子ども時代、いつまでも見飽きないものがありました。
青い空、
青い海、
九歳まで、海が目の前の場所に住んでいた。
山陽電車と国鉄(JR)がぴったり並んで走っていて、
その向こうは、国道で、
その先は、白い砂浜だった。
★
大きな青い空と青い海が豊かに広がっている光景の中で、何時間も座っていた・・・。
それは、追憶の中で拡大された夢?
「あの空の向こうになにがあるんだろう」
目を凝らすと、もう外せないような、蠱惑的な深みに、
でも、たしかに、時を忘れたのです。
★
海は、はるかに実際的で、小さなぽんぽん船が浮かび、
遠くに大きな船が現れ、
淡路島と大阪湾で包まれた、大きなたらいは、
腕に抱けるような気がした。
★
この海の向こうと空の果ては、
どこかでつながっているにちがいない、
そんなささやきが、ひらひらと頭の上を舞って、
でも、
その青空と青い海とに背を向けて、陸地を歩き始めて、
長い歳月が経った・・・。
ときどき、はっと振り返る
青い空、
青い海
あれから、空のかなたにも、海の向こうにも、何度か行ったのに、
やっぱり、ふりかえる。
いつまでも、見つめている。
あの向こうに、なにがあるのかしら。