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西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

都鳥

2010-08-19 | 長唄の歌詞を遊ぶ (c) y.saionji
131ー「都鳥」(1855・安政2年・市村座)


都鳥とは、ユリカモメの古典文学上の別称。
昔は隅田川にしか生息しなかったとかで
(鴨川で見かけるようになったのは、ほんの40年程前からだとか)、
都から来た旅人が必ずその鳥の名を聞いたそうな。 
都のつく鳥と知り、なお親しみを増したことだろう。


都鳥(ユリカモメ)

しかし、厳密にいうと”ミヤコドリ”という鳥は別にいる。
こちらも越冬のために渡来する鳥で、九州や東京湾などを餌場とする。


ミヤコドリ


『便り来る
 船の内こそ床しけれ
 君なつかしと都鳥
 幾夜かここに隅田川
 行き来の人に名のみ問われて
 花の影
 水に浮かれて面白や』

●首尾をして、あの人と逢う船の内、心がときめく。
 ああ、離れたくないこのままずっと。
 桜の影が水に映って面白いこと…

題名の”都鳥”にはもう一つの意味がある。

この狂言『桜姫東文章』に登場する、桜姫家の重宝、巻物の銘が”都鳥”だ。
この”都鳥”を、伊勢物語に出て来る歌、
「名にしおわば いざこと問わん都鳥 わが思う人はありやなしやと」
にかぶせ、都鳥を逢引きの女に見立てたところが、ミソだ。 

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