ヤシガニ

一日中、ジャングルの中を歩き回って、へろへろになってレンタカーまで帰り着いたのはもう星が輝く頃。
そこから宿まで小一時間。
対向車も来ない真っ暗な夜道を走らせていると、ライトの中に何かが浮かび上がった。

急ブレーキにびっくりする同乗者を横目に慌ててバックさせると、期待通り、そこにいたのは大きなヤシガニだった。

強力なハサミを持つことでも知られるヤシガニである。
なんとかいい角度で写したいものの、挟まれたりするのはごめんだ。
ああでもない、こうでもないと必死に誘導して、なんとか写すことができた。

もっとも撮影以上に大変だったのがこの後。
こんなところをうろちょろしていたのでは交通事故間違いなし。
どうにか林の中まで誘導しようと試みるものの、ハサミを振り上げて威嚇してくる始末。
なんとか甲羅をつかんで移動することに成功したが、かなりおっかなびっくりだった。
そして自分でつかんで実感したことは、ヤシガニはやっぱりヤドカリの仲間なんだということ。
カニの甲羅のように固くはなく、微妙に柔らかかった。

この晩はヤシガニの日だったらしく、宿に帰り着くまでに3匹ものヤシガニに出会うことができた。
運転していて見つけた個体数がそれだから、懐中電灯片手に歩いていたらきっともっと多かったのだろう。
きっとハブと一緒に・・・