西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

伊勢参宮

2010-05-29 | 長唄の歌詞を遊ぶ (c) y.saionji
85-「伊勢参宮」(1930・昭和5年)


昔から、伊勢まいりは日本人なら一生に一度はと、
誰もがあこがれる夢の旅だ。
その思いが積もりに積もり、お蔭参りという熱病が5、60周年で自然発生するという不思議がある。
これは抜け参りともいわれ、女子供や、下男下僕が
父母、雇い主に無断で旅立つというもの。
抜け参りに気づいても、止めてはいけないし、無事に帰還した者は
暖かく迎えなければいけない。

伊勢、間山には、お杉お玉のベンベラ三味線という名物があり、
島田髷に大振り袖を着た、お杉お玉が道ばたに小屋掛けをして
並んで座り、参詣客が通ると、着物の色や柄などに“さん”をつけて
呼びかけ、三味線を弾いて投げ銭をもらう。
それを撥で受けるのが愛嬌で、これもまた売り。


『歩みも軽ろし足引きの 
 山田と宇治の間の山
 お杉お玉が三味の音は
 ベンベラベンベラ チャンチャラチャン
 無性矢鱈に弾きたつる
 二文三文 五六文
 投うればちゃっと顔振り向け
 縞さん紺さん中乗りさん
 やてかんせ 投うらんせ
 頬冠(ほかむり)さん 焜襠(ぱっち)さん
 お江戸さん 上方さん
 神のお庭の朝清め
 するやささらの えいさらさ えいさらさ
 ソレ 殿中じゃ 張り臂じゃ
 やてかんせ投うらんせ
 踊る子供は手足振る』 

この曲は、伊勢神宮の式年遷宮を祝って歌人の佐佐木信綱が書いたもの。

 「殿中じゃ張臂じゃ やてかんせ 投うらんせ」とは、
 「殿中羽織を着てえらそうにそこ行く兄さん、銭やってチョー、銭投げてチョー」といった意味。

 〓 〓 〓

tea breaku・海中百景
photo by 和尚
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 玉菊 | トップ | みやこ風流 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

長唄の歌詞を遊ぶ (c) y.saionji」カテゴリの最新記事