猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

戦場にかける橋

2013-02-10 02:02:45 | 日記
1957年のアカデミー賞受賞作、「戦場にかける橋」を見た。有名な映画なのでいつか見たいと
思っていたのだが、こんなにすごい物語だとは知らなかった。
第二次世界大戦中のタイとビルマの国境付近にある日本軍の捕虜収容所が舞台となっている。
捕虜のアメリカ人シアーズ少佐は脱走を計画し、ある日密かに脱走した。
ある日ニコルソン大佐率いるイギリス軍捕虜たちが送られてきた。
バンコクとラングーンをつなぐ橋の建設のためである。捕虜収容所の所長、斉藤大佐は、
捕虜たち総出で橋の建設に取りかかるよう命じたが、ニコルソン大佐は「将校の労役は
ジュネーブ条約に反する」と拒否した。どれだけ説得しても応じないニコルソン大佐を、
斉藤大佐は「オーブン」と呼ばれる倉へ入れた。
体を動かせる大きさもない程の木製の倉に、ニコルソン大佐は何日も入れられることになった。
途中、斉藤大佐はニコルソン大佐のもとにアメリカ人軍医を使わし、説得するよう言った。
が、ニコルソン大佐の心は動じない。「尊厳の問題だ」と言う。
将校たちが作業に加わっていないため、橋の建設は遅れていた。それを憂慮した斉藤大佐は、
兵士たちに恩赦を出すという条件を提示し、ニコルソン大佐はそれに応じた。
衰弱したニコルソン大佐はやっと倉から出され、兵士たちは歓喜に沸いた。
それからは実質ニコルソン大佐が建設作業の指揮を執り、斉藤大佐は橋の完成期日が迫って
いるためその屈辱に耐えた。
ニコルソン大佐には、士気が下がっている兵士たちに、橋の建設を通して何かをやり遂げる
喜びや誇りを取り戻して欲しいという気持ちもあり、立派に兵士たちをまとめた。
やがて橋は完成した。仕事を終えた兵士たちは大喜びをした。
しかし、脱走して軍の病院でくつろいでいたシアーズ少佐のもとに、イギリス軍少佐が訪ねてきた。
バンコクとラングーンの間に橋がかけられ、鉄道が通れば、日本軍はインドを攻めるであろうから、
橋を壊す手伝いをして欲しいと言うのだ。
1度は脱走したシアーズも、またあの地に戻ることを決意した。そして橋を爆破するために、
シアーズを含む4人の軍人が向かった。

あらすじを書くのが難しい。戦争や捕虜といったことをよく理解していないからだろう。
2時間45分の大作で、とても見応えがあった。特に前半、ニコルソン大佐が「ジュネーブ条約に
反している」という理由で、将校の労役を断固として拒み、日本軍に懲罰として倉に入れられる
場面は、本当にひどいと思った。あんなところに飲まず食わずで閉じ込められていたら、
死んでしまう。じりじりと照りつける太陽。ニコルソン大佐の苦しみを感じた。
そして橋が建設され、「この橋はアメリカ、イギリス人捕虜たちによって建設された」という文字が
彫り込まれた金属板を、釘で木に打ち付ける場面は感動的だ。
しかしその一方では、橋を爆破する計画が進められているという皮肉。捕虜たちが必死に働いて
作った橋をだ。

この映画には戦闘の場面はほとんど無く、普通の戦争映画とは少し違っているが、それでも、
戦争の悲惨さ、ニコルソン大佐が言うところの「人間の尊厳」を感じさせられた。
アカデミー賞受賞もうなずける大作である。
それと、あまりにも有名なテーマ曲。映画を見たことがない人でも、このテーマ曲はどこかで
耳にしたことがあるのではないか。
テンポが良く明るいこの曲が、物語の悲惨さを際立たせていると思う。
コメント
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