能「道成寺」と同じく「入れろ」「ならぬ」と寺男との押し問答があり、
白拍子は鐘供養の舞を舞うなら、ということで許されて寺内に入る。
「嬉しやさらば舞わんとて
あれにまします宮人の
烏帽子をしばし仮に着て
既に拍子を始めけり」
そして「道成寺」の有名な一節を持ってくる。
『花の外には松ばかり 暮れそめて鐘や響くらん』
次に葛城(白拍子)の身の上を説明するという歌詞での舞となる。
『色は匂えど散りぬるを
我が世誰そ常ならん
人里遠き鐘の声
諸行無情の世の中に
恋は誠の菩提の道へ
引かるるまでの糸竹の
我も昔は皆人毎に
娘娘と沢山そうに
言うて給んな手習い習い
琴も覚えて物縫い習い
やがて殿御と添い寝の枕
添い寝のやがて
やがて殿御と添い寝の枕
二人ねがちに引きしめて」
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photo by 和尚