西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

松の翁

2010-08-27 | 長唄の歌詞を遊ぶ (c) y.saionji
139ー「松の翁」(1877・明治10年)


駿河の国富士駅に、本陣を張る松永家の豪邸があった。
本来、本陣は大名や旗本、勅使などをお泊めする家で、
一般の者には縁のない場所だった。
ところが、明治維新で参勤交代が無くなると、本陣としての機能は消滅した。
その後は一般の人にも開放したのだろうか、
富士を借景とする、松永家の見事な庭園は旅人の間でもつとに有名で、
見物に立ち寄る者も多かったとみえる。


『四季の眺めも時知らぬ
 雪は芙蓉の峰続き
 行き交う旅の人毎に
 聞き伝え来つ 名に愛でて
 見れば珍花に家路を忘れ
 筆も尽きせじ 庭の絶景』

●富士の山と峰続きの、このすばらしい庭には、
 四季折々に珍しい草花が咲き乱れる。
 行き交う旅人がみな絶賛するこの庭に来てみれば、
 あまりにも手入れの行き届いた、見事な絶景に思わず時を忘れてしまう。
 

西南戦争と新富座の工事で、仕事のできない杵屋正次郎(3世)は、
旅の途中、この屋敷に立ち寄った。
長唄好きの主に、一宿一飯のお礼にと作ったのがこの曲。

 〓 〓 〓

tea breaku・海中百景
photo by 和尚
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