2月。
そろそろ春が待ちきれなくなってくる頃、私はよくトンボの夢を見る。
満足して目が覚めたり、逃げられてあたふたしながら目覚めたり。
パターンは様々だが共通しているのはトンボを追いかけていること。
間違いなく、トンボの姿に飢えている。
そんな2月、面白い情報を聞いた。
とある植物園の温室でトンボが飛んでいるらしい。
熱帯のチョウを飼育している温室はいくつかあるが、この場所は勝手に入り込んできたトンボ達が自然に出ているらしい。
これは興味深い。
雨上がりの北風が吹きすさぶ中でも温室の気温は23度。
いくつかに分かれた室内を順々に巡っていくと、やがて熱帯スイレンが植えられたエリアに出た。
ここなのか。
『あ、いた!』
妻の声に振り向くと、間違いない。
ちょっと遠いがそこにはたしかにイトトンボの姿。
あちこち探しているとやがて近くでも見ることができた。
アオモンイトトンボだった。
10個体前後は飛んでいるようだった。
青緑がきれいなオス。
オレンジが目立つメス。
低温期によく見られる黒化型もいた。
羽化殻も多数。
羽化している個体も見つかった。
しかし、なんといってもファインダーの中に映るその姿。
至福だった。