猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

メルシィ!人生

2018-10-26 20:55:26 | 日記
2001年のフランス映画「メルシィ!人生」。

冴えないサラリーマンのフランソワ・ピニョン(ダニエル・オートゥイユ)は、妻と
離婚し、17歳の息子にもうざったがられ家に来てもらえず、会社では「いい人だけ
ど、退屈よね」と言われていた。ある日ピニョンは自分がリストラの対象になって
いることを知り、自宅で飛び降り自殺をしようとするが、隣の老人・ベロン(ミシェ
ル・オーモン)から止められる。そして、ゲイであると嘘をつけば、差別で糾弾され
ることを恐れる会社が解雇を撤回するはずだとアドバイスを受ける。ピニョンはそ
れを実行するが、クビはまぬかれたものの予想外の騒動に発展してしまう。

フランスのコメディ映画。すごくおもしろかった。フランスの文化にも触れられて
興味深い。おとなしくて冴えないピニョンは真面目に働いてきた会社からリストラ
されようとしていると知って絶望し、自殺しようとする。そこへ隣人から「飛び降
りるのはやめてくれ。下には私の車がある」と止められる。隣人のベロンはピニョ
ンの話を聞いて、自分をゲイだと言えとアドバイスする。こういう発想は日本人に
はないだろうなあ。ゲイとカミングアウトすることで、差別だと主張されるのを恐
れた会社がリストラをやめてくれるだろう、なんて。もちろんピニョンはゲイでは
ない。
ベロンに言われた通りに実行したピニョンのクビはつながるが、人事部長のサンテ
ィニ(ジェラール・ドパルデュー)はゲイ嫌いで有名で、ピニョンを毛嫌いし出す。
サンティニは同僚に「今度はお前が差別主義者でクビになるぞ」と言われ、いたず
らでピニョンと親しくなるように勧められる。サンティニは嫌々ながらピニョンを
ランチに誘ったり、プレゼントを贈ったりするが、ピニョンは何故サンティニから
親しくされようとしているのかわからず、うまくいかない。このエピソードはほん
とに笑える。サンティニは渋々ピニョンと仲良くしようとしていたのが、次第に気
になり出す辺り、フランス映画って何てしゃれているのだろう、と思ってしまう。
かくしてピニョンのゲイ告白はサンティニのみならず会社のいろんな人々に影響と
騒動を与えてしまうことになる。
ピニョンと息子の和解も笑えた。年頃の息子は実は父親がゲイだと知って、それを
かっこいいと思うのだ。「パパがゲイだから離婚したんだね」「パパはやっと自分
の生き方を見つけたんだ」と母親に言うシーンは最高だ。とにかく最初から最後ま
でユーモラスで、ダニエル・オートゥイユの演技もとてもいい。子猫もかわいかっ
たし、フランス映画らしいエスプリの効いた物語だった。




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コメント (6)
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