ノアの小窓から

日々の思いを祈りとともに語りたい

台風が来ている!

2014年03月02日 | 日記


 オワサン教会の献堂式の日、二月一日は、スリル満点の一日でした。
 朝は霧雨だったのに、帰るころにはだんだん本降りになってきました。

 台風が近づいているとのことです。

 ああ、台風は、日本だけのものではないんだ…、この南海こそがその故郷なんだと今更、気がつきます。

 


                        


 道にコンビニとか自販機とか茶店とか、なにか目印があるといいのですが、もとより、簡単な標識ひとつありません。両側は山、ときどき、畑、たまに家が見えます。どこも同じようなトタンぶきの家です。
 

              ★     ★


 帰り道は安心のはずでした。オワサン教会の母教会アバダン教会の牧師ジョン先生も、同じ道を引き返して行くはずだからです。

 その夜は、ジョン先生のアバダン教会のそばに宿泊する予定でした。

 
 ところが、出発してまもなくジョン先生たちの車とはぐれてしまいました。
 
 なんと、吉原先生の車には、方向感覚ゼロのさとうと、車の運転はするけど高性能のナビまかせのU夫人だけ。S牧師もジョン先生の車に乗ってしまった様子。
 分かれ道に来ると、「こっちだったっけ。そうだな。右のはずはない」と、吉原先生は「おねいさま」(と呼んでくださっていました)二人に道を聞くのはあきらめて、自問自答で道を探します。
 たまに私たちも「あの緑の壁の家、来る時もありましたよ」とか、アドバイスするのですが・・・。「あったよねえ」と、顔を見合わせたりしてきわめて心もとない。


 やがて、道はどんどん下って、川のせせらぎが聞こえ、沢に降りてきてしまいました。立派な庭石か記念碑にでも使えそうな大きな石が、川の中にごろごろしています。若いころ木曽路で同じような光景を見たっけと思い出していました。
 そういえば、来る時も一度だけ水のなかに入って流れを横切ったのです。でも、車が渡った川は浅かったし、大きな石などなかった・・・と、さとうが、言ったのかなあ・・・!!


 「道を間違った」と三人の意見が一致して、狭い道をなんとかUターンして戻ります。
 吉原先生はケータイを取り出したのですが、なぜかつながりません。


                  ★    ★ 


 さすがに心配になってきました。風がときおり強くなり、雨も横殴りになっていました。ルソンの山の中は、まだ雨季に入っていませんが、ひとたび大雨が降ると地滑りで道がなくなってしまうことなど珍しくないそうです。

 「標識がないんだものね」。いまさら言っても仕方がない愚痴を言いながら、がたがた道を車は上っていきます。
 
 もし・・・。一時間走っても、見通しがつかなかったらどうなっていたでしょう。
 元のオワサン教会へ戻る道もわからなくなった感じです。
 だいいち、あの「腕のような峰の先」には戻りたくない。

 と、思った時、前方のT字路に三菱パジェロが止まっていました。
 
 車の窓が開いて、「あれ、引き返してきたの。まだかと思って待っていたのに」とS先生はにっこり。
 迷った私たちをからかう目つきです。

 どうやら、私たちは正しい道を進んでいたらしい。それにしても、先に行ったはずのパジェロが分かれ道で止まっていた理由は?? いまさら聞いても仕方ありません。


 とにかく、同じ迷うなら一台より二台のほうがいいやと、さとうは全然論理的でない結論を出して、ほっとしていたのです。