西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

寒山拾得

2010-08-30 | 長唄の歌詞を遊ぶ (c) y.saionji
142ー「寒山拾得」(1907・明治40年)

寒山・拾得とは中国の伝説上の仙人。

天台山国清寺の禅師は山中で捨て子を拾い、
拾得と名付けて寺小僧として使っていた。
その頃、近くの寒巌という洞穴に、
寒山という乞食が住んでおり、国清寺に来ては
拾得から残飯を貰い、仲良く遊んでいた。
ある時、台州の国守がこの二人を見て、文殊・普賢菩薩の化身と悟り、
二人を崇めたという。

作詞は坪内逍遥。

『ここに寒巌に居して
 既に経たる幾何年
 棲遅して観自在なり
 時に歌曲を口ずさんで
 世の憂きふしは白雪の
 寂々たるたたずまい
 石を枕に芝草を
 いつも敷き寝のつれづれは
 古き仏の書を友』

●ここ、寒巌に住んでもう何年が経っただろうか。
 浮き世を離れた暮らしは自在気まま、
 時に歌を詠み、世渡りのつらさ悲しさとは無縁の住まい。
 石の枕に草のふとん、退屈な時には
 昔の聖の書いた書を読むのさ。


大隅半島、志布志市の大慈寺にある「寒山拾得」の軸絵。
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