで「丸無し」の裃の上絵を書きましたが、ほんとに手間がかかり、一日かかって二反を仕上げるのがヤットです。その分加工賃が高ければいいんですが、これが安い。更に8反同じ紋ということで値引きしました。割りの合わない仕事をしています。

今日は「丸付」の紋「丸に七つ星」の紋入れで、HPに記した様に比較的楽に入れる事が出きました。

紋の中全体は捺染で、残った白場に鮫柄を描いていきます。

      詳しくはこちら

今年は時間が許されるなら、飛騨の神社の「社紋」探訪に行きたいと思っています。

「裃」の上絵

2006年03月15日 22時26分43秒 | 
今ごろ「裃」姿を見かけるのは神社の祭礼か町のイヴェントぐらいでしょう。
江戸時代には、時代劇に見られる様に<武士の制服>でした。
この地は、祭礼が根深く残っている高山を中心とした飛騨地方を控えていて、よく「裃」の紋入れの注文がきます。


因みにこの裃の紋は「六つ瓢箪」?(正式な紋名は聞いていません)-飛騨の水無神社の家紋です。きれいに紋が入っている様に見えますが(でもないですね)、拡大しますとやはり鮫柄を入れた所が分かります。

「裃」の紋入れは、黒留袖や喪服等の様に紋型を置いて黒一色で刷り込む方法ではなく、裃の柄ー今日の場合は鮫柄ーを描かなくてはなりませんので、結構手間のかかる仕事です。下図の様に紋を入れる場<石持>に紋を入れます。


出来上がりは↓ 後で鮫柄を描いていきますので、回りの元々の鮫柄と完全には一致しません。


まだまだ工夫して出来上がりの良い柄を描きたいと思う次第です。

   詳しくはこちら


紋を替える<紋替>

2006年02月09日 19時04分37秒 | 
今入っている紋を別の違った紋に替える事を「紋替」と言います。
紋替は紋入れの仕事の中で一番面倒で手間の掛かる、且つリスクのある仕事です。
加工賃も普通の紋入れの3倍位頂いております。

忙しかった昔は、注文を受けても納品は2ヶ月後位にしてもらうのが普通でした。今は仕事も少なく2~3週間位、急ぎの場合は3,4日でも仕上げてしまいます。

今回黒留袖に入っていた、左の「五三の桐」の紋を右の「片喰」の紋に替える行程を紹介します。

   
昨日「思い込み」で書きました様に、HPのインデックスと「上絵2」のページでも「桔梗」と書きこんであって、慌てて訂正した次第です(汗・汗)

         ホームはこちら

祝着の紋

2006年02月04日 23時54分15秒 | 
赤ちゃんが誕生して30日前後に宮参りしますが、その時赤ちゃんに着せるのが「祝着」(熨斗目)です。「祝着」には当家の家紋を、男の子は当家の定紋、女の子には女紋(この地方では定紋の丸無しの紋を入れるのが多い)を入れます。

しかし、最近は時々ご自分の家紋をご存知ない方がいて、持ちこまれた「見本」を見て戸惑う事が多々あります。当の若夫婦はもとよりその親(60才台以前)もご存知ない方がおられます。

下図は最初に持ち込まれた「見本」です。丁寧に描かれています。

この紋は「井桁」の陰紋です。当の本人は『着物の紋を書いてきた』と言っていますが、本職の立場としては、これはどう見ても「陰紋」(どちらかと言うと、目立たない様に又裏紋として女紋の一つ紋として使います)だし、正式な定紋ではない、多分お母さんの羽織の紋を見て書いてきたのだろうと、思いました。
実際、今の家々に紋は、女性の留袖か喪服にしか残っていない事が多いです。『家紋額』-宣伝しようかな?ーで代々残しておられる家もありますが、お母さんの留袖の紋を「これがうちの定紋」と思い込まれている方もおられます。

それで、この図は『何を元に描かれたのか確認してください』と呉服屋さんに聞いた所、やっぱり『お母さんの羽織の紋』を描いてきたものでした。今時携帯の写メールがあって便利です!


で、持ちこまれた見本は「陰紋」であって、この紋の正式な紋は「井桁」である事、又定紋としては、多分丸が付く(たまに丸無しの井桁が定紋の時があります)事を説明して以下のような「丸に井桁」の紋を「祝着」に入れた次第です。


家紋について分からない事がありましたらーこちらからー今変なのが入ってますが削除方法が分からずすみません)

雪の紋ー続

2006年01月19日 19時39分27秒 | 
「雪」「雪輪」の紋を、昨日紹介しましたが、雪の紋の形が別の紋ー例えば「弊子」「袋」「銀杏」-の形に酷似して、面白いので、追加して紹介します。

「雪」の紋の一部


     「一つ銀杏」                     「幣子」
    

     見本「袋」


それぞれの紋の上部が、「雪」の紋と一緒な事が分かると思います。
この「雪」の紋の独特な形は、上の三つの紋以外使われていません。
古の人・紋職人がどの様に考えてこの様な形を創ったのか定かではありません。
いずれ分かりましたら紹介します。

   ホームはこちら

「雪」の紋

2006年01月18日 21時55分12秒 | 

昨年からの大雪で、各地甚大な被害を被っています。
被害を被っていられる人々には申し訳ないですが、古来「雪は豊作の前兆」と云われています。多すぎるのも本当に困りますが・・・・・・ホントに多過ぎました。

雪の結晶は六角形、「雪の紋」も六角或いは六割の形をしていて、古の人は良く観察していたと思います。
この「雪」の紋の中で、当地に多い「雪輪に~」の紋、「雪持ち笹」の数々の種類を紹介しています。

又、「雪」「雪輪」の紋は、「地紙」と同じ様に留袖等の着物の紋様として広く使われています。

今回は上絵筆で描かなくって、製図用の「ロットリング」を使って描きました。
「上絵」と違って線がシッカリしています。(薄い線は割りの下書きです)

         ホームはこちら

九曜星の紋

2006年01月12日 21時29分44秒 | 
星の紋は、晩秋の星の綺麗な時期にアップしたかったのですが、遅ばせながらここに紹介します。今の時期は「雪の紋」がふさわしいんですが、後日に譲ります。


星空にはいろんな想いがそれぞれの人にあるでしょう。北斗七星・カシオペヤ・オリオン・白鳥座・スバル星・そして満天の星空・・・・・私は何故か冬のオリオン座が好きです!

古から、星は世界のどの地域の人にも信仰の対象でした。今でも星供養として残り、星占いもまだまだ人気です。
これは「九曜星」の紋です。単に丸の集まりなんですが、割りの正確さを欠くと不揃いの丸の集合(○と○との間隔に差が出来てくる)になります。
簡単ですから、一度鉛筆と定規とコンパスを捜し出して描いてみては如何ですか?

(先日書き込みした「枯葉」は柏の葉っぱじゃないです。これは又調べますが、柏の葉は丸みがあって全然違った形の葉です。「三柏」等の柏紋を描いてる私にとってトンだ失態です)

見本紋ー瓦の紋

2005年12月28日 18時05分49秒 | 

前ページに続き<略した紋>で困るもう一つは、瓦に入れた紋です。
上の写真は祝着に紋入れをする為に持ってこられた見本の紋で、鬼瓦についていた立派な紋です。これでは外の「隅立て井筒」は分かるのですが、中の雀の紋は輪郭さえも分かりづらい。これでは紋の描きようがありません。

瓦の紋は今現在は知りませんが、昔は木で紋形の雌型を作って瓦の土を嵌め込んで作ったそうです。木を手彫りするのですから、前述の墓石の紋より更に細かくは彫れません。
よく見かける「左三つ巴」の紋の様に、単純な紋でしたら綺麗に仕上げられると思います。

で、今まで描いた見本紋「井桁に雀」(紋帖には載っていません)=下図=を参考に紋(右)を作りました。


紋入れをする時の<見本>は、出来るなら<上絵師が描いた紋>を見本として出して欲しいと思う次第です。

ホームはこちら

男紋付ー刷込み紋

2005年12月25日 13時44分04秒 | 

前にも書きましたが、この刺繍した紋が見本で、黒の無地の男紋付の着物と羽織に紋を入れる注文が来ました。普通は生地に白抜きの石持がついていてそこに紋を入れるのですが、黒の無地ですので白(白インクか顔料)で紋を描く(刷込む)事になります。

刷込む為には「型」を作らねばなりません。以前は型紙を彫って白の顔料で刷込みましたが、今は版を作って白インクで捺染します。その為に版下を描きますが、「イラストレーターソフト」を使ってPC上で作って見ましたが、下写真の様に線のバランスがうまく取れません。まだまだ未熟者です。


で、以前からの方法で(ロットリング)アナログで紋を描きました。(下)


白の線が少し太いのが気になりますが、この版下をカメラでポジを作り、製版して紋を刷込み(捺染)ました。出来上がったのが下の写真です。「丸に頭合せ三つ松」という紋です。

ホームはこちら

家紋額ー刺繍紋

2005年12月23日 20時54分23秒 | 

この写真はスキャナーで取り込んだから少々画質が悪いですが、家紋を刺繍した家紋額です。紋入れの紋の見本で借りたものですが、あまりにもの出来映えに感嘆してアップしました。

写真では見づらいですが、細かな刺繍の痕が見られると思いますし、何よりも紋の形が、よくネットで掲載されている「家紋額」の紋の形より品のある素晴らしい紋をかたどっています。参考にネットで掲載されてる家紋額の紋をアップしておきますので比較してみて下さい。
紋を刺繍で埋めた部分と残った(線ーしべ)部分のコントラストが、バランスが素晴らしい。ネットの家紋はそのバランスが、線の部分が狭い(弱い)という意味で私見では気に入らない。
もっとも私の選好みというか、主観が入っていますが・・・・・・・

ホームはこちら