goo blog サービス終了のお知らせ 

猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

教皇選挙

2025-03-25 23:27:27 | 日記
2024年のアメリカ・イギリス合作映画「教皇選挙」を観に行った。

全世界に14億人以上の信徒を有するキリスト教最大の教派・カトリック
教会。その最高指導者にして、バチカン市国の元首であるローマ教皇が、
死去した。悲しみに暮れる暇もなく、首席枢機卿であるトマス・ローレ
ンス(レイフ・ファインズ)は新教皇を決める教皇選挙「コンクラーベ」を
執り仕切ることになった。世界各国から100人を超える強力な候補者たち
が集まり、システィーナ礼拝堂の扉の向こうで極秘の投票が始まった。票
が割れる中、舞台裏でうごめく陰謀、差別、スキャンダルの数々にローレ
ンスの苦悩は深まっていく。そして新教皇誕生を目前に、厳戒態勢下のバ
チカンを揺るがす大事件が勃発する。

2025年アカデミー賞8部門ノミネート、脚色賞を受賞したサスペンス。
カトリック教会の最高指導者、ローマ教皇が急逝した。それに伴い、イギ
リス出身の首席枢機卿トマス・ローレンスは悲しみに暮れる間もなく、新
たな教皇を決定するためのコンクラーベを執り行う重大な責務を負う。3
週間後、コンクラーベの前日。バチカン宮殿とその周辺では厳戒態勢が敷
かれ、セキュリティ対策などの準備が大詰めに差しかかっていた。そして
高位聖職者の枢機卿たちが、世界各地から続々とバチカンに集結する。
コンクラーベの期間中、100人余りの枢機卿団は外部との接触を禁じられ
た隔離状態に置かれ、宿泊施設の「聖マルタの家」と選挙会場のシスティ
ーナ礼拝堂を行き来することになる。慌ただしく準備に追われるローレン
スは、事前のリストに載っていない枢機卿が現れたことに驚く。それはア
フガニスタンのカブール教区からやってきたベニテス(カルロス・ディエ
ス)で、生前の教皇が秘密裏に枢機卿に任命したメキシコ人だった。
今回のコンクラーベには4人の有力候補がいた。アメリカ人のベリーニ(
スタンリー・トゥッチ)は教会内のリベラル派で、ローレンスの親しい友
人。ナイジェリア人のアデイエミ(ルシアン・ムサマティ)はもし選出され
れば史上初のアフリカ系教皇となる。イタリア人のテデスコ(セルジオ・
カステリッド)はリベラル派を嫌悪する伝統主義の保守派。カナダ人のト
ランブレ(ジョン・リスゴー)は穏健な保守派だが、ローレンスは彼にある
疑念を抱いていた。
教皇選挙「コンクラーベ」がどのようにして行われるのか、それが物々し
い雰囲気で描かれており、とても興味深かった。映像が非常に良かった。
枢機卿たちにも保守派とリベラル派(改革派)がいるのだなあ、と思った。
保守派の中にも強硬な保守派と穏健な保守派がいた。映画ではリベラル派
代表のアメリカ人・ベニーニと保守派代表のイタリア人・テデスコの対立
が描かれていて、これもまた興味深かった。枢機卿たちも神ではなく人間
なので、選挙において陰謀、疑惑、差別、野心などがあり、スキャンダル
を掴んで蹴落としたりもする。
ローレンスに野心はなかったが、祈りに対しての迷いがあったようだ。ロ
ーレンスの人間臭さが良かった。ジョン・リスゴーは悪役のイメージが強
いので、この人司祭の役とかするんだなあと思った。イザベラ・ロッセリ
ーニがすごく年をとっていてびっくりした。いかにも英国紳士といった雰
囲気のレイフ・ファインズの赤い法衣姿がとても良かった。ラストはとて
もびっくりしたし、これでいいのだろうか?とも思った。とてもおもしろ
い1級品のサスペンスだった。


寒い時は私の布団に潜っているノエル


フローズン・グラウンド

2025-03-18 22:49:50 | 日記
2013年のアメリカ映画「フローズン・グラウンド」。

1983年冬のアラスカ州、モーテルの一室で拘束され半狂乱になっている
娼婦・シンディ(ヴァネッサ・アン・ハジェンズ)が保護された。彼女はロ
バート・ハンセン(ジョン・キューザック)という男に危うく殺害されそう
になったと主張するが、模範的市民のハンセンを地元警察は疑おうともせ
ず、娼婦と客の単なるトラブルとして問題を解決しようとする。同じ頃、
身元不明の少女が無残な遺体となって発見される。アラスカ州警察巡査部
長ジャック・ハルコム(ニコラス・ケイジ)は、最近連続して見つかってい
る変死体と同一犯ではないかと疑い、捜査を始める。

1980年代にアメリカで起き、人々に衝撃を与えた実際の連続猟奇殺人事
件を映画化。12年間に24人以上の女性を拉致し監禁、更に暴行を加えア
ラスカの荒野に放って人間狩りを繰り返したロバート・ハンセンと、犯人
逮捕に執念を燃やす警察官との攻防を描く。1983年、アラスカ州アンカ
レッジにあるモーテルに、娼婦のシンディが「あいつに殺される!」と叫
びながら駆け込んでくる。連絡を受けたアンカレッジ市警の警官は、パニ
ック状態のシンディを保護して病院へ運ぶ。警察署で事情を聞かれたシン
ディは、客の男の自宅に鎖で繋がれて監禁され、レイプされた後、自家用
機でどこかへ連れていかれそうになったと話す。
シンディの証言から、容疑者は町でパン屋を経営しているロバート・ハン
センであることがわかるが、ハンセンにはアリバイがあった。アンカレッ
ジ市警の刑事は、娼婦のシンディよりも優良市民のハンセンの証言を信用
し、この事件の捜査を打ち切ってしまう。しかし、シンディを保護した警
官は、どうしても彼女が嘘をついているとは思えず、上司に内緒でシンデ
ィの調書をアラスカ州警察に郵送しておく。
同じ時期、アラスカ州奥地の平原で、若い女性の遺体が発見される。遺体
の状況から、被害者は半年から1年ほど前に、狩りをするような状況で殺
されたことがわかる。この殺人事件の捜査を担当することになったアラス
カ州警察のジャック・ハルコム刑事は、まるで処刑のような殺し方だと感
じる。最近この周辺では、若い女性の惨殺体が次々と発見されていた。ハ
ルコム刑事は、一連の事件を同一犯による連続殺人事件ではないかと考え、
捜査を開始する。捜査が難航する中、アンカレッジ市警から届いたシンデ
ィの調書に目を通したハルコム刑事は、ハンセンが怪しいと考える。そし
てシンディに直接会って話を聞くため、彼女を捜す。
シリアル・キラーの実録ものが好きでよく本などを読むのだが、ロバート
・ハンセンという男は知らなかった。12年間に24人以上の若い女性を殺
害したとなっているが、実際の犠牲者数ははっきりわかっていないらしい。
一体何人殺しているのか…。唯一の生還者はシンディである。けれどもシ
ンディは娼婦であるが故に警察に信じてもらえない。ジャック・ハルコム
刑事は彼女を捜すのだが、映画の中でシンディの私生活が割と詳しく描か
れていて、その時間が長すぎると思った。
観ている側は多分娼婦の生活にはあまり興味はないと思うので、もっと被
害者たちのエピソードを描くのに時間を割いて欲しかった。雪深い冬のア
ラスカで次々と発見される遺体。こんな寒いところに埋まっていたなんて
かわいそうだなと思った。主演がニコラス・ケイジなので安心して観てい
られる。やっぱりこの人は演技がうまい。ラストで行方不明になった女性
たちの顔写真と名前、年齢が表示される。そして1人1人「行方不明」
「遺体発見」と説明される。遺体が見つかっていない被害者がたくさんい
た。犯人のロバート・ハンセン役のジョン・キューザックのサイコパス演
技も不気味で良かった。


映画評論・レビューランキング
映画評論・レビューランキング
人気ブログランキング
人気ブログランキング

告白 コンフェッション

2025-03-12 22:51:04 | 日記
2024年の日本映画「告白 コンフェッション」。

大学の山岳部OBで親友同士の浅井啓介(生田斗真)とリュウ・ジヨン(ヤン
・イクチュン)は、登山中に猛吹雪に見舞われ遭難する。大ケガをして死
を覚悟したジヨンは、大学時代に登山中に行方不明となり、事故死とされ
た同級生・西田さゆり(奈緒)は自分が殺害したのだと告白。長年抱えてき
た罪の意識から解放され安堵するジヨンだったが、その直後、眼前に山小
屋が出現し、2人は命を取り留める。親友の最期の告白を聞いてしまった
男と、うっかり言ってしまった男。薄暗い山小屋で救助隊の到着を待つ中、
2人の間には気まずく不穏な空気が流れ始める。

福本伸行・かわぐちかいじ氏の漫画を実写化したシチュエーション・スリ
ラー。大学山岳部OBで親友の浅井啓介とリュウ・ジヨンは、16年前登山
中に行方不明になり、事故死とされた同級生・西田さゆりの慰霊登山に出
かけていた。2人は猛吹雪に遭い、遭難してしまう。脚に大ケガを負い、
死を覚悟したジヨンは、16年前に自分がさゆりを殺したと啓介に告白す
る。自分の犯した罪に苛まれ続けてきたジヨンは苦しみから解放されるが、
直後に山小屋を発見し2人は命を取り留める。そして2人は閉鎖された山
小屋で一夜を過ごすことになる。
死ぬと思ったからできた告白だった。秘密を明かしてしまったジヨンと秘
密を聞いてしまった啓介の間には、気まずく不穏な空気が流れる。秘密を
知ってしまった啓介は、誰にも見られない密室で、ジヨンに殺されるので
はないかと疑心暗鬼になっていく。山小屋の台所にあった包丁がいつの間
にかなくなっていてジヨンが持っていたり、携帯が通じないと言っていた
のに啓介に何も言わずに救助を呼んでいたりと、ジヨンの行動に怪しさが
募っていく。
とてもおもしろかった。74分と短い映画だが、74分の中におもしろさや
迫力が凝縮されていて、普通の映画のように長かったらこのストーリーで
は中だるみしてしまうと思う。ちょうどいい長さ。生田斗真とヤン・イク
チュンのほぼ2人芝居。死ぬと思って過去の殺人の告白をしてしまったジ
ヨンと、聞かされてしまった啓介。ところが助かったことで、啓介はジヨ
ンが自分を口封じのために殺すのではないかという不安に囚われる。啓介
の疑心暗鬼な気持ちがとてもよく描写されていて、観ていてドキドキした。
ジヨンの行動の怪しさも怖い。
スリラーというかサスペンスなのだろうが、ホラーっぽく作られていてお
もしろい。原作では日本人2人ということらしいが、どうして一方を韓国
人の設定にしたのだろう。ヤン・イクチュンの雰囲気はジヨンの役に合っ
ていたが、セリフの聞き取りやすさを考えたら日本人俳優の方が良かった
のではないかと思った。でも生田斗真もヤン・イクチュンも演技はとても
良かった。特に後半はヤン・イクチュンが「シャイニング」のジャック・
ニコルソンばりに怖くて、迫力があった。真相が2転3転し、とてもおも
しろい映画だった。


映画評論・レビューランキング
映画評論・レビューランキング
人気ブログランキング
人気ブログランキング


シスターズ 異常な愛情

2025-03-05 23:08:57 | 日記
2019年のアメリカ映画「シスターズ 異常な愛情」。

母親の拘束から逃げるかのように家を飛び出したライリー(クリステン・
ヴァガノス)。残してきた病弱な妹・ベス(ミカヴリー・アマイア)は、母
親・モニカ(リビー・マンロー)の支配下で病院にも行けず、病状は悪化す
るばかりだった。それから3年が経過し、2人の前にライリーが戻ってき
た。久しぶりの我が子の帰宅にも関わらず、モニカは警戒心をむき出しに
対応。ライリーが帰省したのは、ベーカリーを開き、恋人である看護師・
エイデン(ザック・ゴールド)との婚約を報告、彼を紹介したいからだった。
モニカは祝福するも、相変わらず「ベスを病院に連れて行ったら」という
ライリーの話には全く耳を傾けなかった。だが、べスの髪がごっそり抜け
るのを見たライリーは、不安になりエイデンに相談する。

実際に起きた事件を基にしたサスペンス。父親が死んだ後、母・モニカ、
妹・べスと共に暮らしている高校生のライリーは、母親が2人の娘を大事
に思うあまり、ろくに学校にも行かせない束縛ぶりに嫌気が差し、1人で
家を出ていく決意をする。それから3年後、苦労しながらも小さなベーカ
リーの店をオープンさせ、看護師をしているエイデンという婚約者もでき
たライリーは、久しぶりに母親とべスが住む自宅へと戻る。母親はライリ
ーが戻ってきたことを喜びつつ、家に入るなりライリーにシャワーを浴び
させ着ている服を消毒するなど、異様な潔癖症の様子を見せる。
ライリーはべスにも再会するが、べスは体調が悪く顔色も青白かった。母
親はべスがギラン・バレー症候群という免疫性の病気にかかっていると説
明し、そのために外部から毒素が侵入することを防いでいるのだと話す。
そしてライリーが自分で作ってきたお土産のケーキも捨ててしまう。ライ
リーがべスに話を聞くと、病気の診断を受けてから家を1歩も出たことが
なく、自宅で勉強をしているのだと知る。しかし勉強に使っている百科事
典などは古いもので、ライリーは新しい知識も取り入れた方がいいと母親
に助言するが、母親は自分のやり方があると拒絶する。
ライリーは、ティーンエイジャーでありながら化粧の仕方も知らないべス
のために髪を結ってあげるが、櫛で髪をとかすとべスの髪がごっそりと抜
けてしまう。驚いたライリーはエイデンに電話し、ギラン・バレー症候群
について調べてもらうと共に、べスの血色の悪い爪の写真を撮ってエイデ
ンに送信する。そしてライリーは外の世界を知らないべスのために、自分
のスマホで色んな写真を見せてあげるが、母親は外から持ち込んだものは
危険だからとスマホを取り上げてしまう。母親はライリーのスマホを温室
に持ち込むと、金づちで叩き割る。
タイトルの通り母親の異常な愛情、そして狂気の物語である。予定調和の
展開だが、これが実際に起きた事件だと思うと怖い。ライリーは最初に家
を出ようと決めた時べスに一緒に行こうと声をかけたのだが、おとなしい
べスは母親の元から離れるのを恐れて行かなかった。異常に過保護で過干
渉な母親の歪んだ愛情は、べスの心をすっかり支配していたのだろう。色
んなシーンで「次はこうなるよね」と予測できてしまうが、それでもなか
なかスリリングだった。ただラストが気に入らない。ライリーとべスはど
うして母親に会いに行ったのだろう、と思った。あんな目に遭ったのだか
ら会いに行かなくていいのに。普通は絶縁一択だろう。実際にはどうだっ
たのかわからないが、その点がしっくり来なかった。


映画評論・レビューランキング
映画評論・レビューランキング
人気ブログランキング
人気ブログランキング