猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

コーマ

2019-11-20 22:40:30 | 日記
1978年のアメリカ映画「コーマ」。

ボストン記念病院で外科医として働くスーザン(ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド)。
恋人の医師マーク(マイケル・ダグラス)も同じ病院に勤務している。大病院のた
め、非常に頻繁に手術が行われている。ある日スーザンの親友がごく平凡な中絶
手術を受けることになったが、彼女は手術の後覚醒せず、昏睡状態に陥ってしま
った。スーザンはひどくショックを受ける。同病院では、親友と同時期に右膝関
節の手術を受けた若い男性も、昏睡状態に陥るという事故が起きていた。同病院
において軽い手術を受けただけの患者が次々と植物状態になってしまうことにス
ーザンは疑念を抱き、調べてみることにした。まずは親友のカルテを見てみよう
と担当麻酔科医のジョージ(リップ・トーン)に頼むが、何故か激しく拒絶される。
スーザンはそれでも探り続けた。病院のコンピュータに入っているデータを調べ
てもらうと、同病院では手術中に昏睡状態に陥る事故が多数起きており、その患
者たちは皆若くて健康で、平凡で比較的簡単な手術を受けただけだということが
わかる。まもなく、スーザンは外科部長のハリス(リチャード・ウィドマーク)か
ら呼び出しを受け、無断で調査を行っていることをとがめられる。

病院を舞台にした医療サスペンス映画。41年前の作品なので、さすがに映像は
古いのだが、物語は現代でも充分通用する興味深いものだった。「コーマ」とは
昏睡状態のことである。大病院に勤務する外科医のスーザンは、親友が簡単な中
絶手術を受けた後に昏睡状態に陥ってしまい、同じ時期にやはり簡単な関節の手
術を受けた患者が昏睡状態になってしまったことに疑念を抱く。恋人のマークに
相談するが、心配することはないと取り合ってくれない。スーザンは単独で調べ
始めるが、その病院では比較的簡単な手術を受けた患者が多数昏睡状態に陥って
いることがわかる。そして外科部長のハリスから勝手に調査を行っていることを
注意されるが、スーザンは調査をやめない。やがて、昏睡状態になった患者の手
術は全て第8手術室で行われていることを知る。そしてスーザンは何者かに命を
狙われ始める。
スーザンの意志の強さ、行動力、危険回避能力がすごい。スカート姿でいろんな
ところに忍び込んだり、逃げ回ったり、そこまでやるかというくらいである。男
に頼らない強い女医をジュヌヴィエーヴ・ビジョルドが熱演している。恋人のマ
ークはスーザンから病院が怪しいと打ち明けられても心配しすぎだと言って取り
合わない。そしてスーザンが勝手に動き回ることを良く思っていない。もしかす
るとマークはスーザンの敵なのではないかと思わせられ、終盤までわからないの
はおもしろかった。
とにかくハラハラ、ドキドキする映画である。ある研究所が登場するが、そこの
清潔で無機質で近未来的な造りもかえって不気味で良かった。そしてその中で行
われている非人道的な行為はゾッとした。医療サスペンス映画はいくつか観たこ
とがあるが、どれも普遍的なテーマを持っているように思う。いつ観ても色あせ
ることなく考えさせられる。この映画も良くできていたと思う。おもしろかった。




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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (じゃが太郎)
2019-11-21 18:14:50
原作を遙か昔、80年代初め頃に読みましたが、映画の存在は知りませんでした。
ハヤカワ文庫で、表紙がカッコよかったんです。女性がワイヤーに支えられて白い空間に浮いているリアルなイラスト。映画「ザ・セル」や一時期話題になったボディサスペンションを見て思い出しましたが、あんな痛々しいモノではなく、アニメ攻殻機動隊の精神世界の浮遊感に近いものでした。……とまぁ、表紙ばかり覚えていて内容はすっかり忘れていた次第で、そうか、こんな話でしたか。
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Unknown (杏子)
2019-11-22 04:07:39
>じゃが太郎さん
コメントありがとうございます。原作をお読みになったのですね。研究所でたくさんの人たちがワイヤーに支えられて宙づりになっているシーン、ありましたよ。衝撃的で不気味なシーンでした。
本当にこんなことがひっそりと行われているのではないかと思うと恐ろしい物語でした。機会があったら私も原作読みたいです。
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