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ベッコウバチの綱引き

2011-08-15 10:21:33 | その他の昆虫
その時、私はとある地方都市にいた。
仕事あけの夜行バスが1時間以上も早くついたおかげで、友人との約束まではまだずいぶんとある。
クマゼミの大合唱を聴きながら、しばらく近くを散策してみようと歩き始めた。

しばらく歩いていると、菅原道真を奉った神社に行き当たった。
説明によると道真が左遷される途中で立ち寄って水を組んだ場所ということらしい。近くの林の中には、道真が水を汲んだ沢が流れていて、こういった場所にはお定まりの『腰かけ石』まであるらしい。
『腰かけ石』はともかく、神社の聖域なら沢は面白いかもしれない。

多少の期待を胸にクモの巣をはらいながら向かった薄暗い林の中。ところが現れた沢は、三面護岸された細流。しかも今では水の流れはなんとか護岸を濡らす程度で、とても長旅に必要な水を汲めそうにもない。おまけに『腰かけ石』も看板だけで、果たしてどれがそうなのかよくわからない。
期待はずれもいいところだ。

ため息一つ、引き返そうとするとその護岸の底を大きなクモが移動するのが見えた。げげっ。
アラクノフォビアの気のある私としては速やかに立ち去ろうとして、だが、どうにも様子がおかしい。
よく見れば真っ黒な姿に黄色の紋のベッコウバチ、大形のクモを狩るので有名なオオモンクロベッコウが引きずっているのだ。すでに仕留められているようだ。
ほっとしながら見ていると、それを追いかける別の姿が。黄色い翅に黒い体のベッコウバチ、こちらもクモを狩るキバネオオベッコウだ。

キバネオオはするすると追いつくと、なんとオオモンクロが引きずっているクモの脚をくわえて引っ張った。
なんと、綱引き状態である!
ぴくりとも動かなくなった。

こんなことがあるのだろうか。
確かにオオモンクロベッコウもキバネオオベッコウも大形のクモを狩る、大形のベッコウバチだ。
だが、他の個体が捕獲した獲物を横取りしようとするとは。

この結末、どうなるのか眺めていたかったが、すぐそこに約束の時間とカの大群が迫っていた。
仕方なくその場をあとにしたのだが、果たしてあの後どうなっただろう。
何かに引っかかったと思ったオオモンクロが様子を見ようとはなした隙にキバネオオが持ち逃げしたのか、捕獲したという意識の強いオオモンクロが引き切ったのか。
果たして・・・

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